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第5回 「プロジェクトマネージャになりたい!」、でも資格は必要?

こんにちは!
株式会社クリエイションラボの平澤です。

前回までにIT業界にプロジェクトマネージャ(PM)が
少ないという実態をお話させていただきました。

また、その理由は「IT業界の構造的問題から
上流領域と下流領域の違い」であることだと解説し、
それにも関わらず中小IT企業出身の私がPMとなれ、
こうして現在に至るまで活動できている経緯は
お伝えした通りです。

私の記事をお読みいただいたことで、
業界の構造的な問題はあれど、
キャリアの積み方によってはPMになれる道筋が
あることはご理解いただけたものと思います。

「それなら私でもできるかも!」と
思われた方も多いのではないでしょうか?
しかしその次に出てくる疑問として多いのは
「プロジェクトマネージャになるのに資格は必要なの?」
ということ。

そこで今回は、関心を持っていただいた皆さまの疑問に応えるべく、「プロジェクトマネージャーになるために資格は必要なのか」という点について解説していきましょう。

プロジェクトマネージャ系の資格は、主に2つ

プロジェクトマネージャの資格として思い浮かぶのが、
次の2つの資格かと存じます。

①    PMI認定 Project Management Professional(PMP)
②    情報処理推進機構認定 プロジェクトマネージャ試験

どちらもかなり難易度の高い資格であり、
実質的な合格率は10%前後と推測されます。

尚、私はPMPを所有しておりますが、オーバーでも何でもなく、人生で一番難易度の高い試験でございました。
もう一度受験して合格できる自信があるか……といったら、
正直なところわかりません(笑)。

そのため、保有要件が外れない様に
細心の注意を払い更新処理をしております!

ちなみにPMPを所有している私から強く訴えたいのですが、PMPの合格率は60〜80%前後とネット等で
記載されているものを散見します。
が、絶対にそんなことはありません!!

申し込みさえすれば誰でも受験資格が得られるIPA試験と違い、PMPは「受験資格を得ること」自体が大変難しく、
受験資格を得られた一部の方々が受験するため、
この合格率となっているのです。

なので合格率だけを見て
容易な試験とは決して思わないでください。

プロジェクトマネージャになるのに資格は必要ない!?

そこで本題である「プロジェクトマネージャ(PM)になるのに資格は必要なのか?」についてですが、
結論から申し上げると、PMになる上で資格は必要ございません!

皆さま意外とご存知ないかもしれませんが、
コンサルタントやプロジェクトマネージャといった職制は、
国の認定を受けないと仕事ができない士業とは違います。
そのため資格がなくても、立派なPMとして業務を遂行できるのです。

もちろん資格を有していれば
社会生活上の有利性はありますが、必須ではないんです。

実際に資格を有していなくても、
それなりの規模のプロジェクトにおいて
PMとしてご活躍されている方はいらっしゃいます。

驚きでしたでしょうか?

資格至上主義ではなく「経歴至上主義」

巷にはあらゆる資格が溢れています。
そのため資格を取らないと業務ができないと
誤解されている方が多いのですが、あらためて申し上げると、
国の認定を得られないと業務ができない士業を除いては、
資格がなくても業務は遂行できます。

ではなぜPMになる上で資格が必須でないかと申し上げると、
IT業界で仕事に就く上では「職務経歴」が非常に多くのウェイトを占めるからです。

例えば大規模プロジェクトも担う私が「AWSの構築をやらせてください!」と職務経歴書を出しても残念ながらNG判定となります。

実際に私はAWSの中堅資格を持っていたりしますが、
AWSの構築業務に就くには、
経歴上で「構築をした」実績がないとNG判定となるのです。

これは厳しい事実となりますが、
クライアントからすると人材を育てる義務はなく、
ほしいのは「即戦力」のみ。

よって「この人は将来性がある」というポテンシャルを見込んで採用される可能性は極めて低いのです。

「経歴貯金」を、どんどん増やしましょう

以上の通り、PMになる上で資格は必要ではないということがおわかりいただけたかと思います。よって、大切なのはマネジメント業務を「経験した」という事実であり、ある意味ハードルは低く、逆に高くもあるのです。

すべては自分のステップアップに応じた道筋を、
道たどって行き、必要な経験を積むかということになります。

ちなみにPMを目指す上ではシンプルに次の2つの道があります。

(1)最初からマネジメント系の会社に就職し、上流主体で業務に就く
(2)下流領域中心の経歴であれば、新人並の待遇からやり直す覚悟でジョブチェンジする

(1)はコンサルティング会社やマネジメント専門の企業に就職し、上流領域に携わる上でプロジェクトマネージャとして経験を積む。

これはどちらかといえば少数派で、
コンサルティング会社やマネジメント系の会社が
そもそも入社自体狭き門なので、
絶対数が少ない難点があります。

多数派としては(2)となりますが、私もそうで(第4回参照)、下流領域から上流領域へ進む上ではかなりの高い壁がございます。そのためRPGのジョブチェンジと同じで、新人レベルからやり直すしか方法はないでしょう。

具体的には年収が今500万円あるとしたら、
300万円台に落とすことも容認してマネジメント業務に就く必要があるかと思います。

ただしそれは最初の段階だけで、そこを起点として経験を積んでいけば、(1)の人材よりも下流領域を知っている分、
より有用なPMとなれるでしょう。

だからこそ資格を取得するよりも、マネジメント経験という経歴貯金を増やしていくことが大事な事実となるのです。

まとめ

今回は「プロジェクトマネージャ(PM)になる上で資格は必要か?」の観点で解説をさせていただきましたが、結論としては資格がなくてもPMの業務は遂行できます。

大事なのは、マネジメント業務に携わったという経歴です。

もちろん資格を取得するにこしたことはないので、ぜひPMPやIPAのプロジェクトマネージャの資格にも挑戦してみてください。

実際に私は、PMPを取得する上で講習+自学で150時間以上は勉強したかと思いますが、合格の可否に関わらず、PMBOKの知識が体系的に習得できたのは財産となっております。
この知識は業務を遂行する上においても、非常に役立つからです。

また、世の中にはIPAのプロジェクトマネージャ試験について詳しく解説しているテキストや参考書は多いのですが、ことPMP試験においては、ネットを検索してもあまり参考情報が出てきません。

色々と理由はあると思いますが、一番は、敷居が高いため携わる方の絶対数が少ないのが理由かなと個人的には感じております。

私も前段で触れさせていただきましたが、
非常に難度の高い試験でありますので、
再び受験してくださいといわれたら絶対に拒否します!(笑)

そうしたことで、合格経験者として少しでもお役に立てればと思い、次回からはPMP合格までの道のりを解説した「PMP取得物語(前編)」に続きたいと思います。

それでは皆さま、お読みいただきありがとうございました。
次回もお会いできることを楽しみにしております。

■自己紹介
株式会社クリエイションラボ
代表取締役社長 平澤 富輝
エンジニア歴28年。
インフラのエンジニアとしてキャリアをスタート。内資/外資、業種を問わず多くのお客様先でプリセールスやフロントSE、プロジェクトリーダーからプロジェクトマネージャを歴任し、大中小、百以上の案件やプロジェクトに携わる。
会社員時代は最終的に30名を束ねるグループリーダーも担い、その長い経験の中でマネジメント人材育成の重要性を感じ取り、その裾野拡大を志して独立する。
「エンジニアとは才能でなく、学ぶ姿勢と少しのセンス」が持論。

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