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第8回 実際の現場で起こり得る「こんなこと」

こんにちは!
株式会社クリエイションラボの平澤です。
 
前回は、「実際どうなの!? PMP取得物語(後編)」と題して、皆さんにとって興味深いと思われる「資格」をテーマにお届けしました。
 
さて今回なんですが──実のところ、最近トレンドとなってきた「PMO」や、「PMやPMOに向く人、向かない人」をテーマとして記事を書く予定でおりました。が、その前に、「もっと早い段階で書いておくべきことがあるだろう!」と自問自答し、敢えて別テーマを執筆することにしたのです。
 
それは、私が起業してから多くのクライアント様やエンジニアと接する中で、非常に気になる「傾向」に気付いたからです。ということで今回は、その「気になる傾向」とは何かを、緊急企画として解説させていただくことにしました。
 
 
早く教えて! その「気になる傾向」って何?
 
結論を早くお知りになりたいところかと思いますが、まあ、お聞きください(笑)
 
近年のトレンドとして挙げられるのは、プロジェクト上の役割・体制が細分化されてきたことによる管理・調整などマネジメント系人材のニーズが年々高まってきていることです。このニーズに対してクライアントとエンジニアを結びつけることが私の役目となっておりますが、最近気になる傾向が見受けられるようになって参りました。
 
そこで私が思う「気になる傾向」があるのです! それは──?
 
「クライアントとエンジニア、双方の要望ミスマッチ」です。
 
どういうことか。
 
これは、ビジネス活動において、クライアントの要望もあればエンジニアの要望もあります。求める側と求められる側、双方に望むことがあるのは当然のことであり、それ自体は否定するものではありません。
 
そしてそれを結びつける役目が私の立場です。とはいえ、ここからはボヤき(失礼)にもなってしまいますが、双方が譲らず100%の要望を通そうとすることが多く、それを調整をすることは困難を極めるのは当然です。結果的に関係する全員が不幸になることもあり得ます。
 
イメージしやすいように、ケーススタディを紹介してみましょう。
 
・クライアント事例
一部のクライアントにある傾向として、「費用を支払う立場であるから、働く側はこちらの言い分を聞くべき」というものです。
 
クライアントからすればそれ相応の費用をかけるわけなので、投資をする対象であるエンジニアに結果を望むことは当たり前の話かと思います。ここに私も否定は致しません。
 
しかし「費用を支払う=我々が立場として上」という誤った認識をし、エンジニアに無理難題を押し付けたり、想像の範囲を超えるものを要求してくる。そしてエンジニアがそれに応えられないと辛く当たる、もしくは本来の委託範囲を逸脱した業務を要求する。「それには応えられない」とエンジニアが断ると、苦情となります。
 
私が申し上げたいのは、費用を支払うのは確かにクライアントですが、エンジニアはその対価として特殊なスキルをクライアントへ提供するわけです。よってクライアントとエンジニアはビジネス上対等な立場であり、そこに上下関係が作られることはあってはならないのです。
 
意外とこの対等な部分を意識していないクライアントも多かったりしますので、この記事を通じて、少しでも良い方向に向かっていくことを願います。
 
 
・エンジニア事例
こちらではエンジニア事例を紹介させていただきますが、よくある事例は以下の通りです。
 
(1-1)マネジメント経験がないのに、どうしてもマネジメント業務に就く要望をする
(1-2)マネジメント経験がないのに、高い報酬を要望する
(2)就業条件面を必要以上に要望する
 
それでは、ひとつずつ解説します。
 
(1-1)マネジメント経験がないのに、どうしてもマネジメント業務に就く要望をする
(1-2)マネジメント経験がないのに、高い報酬を要望する
 
マネジメント層に移りたいエンジニアに多いケースとして、「これまで下流領域を経験してきて、プログラミングや設計業務は一通り行えます。だからマネジメント業務に移行したい希望があります」という場合。
 
これ自体はいたって普通の要望であり、私としても希望に沿えるように動きたいのですが、よろしくないのは、1-1のみならず、1-2も合わせて要望されるエンジニアが多いのです。
 
「下流領域を概ね極めて、そこそこの年収まで上がってきました。だから年収を下げずにマネジメント業務に移りたいです」といったお気持ちは理解できます。ですが、下流領域と上流領域の業務は厳密には違うものであります。
 
それにおいて収入を同じライン、もしくは増額して上流領域の業務に就く、ということは現実として難しいものです。
 
「・・・いや、大手企業はそうだよね?」
 
という反論はあるでしょう。私も大手のお世話になってきたためよく存じ上げておりますが、確かに年功序列的に、マネージャーになった段階でも給料が下がることはありませんでした。
 
よって給料を下げずにマネジメント業務へ移行したい方は、そうした会社でお世話になることが望ましいと思います。ただ残念ながら、給料は維持できても、大手のマネージャーは超多忙となりますので、結果としてそれが望ましい結果になるかは別問題ですが・・・
(あるあるですが、役職手当 < 残業手当で、結果として収入減もよくある話です)
 
話は戻りますが、事実として、上流領域へ移行することは「ジョブチェンジ」に等しいのです。
 
これまで培ってきたスキルが役立たないということはないのですが、直接的に役立つものにはならないのです。これはドラクエやFFの職業変更に似ています。
 
だからこそ、スキルが半減したのに収入も維持するということは、冷静に考えればナンセンスな話になりませんか?
 
私が第4回で言及しましたが、中長期目線でキャリア形成を考える場合は、収入を一旦下げることを受け入れた方が良いです。これは断言します。
 
現状維持もしくは増額を狙うことも否定しませんが、難度が格段に上がってしまい得はありません。
 
PM /PMOを極めていけば、将来的な年収として1000万以上を狙うことも難しい話ではありません。そのため一時的な収入減は将来への投資と割り切って、そこからの努力を積み重ねていってほしいと思います。
 
(2)就業条件で譲れない面が多い
次に多いのが、就業条件面で譲れないエンジニアが多いことです。
 
例えばPM /PMO職種はコミュニケーションが主体であるため、出社や、場合によっては出張を望まれるクライアントが多かったりします。──が、それなのに
 
「フルリモートじゃなきゃ嫌だ!」
「遠いのは嫌だ!出張は嫌だ!」
「残業は嫌だ!」
 
という自分都合でごねる方が多いのも実情です。これでは、話も成立しないですよね。
 
一旦その要望は承りますが、とはいえ要望をガチガチに固められてまかり通る仕事というのは正直なところ「無い」といえます。もちろん、あまりにもかけ離れているのは問題ですが、たまのイレギュラーに柔軟に対応できないとなれば、お願いできる仕事を探すほうが難しい、もしくは無いのです。
 
そうではなく、要望の中にも緩和策として、
 
例えば
・フルリモートではなく週に2回、3回までなら大丈夫
・夜遅くの残業は難しいですが、重要な会議がある日は
 
など、譲歩の精神で話を進めれば、落とし所は見つかるはずです。
 
こちらを読んでギクッとしたあなた。今後はクライアント事情も考慮して、譲歩の精神を持ってみませんか。
 
・本質的に申し上げたいこと
以上の通り、クライアントとエンジニア双方において求める要望にミスマッチが発生した結果として
 
「何でマネジメント人材は少ないのだろう」
「マネジメントの案件に就きたいけど何で就けないんだろう」
 
といった状況に陥りがちです。これって、本末転倒ではないですか?
 
私がこの状況から本質的に申し上げたいのは、やはりクライアントとエンジニア双方が歩み寄り、気持ちよく合意して就業することが望ましいのです。双方の希望は理解できますし、ビジネスにおいて自分の意見を申し上げるのは重要なことです。
ただ現実として、意見を100%押し通そうとする方が多く、そこに譲歩も存在しない。これでは話も纏まりませんよね?
 
重要なのは、すべての要望を通すのは不可という前提を持ち、要望する事柄に優先順位をつけることであります。
 
例えばエンジニアは、業務内容に魅力があれば週に2・3回までは出社を許容する。報酬も将来的なキャリア形成を見込んで安めの単価設定から始める。そして、半年後に評価が良ければ単価交渉してみる。
 
クライアントはエンジニアを尊重した形で丁寧に接し、良好なコミュニケーションを図る。そしてお願い事項などが発生した場合などは一方的に押し付けるのではなく、事前に相談した上でお願いする、など。
 
お互いに譲り合いの精神を持ち「Win-Win」という形で、気持ちよく業務を遂行できることが望ましいはずです。
 
 
ということで今回は、先に伝えておきたいこととして緊急企画「クライアントとエンジニア、お互いの希望によるミスマッチ」について解説をさせていただきました。
 
私が普段お仕事をする上で「これはいけない」と感じたことを記事にしてみましたが、これにより何かお気づきになられる方がいたら幸いです。
 
さて次回は本筋に戻りまして、「PMOという名のトレンド」といったテーマでお話をさせていただきたいと思います。
 
皆さま、今回もお読みいただきありがとうございました。
次回もお会いできることを楽しみにしております。



■自己紹介
株式会社クリエイションラボ
代表取締役 平澤 富輝
エンジニア歴28年。
インフラのエンジニアとしてキャリアをスタート。内資/外資、業種を問わず多くのお客様先でプリセールスやフロントSE、プロジェクトリーダーからプロジェクトマネージャを歴任し、大中小、百以上の案件やプロジェクトに携わる。
会社員時代は最終的に30名を束ねるグループリーダーも担い、その長い経験の中でマネジメント人材育成の重要性を感じ取り、その裾野拡大を志して独立する。
「エンジニアとは才能でなく、学ぶ姿勢と少しのセンス」が持論。

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