見出し画像

認定看護師になるまで

前回、大学院に入学し、専門看護師を目指した理由について、書かせていただきましたが、今回は認定看護師の学校生活について書こうと思います。

実際、認定看護師の教育課程でどんな学校生活を過ごすのか書かれたものってweb上で探してもほとんど見つからないと思います。

なので、これから認定看護師の教育機関に入学する方とか、受験を考えている方の少しでも参考になればと考え、書いていこうと思います。

ところで・・・

認定看護師は制度自体が2018年に見直され、2020年度から特定行為を組み込んだ新しい教育制度が始まっています。

今までの認定看護師教育課程はいわゆるA課程、特定行為を組み込んだ新しい教育課程はB課程と呼ばれており、現在は二つの制度が並行して走っている状態です。

スクリーンショット 2022-08-10 21.02.18
日本看護協会HPより引用

A課程の教育は2026年度で終了することが決定されており、今後はほとんどの教育機関がB課程に移行していくものと考えられます。

実際、A課程での認定審査も2029年度で終了となることが公表されています。ただし現在も一部の分野、一部の教育機関ではA課程での教育が継続されている状況になっています。

私が教育課程で学んでいたのは制度が見直される前の半年間の研修、いわゆる現在のA課程であること、また分野や教育機関によっても研修内容やカリキュラムなどが大きく異なることを踏まえて、参考程度に読んでいただければと思います。

認定看護師教育課程の学生

認定看護師の教育課程は、ほぼどの分野でも全国で数校単位しか存在しておらず、全国から研修生が集まります。
多くの実習生は研修学校の近くにアパートなどを借り生活しています。
家族を地元に残して研修に来ている学生も多くいます。
私が教育課程に入学した頃は最初の子供が生まれたばかりだったので、片道2時間ほどかけて毎日通学していました。
その当時はオンライン授業やeラーニングも一般的では無かったので、月曜から金曜まで(時には土曜日も・・)毎日通っていました。
私は自宅が遠いこともあり、朝早く電車に乗り子供が寝静まってから帰るという生活でしたが、学生の中には子育てと勉強を両立している方もいました。

認定看護師の要件として5年以上の勤務経験が必要なため、基本的に学生は看護師経験年数5年目以上になります。
私は6年目に受験し、7年目に入学したため、全体でも若手の部類でした。構成としては経験年数10年目までが3分の1、残りがそれ以上の方々になるでしょうか。

学生間で経験年数に差はありますが、基本的に私たちのクラスはまとまりがあり、仲の良いクラスだったなーと今からでも思います。
主任や師長クラスのような結構なベテランの方々にも同級生として普通に接していましたし、それを認めてくれる雰囲気でした。
このあたりはそれぞれの学生の性格にも左右されるので、入ってみないとなんとも言えない部分かと思います。
コロナ禍前ということもありますが、ほとんど毎週金曜の夜は飲み会をしていましたし、そうやって全国のバックグラウンドの違う仲間と語りあえたのは本当に良い経験になったと思います。

病院からの支援

学費を全額出して基本給も払ってくれたり、滞在中の住居費を補助してくれたり、学費のみ払ってくれたり、ほとんど払ってくれなかったり、病院からの支援の程度は人それぞれという印象でした。
ここらへんは、病院がどの程度、人材を大事に考えてくれているのかに関わってくると思うので、今後も手厚く支援してくれる病院が増えれば良いなと思います。
認定されれば、ある意味存在するだけで診療報酬としてキッチリ還元していますからね・・。
多くの場合、支援をもらうという事は御礼奉公(卒後一定期間働かなければならない)も必要になってきますので注意が必要です。
期間内で自己都合により退職する場合、学費を返還するよう請求されたという話も聞きます。
病院からの支援が少なく、経済的に就学中の生活が難しい場合は、看護協会から奨学金を借りるという選択肢もあります。

認定看護師教育課程の授業

教育機関によってカリキュラムは様々でしょうが、私の場合は実習期間を除いて半年間、ほぼ毎週月曜から金曜まで授業がありました。
年末年始のお休みもありましたが、実習直前だったこともあり、かなり忙しかった記憶があります。授業では個人のレポートやグループワークでの課題も多くありました。
もちろん単元ごとにテスト(中間試験、修了試験等)があり、基準に満たない場合は再試験となります。
多くの学生は、社会人としてしばらく学業を離れているので、最初は60分座って授業を受けるのも大変ですし、それが朝から日が沈む頃まで続きます。テスト勉強と言われても、学生の頃のように頭も柔らかくないので、暗記するのも大変で、最初はなかなか苦労するかと思います。
ただ、実際には追試になったとしても、勉強ができなくて退学になる事はほぼないので、そこは安心していただいて良いかと思います。
学生間でも試験対策の勉強会を開催したり、協力して乗り越えていました。
ただし、一番重要な卒業後の認定試験は合格率90%近いとはいえ、基準に満たなければ容赦なく不合格となりますので、しっかり勉強する習慣は必要です。

かなりネガティブな内容でやる気を削いでしまったかもしれませんが、正直言って、私は社会人になってからこの半年間ほど真剣に勉強した期間はありませんでした。
勉強する内容も自分の専門とする分野なので、大学の頃の勉強よりはかなり興味を持って取り組めますし、自分が臨床の中であまり疑問に思っていなかったこともより深く、分かりやすく学ぶことができました。

なので、自分がプロフェッショナルとして取り組む分野について、一生に一度は真剣に勉強に取り組む半年間というのがあっても良いんじゃないかと私は思います。

認定看護師教育課程の実習

テストも大変ですが、教育課程のメインはこれです。
とにかくハード。学生の頃も良い思い出無いですが、大変さは比じゃないです。

実習期間は3週間ほどですが、その間にICUでの症例、トリアージでの症例、救急外来での症例を複数取り、アセスメントして看護問題を抽出し計画を立案、評価しなければなりません。
毎日膨大な量の記録に追われますし、実習期間内には研修施設のスタッフを対象とした勉強会を企画し実施する必要もあります。寝られない。

自宅のプリンターの用紙は何度も買い足しましたし、実習期間が終了する頃には紙袋にいっぱいの記録用紙を持って帰ることになります。
もちろん分野によっても学校によってもハードさは異なるでしょうが、自分の看護を言語化し、「看護とは何か」についてトコトン向き合うことができる時間になると思います。

それでもまあ、キツい部活のOB風に言えば、終わってみれば楽しかったと思える半年間でしたし、あの期間を乗り越えたからこそ今があると思えます。

というわけで、認定看護師教育課程は楽なところではありません。
でも認定看護師は資格を取ったら終わりじゃなく、資格を取って何をするかが重要です。苦労したからこそ、今自分自身が認定看護師として活動できていると思いますし、そのための知識と技術を学ぶことができたと思います。

色々書きましたが、個人的には迷っているなら行って損はないと思います。
ぜひチャレンジしてみることをおすすめします。

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは有意義に活用させていただきます!