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中古で漫画を全巻揃えても、その作品のファンだと言えるのか

ずいぶん前になるけれど、「漫画村」騒動のあたりから、コンテンツにはお金を払うものだという空気になったと思う。
それはもちろん、著作権法があるからとか、絶対的な理由がある。


しかし、例えば、違法の無料音楽アプリを使っている人に対して「著作権法違反だ!」と非難する人が全てではない。その中でよく目にするのは、「クリエイターにお金を落とせ!」というような主張だ。小学生が、「先生に怒られるからやめなよー!」と注意するのか、「〇〇ちゃんがかわいそうだからやめなよ!」と指摘するのかの違いに似ている。もちろん、違法アップロードは間違いなくいけないことなのだが、それを非難する理由が人によって違うことがあるのが興味深い。

お金を払えばいいってわけじゃない

また、同じ「お金を払う」行為を挟んでもまた違う価値観がぶつかる時がある。音楽にしろ漫画にしろアニメにしろフィギュアにしろ、「真のファンは新品を買ってこそ」みたいな空気がある時がある。お店で試着したものをネットで買う!と豪語する男女のCMが炎上したこともある。例えお金を払ったとしても、それを世に出した本人にお金が落ちないといけないみたいな風潮があるのだ。古本屋やリサイクルショップが全国に展開している現在、中古の物を買うことは決して違法ではない。しかし、それで真のファンだと、オタクだと言えるのか!みたいな人が少なからず存在するのである。これもおもしろい。


Q.最強のファンはどれだ


では、とっても人気のバンドがいたとする。CDはバカ売れ、ライブも盛況。テレビにも引っ張りだこながら、YouTubeの公式チャンネルではミュージックビデオを公開し、楽屋での裏話なども投稿するなど熱心な活動をしているとする。
そしてここに、そのバンドのファンを自称する3種類の人間がいたとしよう。

①CDは近所のリサイクルショップで全て買い揃えている。なんなら昔のグッズまでそこで買っている。(お金は払っているが、公式には何も届いていない


②YouTubeを全て見ているし、出演したテレビ番組は毎回録画して見ている(お金は払っていないが、公式チャンネルの再生回数という点では貢献している


③ライブに毎回足を運んでいる(直接そのバンドにお金を払っている

どれが最強のファンだろうか。もちろん③だと、思うかもしれない。しかしぼくが提示したい答えは、どの人もちゃんとファンなのでそんなことはどうでもいいということだ。1番すごいのはこれだけ色々な楽しみ方を用意してくれる側の人たちだ。

A.どうでもいい

ここ10年くらいで、「オタク」であることは必ずしも悪ではなくなってきている。かつては「オタク」といえば根暗で、人と会話ができない人みたいなイメージだったのが、今ではアイドルや女優なんかも「実は〇〇オタクで〜」などと気軽に話すようになった(かつてオタクを迫害していたような陽キャっぽい見た目の人がこれを使うと、オタクとしては多少複雑な気持ちになる)。「オタク」という言葉が身近になり、誰しもが何かのオタクになった現在、あいつよりあいつのほうが、とか、あいつはああ見えて実はにわかファンだ、とか、そういう話が増えた気がする。でも結局、好きならなんでもいいんじゃないか。オタクであることは個性になり得ないし、○○が好きなんですと言われても、はいそうですかとしかならない。

この前、新巻を買いそびれていた漫画をたまたまブックオフで見つけたので迷わず買い、ウキウキで帰宅した。ぼくには妹がいるのだが、ブックオフに行ったと話をしたら、自分は中古で漫画は買いたくないんだと言っていた。漫画家にお金が回らないからだそうだ。それを聞いたぼくは、なんだか居心地が悪い気がしてブックオフのビニール袋を慌てて隠した。同じ家で育った同じくらいの金銭感覚の人間でも、何にお金をかけるかは人によるんだろう。ただ今回ブックオフで買った漫画「ULTRAMAN」は大好きで、Netflixにちゃんとお金を払ってアニメを見ているし、Apple Musicで主題歌も聴いて、フィギュアも買った。ぼくは、中古で漫画を買ったことはあるものの「ULTRAMAN」についてはわりかしお金を払っているファンだと言いたい(次の巻は本屋さんで買ったし)。

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