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コロナウィルスOverview #2:世界中の人に共通していること1

コロナウィルスへのワクチンがようやく実用化されましたね。いくつかの懸念は残りますが。これから先のことを考える前に、それらを一つ一つ見ることから始めたいと思います。


まずは何より、周囲の人の話を聞いて気になっていたのですが、多くの人がワクチンと治療薬・対処薬の区別がついていないようだということです。これを読んで「そんなことが!?」と思う人がいるかもしれません。私もそう思っていました。ですが、私がワクチンのことについて話をしたり聞いたりした人の多くが、ワクチンを他の薬と混同していました。いえ、正確には「もともと区別を知らないので同じに思っている」のですが。

これが現実なのでしょう。そして、それで概ね問題はないのかもしれません。問題ない、といいましたが、実はこれは「人をマス(mass:多数の集合体)として見た場合です。

ここから先の検討にも通じるところですが、人を「集合体として見るか、個々人として見るか」によって、個人・家族・コミュニティ・社会についての考え方はかなり変わるものです。上記のテーマを例に少し書いてみましょう。

ワクチンと他の薬を区別しなくても大きな問題がないのは「人をマス」で見た場合だ、と先に述べました。それは「油断・気の緩み」の具合についてです。「ワクチンができたので、もうコロナにかからない・かかっても治せるから大丈夫だ」と感じる人が多くいそうなわけですが、マクロな視点で見れば、科学的に正しい知識とそうでないがおおよそ近い知識で、どのような違いが生じそうでしょうか?

そう、「現実のリスクに対しての緊張感の緩み」の具合です。個々人のレベルでみると、もしその人が感染のリスクに出会った場合、この違いは、すっかりではないとしても結構危ういことになります。簡単に言えば、風邪のような症状が起きた時に、それをどう判断して対処するのかを間違ってしまう率があがり、それが一連の判断ポイントごとに積み重なるからです。ワクチンを使った後「これでコロナになってもすぐ治るんだ」と思って全く気にせず行動したり、症状が出ても対処薬を飲んで気分がよくなると「もう治った」と普段どおりに動いてしまうと、結果として、周囲に感染を広げるリスクもあがります。

ですが、大きな集団を見た場合どうでしょう? ワクチンが罹患や悪化の予防効果を確かに持っているとした場合、それはあまり大きなリスクを生みません。確かに正しい理解がないと、先に示したとおり個々人としては結構まずい時も出てくるのですが、それでも全体としてはまあまあ期待された効果が得られるからです。

集団への動向や効果を見る場合、それは全体に対する平均値で見ればよいためです。「理解が間違っていても結果的に大丈夫な人も増えれば、ある程度その誤解で不幸なことになっても全体の平均値で見れば良い結果が出ている」となるのですから。

どちらの視点が絶対的、ということではありません。社会的な集団と、私的な個人にとっての意味の違いです。そして現代人の多くは、概ねある程度はその両方を持っているものです。私がみなさんに(そして自分自身にも)問いかけるのは、みなさんそれぞれは、その二つの視点のどちらをどれだけ持っているのでしょう? というものです。

これは深刻なことを扱う心理療法の経験で、アンビバレンスというものを考え続けることが重要だと感じていることから来る視点です。

最後に、ここでは余談になるのですが、ワクチンと治療薬・対処薬の医学的な違いを改めて書いておこうと思います。

ワクチン・・・病気にかかりにくくする。かかっても悪化しにくくする。
治療薬・・・ある程度の確率で、病気を治す。病気がなかった状態に持っていく。
対処薬・・・病気により生じた症状(病気の症状で芋づる式に生じた二次的病状も含む)を和らげることで、悪化を防ぎ、結果として改善・自然に回復する可能性を上げる。

知っておいてほしいのは、どれも副作用や効かないことがある程度はあるということです。有効性が高ければ、とても有用でスピーディな効果をもたらす「人が造りしもの」なことが多いのですが、万能ではありません。

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