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木の葉化石11:ムカシウラジロノキSoubus palaeojaponica と「お知らせ」

 今回ご紹介するのは現代のバラ科ナナカマド属SornbusのウラジロノキSorbus japonicaに近縁のムカシウラジロノキSorbus palaeojaponicaです.一見すると,これまでご紹介したカバノキ科の葉にも似ている特徴を持っていますが,主脈から伸びる二次脈が葉先に向かうにつれ,左右で対にならなくなり(対生ではなく互生),左右それぞれで二次脈が平行に伸びていないこと,二次脈と二次脈の間の三次脈も並行ではないこと,などから区別できます。
 現代のウラジロノキは葉の裏側が白色がかっているので“裏白”の木なのですが,化石では色が残らずそれがわかりませんね・・・.ウラジロノキは本州以南(本州~九州)の山地帯に生育する落葉高木です.化石の産状から考えると,化石種のムカシウラジロノキも同様の生態であったと考えても良いでしょう.

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 写真のムカシウラジロノキは,今からおよそ680万年前ころの北海道中央東部,ぬかびら源泉郷付近に分布する地層(十勝幌加層)から採集したものです.葉脈がはっきりしており,現代の落ち葉のように見えます.本当に美しいですね!

 さて,私事ですが,私「北海道の木の葉化石博士」は今年度をもって高校教諭を辞することになりました。来年度からは本業を極めるためにも博物館の学芸員として働くことになります。これまでは高校現場で働く人だから応援していたのに・・・という方もいらっしゃるかと思いますが,今後は高校現場で得た教育のノウハウを生かしながら研究のみならず市民教育にも力を尽くしていきますので,変わらず応援していただけるとありがたいです!

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