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クレスト スタッフ・リレー③当たり前がいちばん特別だということ by 宣伝スタッフK

これまでの記事はこちら☛連載〈スタッフ・リレー〉 

スタッフリレー、バトンを受け取りました、クレスト宣伝スタッフKです。
さてさて、EW、スタッフM、そして私スタッフK。このメンバーでやってきたこれまでを振り返ってみると、「映画にできる限り近づいてみる」を実践してきた気がします。

孫の手術費を稼ぐためにソーホーでウェイトレスを始めるおばあちゃんを描いた『やわらかい手』では「ぶらり・色街っく天国」と題して色街を散策してみたり、世界遺産サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼の旅を描いた『サン・ジャックへの道』では3カ月かけて東海道を歩いて渡ったりしました。今日私がイチオシする映画『いとしきエブリデイ』では、交代で「毎日」朝食の写真をFacebookにアップしていたことを思い出します。

『いとしきエブリデイ』は、父親不在のある家族の日々を通して、誰もが当たり前にあると思っている<時間>の尊さを、名匠マイケル・ウィンターボトムが美しい映像と叙情あふれる音楽で描いた感動作。

主人公はステファニー、ロバート、ショーン、カトリーナの幼い4兄妹たち。今朝もママに起こされ、朝食を済ませたらいつもの道を通って学校に行く、そんなどこにでもある家族の風景が映し出されていきます。ひとつ違うのは、パパが今日もいないこと…。

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パパが家族の元に帰ってくるまでの5年間を、本当に5年かけて撮影されており、映画の中で子供たちは実際に成長します。それは観る者に強烈に<時間>というものと、その間の父親不在による喪失を印象付けるのです。

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注目してほしいのは子供たちで、実は本当の4兄妹が演じているんです。彼ら以外はみんなプロの役者たちですが、その中で見せる子どもたちの“演技”の凄みといったら!“演技”の概念を覆すほど奇跡的で、それを観るだけでも価値ある一作です。

そして私がなによりこの映画をイチオシしたいポイントは、映画が描く何気ない毎日の積み重ねの隙間から立ちのぼってくる「当たり前がいちばん特別」ということ。

コロナウィルスによって、私たちはかけがえのない日常を失うことになりました。卒業式、入学式、高校野球に学園祭。二度と戻らない青春を失った若い世代を思うと胸が苦しくもなります。またこの映画さながらに、愛する家族と会うこともままならなかった人も少なくないでしょう。

繰り返しになりますが、この映画は、誰もが当たり前にあると思っている<時間>の尊さを描いています。だからこそ今、観てほしいと思うんです、マイケル・ウィンターボトムが5年の歳月をかけて撮った、二度とない同じ“毎日”を。
過ぎ去った日々は戻らない、それでも新しい毎日はやってくる。そんなシンプルなことに気づかせて、感謝させてくれる名作です。

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4月10日にご逝去された映画作家 大林宣彦監督は、本作を「奇跡のように作られた幸福な映画」と評してくださいました。ここに頂戴したコメントを引用させていただきます。

見終わって、映画に「有難う」と言った。

僕はとても幸せな気持ちになっていたから。

毎日よ毎日よ有難う。

僕もこの一日を生きてゆきます。   

大林宣彦さん(映画作家)

東日本大震災の翌年、大林監督の事務所で色々お話を聞いたのが昨日のことのように思い出されます。私の語彙力では表現しきれないくらいに温かくて愛に溢れた方でした。震災後を生きていた私たちに「普通の日々が続くことは「有難い」こと、まれなことなんです」とお話ししてくださいました。

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クレストの配信パックでは、同監督の大ヒット作『イタリアは呼んでいる』も配信中。こちらは、同じ監督が撮ったとは思えない抱腹絶倒のおっさんズ・コメディ!『いとしきエブリデイ』とはジャンルの高低差ありすぎて耳キーンなるやつです。両方オススメ!

クレストインターナショナル見放題配信パック

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