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クレスト スタッフ・リレー① 「私のイチオシ」 by EW

クレストのスタッフが配信パックの作品の中からそれぞれ一押しの作品の見どころや思い出を語る『品よく図々しく、勝手にイチオシ。』のリレー始めます。
まずは私、EWからホン・サンス、4本まとめて参ります。

『パラサイト 半地下の家族』の世界的な成功で大注目の韓国映画。素晴らしい監督たちが揃う韓国で唯一無二の映画を作り続け、異彩を放つ監督、それがホン・サンスです。

ホン・サンス監督オフィシャル写真s

韓国のエリック・ロメールという異名をとるホン・サンスは、フランスでは圧倒的な人気を誇り、日本でも熱いファンに支えられています。
韓国映画には激しい情動が表出するものが多いですが、ホン・サンスが描く世界は真逆です。
初めて見る方は、え!これが韓国映画?と拍子抜けするかもしれません。

おなじみの妄想的恋愛にふがいない男たち。なのに、一度見たら癖になるホン・サンス映画。でもやっぱりいつも同じ。でもまた見たくなる。そんなスパイラルに入っていた作風に変化のきっかけを与えたのが女優キム・ミニだと私は思っています。小さな顔と長い手足、抜群のセンスでモデルとしても活躍していた彼女は、とびぬけて美人というわけではないのに、醸し出す独特の雰囲気はとっても魅力的です。

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二人が初めて組んだ映画が『正しい日 間違えた日』。偶然に出会った二人がタイミングの違いで異なる結末を迎えるまでを描いています。
ホン・サンスとキム・ミニ、二人が恋に落ちていく過程をこの映画は記録しているといってもいいかもしれません。二人はこの作品をきっかけに恋人同士へと。
続いて二作目の『夜の浜辺でひとり』。本作でキム・ミニはベルリン映画祭で韓国人として初の主演女優賞に輝きます。愛する女性を最高の舞台へと押し上げたホン・サンス。
でも、その祝福も彼が既婚者であったことから大バッシングへと発展していきます。それでもめげない二人は次に『クレアのカメラ』をフランスの大女優イザベル・ユペールを迎えてさらりと作ってしまいます。その翌年、ホン・サンスは新作『それから』を引っ提げて、カンヌ映画祭コンペティションの上映にキム・ミニと手と手をつないで登場します。本作は二人のスキャンダルさえも可笑しみと悲しみのタペストリーへと編み上げたホン・サンスの大傑作。賞こそ取りませんでしたが、絶賛の嵐でした。
恋に落ちた監督と女優はたくさんいますが、不倫という関係は許されることではなく、バッシングも仕方ないのかもしれません。でも、それを乗り越えて、ホン・サンスには不思議な魅力があふれる映画をキム・ミニとずっと一緒に作ってほしいと願っています。

ホン・サンス映画の特色の一つとして、必ずお酒を飲むシーンが出てきますが、それも楽しい。ダラダラとグダグダとなのになぜか面白くて目が離せない。二人の一作目『正しい日 間違えた日』でも、キム・ミニが酔って管を巻きますが、これが絶妙で、こんな酔っ払いなら絡まれても仕方ないと思ってしまうほどの小悪魔ぶり。
『夜の浜辺でひとり』では、お酒を飲めばいつも怒りを爆発させ、『それから』では、飲んだ後に乗ったタクシーの車内から降り始めた雪を見つめるその穏やかな表情に戦慄を覚えます。

『それから』sub4

二年前に4本連続で公開した時に吉田大八監督からいただいた素晴らしいコメント。

天国と地獄の間に一瞬だけ射し込む光、美しい恩寵!

奇蹟と書いてキム・ミニと読む。

私も深く同意いたします。
一作でも面白さは十分味わえますが、4本見ることでその味わいが変化していくことがわかるはずです。ぜひこの機会に!


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