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ホームシックとアウェイシック

先週夫が体調を崩し、めずらしく5日間ほど回復しなかった。
朝2時間半だけパートの仕事をしているので、なんとか仕事には行って、帰ってきてからぼんやり家事をこなし、昼寝をして、次の朝も体調が悪い…という状態がだらだら続いた。今年の風邪は喉にくるらしく、ずっとのど飴を舐めながらあまり声を発さずに過ごしていた。

声が特徴的な人なので、家の中で声がしないこと、そして小さくずっとスペイン語のラジオをかけているのがなんだか変な感じだった。心ここにあらず、というような。そういえば私も海外で体調不良になった際は、日本語の記事を読んだり日本語のYouTubeを見たりしてホームシックになっていたことを思い出した。

ところで、ときどき英語の学習方法を訊かれることがある。
私の方法はとても地味で、ひたすら英語のラジオを聴くというもの。
特に時事ニュースは繰り返し同じ内容を定期的に放送するので、一回目でほぼ分からなくても二回目で解像度が上がり、三回目では知らない単語を辞書で調べたりする余裕が出てくる。なんかいいな、と思う表現があれば小声でリピートする(どこまでも地味w)

アイルランドに留学していた際も華やかな国際交流イベントにはたまにしか顔を出さず、もっぱらホームステイ先の自室(屋根裏部屋)にこもってアイルランドのラジオRTE Radioを聴いていた。私が出かけたと思いこんでいたホストファミリーに「え?!ずっと部屋でなにしてたの?」と驚かれたこともある。帰国後から今までは主にイギリスのBBC Radioを聴いていて、そのせいで職場のアメリカ人の発音にいつまでも慣れないでいる。

そうやって志高く異国の言葉を学んでいても、体調が悪いときはそうも言っていられなかった。私が日本語コンテンツの繭に逃げ込み魂を休ませていたのと同様、夫もスペイン語のラジオを子守唄のように耳元でかけながら、ひたすら寝ていた。

ホームシックに比べたら、刺激たっぷりの異国暮らしに戻りたくなるのは贅沢で、軽い症状なのかもしれない。しかし私のそれは最近日を追うごとにひどくなっている。日本語で細かなニュアンスまで意思疎通できることが当たり前の、ぬるま湯のような日常を飛び出してまた全力でコミュニケーションをしなければ生きていけないサバンナに飛び出したいと願ってしまうのだ。野生に帰りたい保護動物のように。

かといってすぐに仕事を辞める、というような勢いは今は持ち合わせていないけれど、とりあえず日を決めてまたヨーロッパに行くことにした。職場の上長にも時期は伝えて(というより宣言して)ある。こんなとき国際結婚は便利な言い訳で、「義家族に会うため」と言えば長期休暇も通しやすい。

夫も体調不良を乗り越えながら、少しずつ日本に馴染んでいるといいのだけれど。
ホームシックとアウェイシックを同時解決できるように、とりあえずお金を作って渡西するしかない、というところまで追い込まれている。

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