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言葉の贈りもの

マネジメントというものをするようになってから、3年近くが経過した。
しかしここ最近はチームのメンバー数が10人を超え、気づけば数字の管理に追われ、常に業務過多な状況。ポジティブな気持ちで働くことが難しくなっていた。

メンバーの体調不良や休職も発生し、それでも変わらぬ数字を達成するよう求められる日々。人間というオーガニックな存在をまるで無視しているかのような、無機質なエクセルのグラフと数字たち。会社という名の利益追求集団。

誤魔化すのも限界にきて、もういいかな、ぜんぶ手放してしまおうか。
アルバイトでも生きていけるんだし。
と揺れ揺れだったここ数ヶ月。

そんなとき、さらに追い討ちをかけるように「量ばかり求められる環境で、自分の成長を感じられない」とメンバーが一人退職することになった。

これまで引っ越しなどやむを得ない事情で退職するメンバーはいたけれど、退職後も「辞めなければよかったと後悔した」と連絡をくれるぐらい、職場環境は良いつもりだった。ネガティブな理由での退職ははじめてのケース。

単にそのメンバーが会社に合わなかったと言えるかもしれないが、それだけでは片付けられないような、嫌な感じがした。日々「こなす」だけで、メンバーの成長まで考える余裕を失っていた。それは、本当に時間がないから、業務過多だからできなかったのか?と振り返ると、それだけじゃないように感じる。

彼女には正直に「自分も最近ポジティブな気持ちで仕事をできていなかった。反省している」と伝え、「それは環境のせい。あなたのせいじゃない」と言ってもらえたけれど、ここから自分の在り方、仕事の仕方をガラッと変えようと決意した。

今後はわからないけれど、とりあえず今の環境で、誰になにを言われようと「理想」を実践する。メンバーの成長を最優先にして、もっと活発にフィードバックし合う環境をつくる。不要な型を壊して、新しい環境を創造する。スクラップアンドビルドを地で行こうと思った。

こんな経緯があった当日、会社で飲み会があった。
そのメンバーが辞めることも、私の悩みも打ち明けていないのに、唐突にあるメンバーから「人生ではじめて、仕事に対してポジティブに感じている。その多くはあなたのおかげだと思っている」と言われた。それを聞いた他のメンバー達から、「〇〇さんがいなかったら3ヶ月ぐらいで辞めていたと思う」「まだ続けられているのは〇〇さんのおかげ」と次々に言葉をもらった。

アメリカの文化や、よりストレートに表現する英語の言語的特徴もあると思うけれど、こんな風にまっすぐ感謝の言葉を伝えてもらうのは本当に嬉しいし、タイミングもあって少し涙腺にきてしまった。ドラマのような、できすぎた展開だった。

数字を追いかける会社にいても、数値化できないことばかりで溢れている。
私がまだ会社にいるのも、数字じゃない部分で大切なものがあるからだ。
生きている時間は短い。その間で出会った人には、仕事でも私生活でも、ポジティブな言葉を惜しみなく与えていきたいと思った。

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