香港ラグビー事情(15人制)
你好!今回は香港のラグビー事情について書いてみます。
わざわざ15人制と書いてあるのは香港はセブンズのイメージが強い気がするからですね。
ヘッダーは2017年アジアカップの香港vs日本の試合の時の画像(クリエィティブ・コモン・ライセンス画像)です。
1.香港ラグビーの歴史
香港ラグビー協会が正式に建てられたのは1952年です。
ただ、チーム単体では1880年代から結成されており、HKFC(Hong Kong Football Club)は1886年から続くチームです。
ラグビーに限らず英国でポピュラーな球技全般をカバーしているクラブです。(残念ながらアメリカ発祥の野球は単独での部門はないようです…)
15人制代表としては1970年代にアジアでの国際試合が始まり東アジア・東南アジア全域で対戦を沢山やる時期がありました。
1980-1990年代は日本・韓国に次ぐアジアで3番目に強いチームという位置に甘んじていました。
2015年以降は、 Leigh Jonesにより、香港代表を育成・強化するプログラムが実行され、日本のリーグワンに近い形を目指してプロリーグが発足しました。ラグビーワールドカップに関していえば、2019W杯は敗者復活戦で逃しましたが、2023W杯に向けて、今後アジア予選・1位になった場合はトンガと試合することが予想されます。(詳しくは3.香港代表について の項目で書きます)
2.香港ラグビーのリーグなど
香港のラグビーのリーグは大まかに分けて2段階に分かれています。
国内のクラブであればさらに多いです。
香港ラグビー協会のFacebookページで試合動画が上がるのは基本的に一番上のカテゴリの試合です。
https://www.hkrugby.com/domestic/dettol-hong-kong-premiership-rugby
試合結果・今後の試合情報は上のURLより情報収集が可能です。
男子はDiv1とDiv2に分かれており、女子はDiv1のみという構成になっています。それぞれ6チームです。
チームの顔ぶれも男子と女子で微妙に異なっています。
(例えばアジア系の選手を主体に構成している Gai Wu は女子のみプレミアシップラグビーに参戦している。結構強い。)
男子に限定すると、Kowloon RFCとValley RFC、Hong Kong FCの3チームが9回のうち8回のタイトルを占めている状況です。2021年はHong Kong FCが首位を独走している状況です。
プロ化しているチームは一部メンバーシップ(ファンクラブみたいなもの)もあるので、物好きな方は加入してみても良いかもしれません。
なお、筆者はGai Wu Falconsのマスコットキャラが好きなのでGai Wu推しです。
プロアマ関係なく地域のラグビークラブについてはこちらから検索して近所のクラブの拠点を見つけることができるようです。
男子は、香港島が7チーム・九龍が7チーム・新界が2チーム・離島が1チーム。
女子は香港島が6チーム・九龍が7チーム・新界が2チーム。
という形になっています。大半が香港島や九龍というイギリス領時代から都市化されていた地域に集中しています。
一部、複数チームで共用しているグラウンドもあり、狭い国土ならばでの事情が読み取れます。
香港ラグビー協会の本拠地は、Hong Kong Rugby Union King's Park Sports Ground/香港欖球總會京士柏運動場 にあります。
7人制ラグビーは相当数の観客が集まるのでみんな大好き香港スタジアムで実施されますが、15人制ラグビーの試合でもテストマッチを中心に香港スタジアムが使われます。
3.香港代表について
7人制だと、アジア系の選手が2~3割ほどいますが、15人制だとほとんどが欧州系の選手になっています。
協会のホームページの情報が古い可能性は十分あるので、
2022年のアジア予選で選手の構成は変わるかもしれません。
2019ラグビーW杯の最終予選の時は、姚錦成(Salom Yiu)選手が7人制選手でありながら15人制の試合のウィングで起用されていました。
基本的には香港プレミアシップのトップ6チームから選抜されますが、一部それ以外のメンバー・前述したように7人制の選手にも召集がかかることもあるようです。
2022年はCovid-19の状況次第ですが、中国同様海外からの召集が厳しい地域なので香港内にいる選手から選ぶことになるかもしれません。
3-a. 2023年W杯に向けて(2021年12月時点)
香港は15人制のラグビーワールドカップに関しては1987年以降、1回も出場できていません。主にアジア予選で日本や韓国の壁にぶち当たり、2019年W杯最終予選ではカナダの壁にぶつかった印象です。
2023年W杯に向けて言うと、2022年前半に予定されているアジアカップで韓国・マレーシアと試合を行い1位になった上で、トンガとの試合に勝てば出場が決定します。負けた場合は最終予選に回ります。
対戦相手に立ちはだかるトンガ代表は代表条件が今年10月に一部緩和された影響で過去に他国での代表を持ちながら出場できる選手の幅が広がっています。
2022年だと、イズラエル・フォラウ(浦安)・マラカイ・フェキトアなどが代表メンバーに名を連ねることができる状況なので香港代表が勝つのは厳しいかもしれません。(国内の試合を少し視聴した感じでもトップリーグと同レベルかやや劣るレベルの強度)
最終予選に回った場合でも、アメリカ合衆国・チリのどちらかに加え、ルーマニアとポルトガルのどちらか(恐らく)と対戦することになります。アフリカからはナミビア・ケニアが来るでしょう。
ヨーロッパとアメリカ(主に南米)の底上げが直近進んでいることからこちらのハードルもかなり高い印象です。
3-b. 香港でプロラグビーをやりたい場合は
https://www.hkrugby.com/national-team
上記サイトの下の方にメールフォームがあるので、そこにメールを送付してコンタクトを取れば良さそうです。
基本的にはワールドラグビーの規定に従って香港生まれ・親~祖父母が香港生まれであることが条件になります。日本にいる選手でも香港生まれであれば代表になることは可能ではないかと思います。
(5年以上香港でプレーすることで代表になる道もあるかもしれませんが、香港のチームは15人制の場合はアマチュア~セミプロに近い形態なので日本の選手が香港代表を目指す場合、キャリアと天秤にかけることになるのではないかと思います。7人制だとほとんどがフルタイムアスリート=プロですが…)
選手例リストの中にはROWAN VARTYという選手もおり、一時期トップリーグの豊田自動織機に在籍していたこともあるようです。
4.最後に
香港のラグビー事情について一通り書いてみました。
記事を書いた動機として香港のラグビーに興味があるだけでなく、各地域でティア1と呼ばれる強豪国は単独で強いわけでなく必ず好敵手や強力なティア2のチームがあります。
ヨーロッパは全体的に強いです。定期的に6か国対抗戦を行っているのでお互いの手の内がばれている前提での戦い方を心得ています。
南アフリカは他のアフリカ各国のレベルにやや難があるものの、URCへの参戦を通して時差のないヨーロッパの環境に上手く入れており、若手の育成に関しては良い環境ができています。
NZやAUSはサモアやトンガ・フィジーと近接しているため、太平洋島嶼国と対戦することである程度のバロメーター・若手の育成環境を得られます。また、NZ・AUS間でブレディスローカップを行うことでお互いの立ち位置を確認できる環境です。
南米に目を向けると、アルゼンチンにはウルグアイという相手がいる上に、SLARで南米全体の底上げが始まっているので若手を育成する環境が整いつつあります。
この面で日本代表が今後ティア1の各国と好勝負を広げるにとどまらず安定して勝てるようにするためにはアジア全体の底上げが必要と感じています。これにより日本側も若手の育成や強化を図る場をスムーズに増やす事ができます。
(だからと言って私に何か大きなことができるわけではありませんが)
そのためにも今回の記事を通して、今後はアジア各国のラグビー事情の理解が深まればいいなと思っています。
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