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年間230回・2万人超が参加するウェビナーを開催するのは、クリエイターとのつながりを大切にするからこそという話

コロナ禍で大きく変わったことの一つと言えば、仕事のオンライン化やリモートワークではないでしょうか。IT用語で言えばDX(デジタルトランスフォーメーション)が一気に進みました。かくいう私も、対面してコミュニケーションをはかる場合と、効率重視でオンラインで仕事する場合をミックスした日常になっています。

セミナーやイベントもオンラインでの開催が完全に定着していると感じますが、株式会社クリーク・アンド・リバー社(C&R社)ではなんと年間230回以上(休日以外ほとんど毎日!)も、クリエイター向けのオンラインセミナー(ウェビナー)を開催しています。
その開催と運営について、一体だれがどのように行っているのか取材しました。

※ウェビナー:Webとセミナーを組み合わせた造語。ウェブセミナー、オン
       ラインセミナー。


ウェビナー開催の目的

今回お話をうかがったのは、C&R社マーケティング・グループの責任者、グループマネージャーの篠崎祥子(しのざき・しょうこ)さんと、無数のセミナーを千手観音のようにさばいて運営する同グループPECセクションの植原さゆり(うえはら・さゆり)さんです。

マーケティング・グループ グループマネージャー
篠崎祥子さん
マーケティング・グループ PECセクション
植原さゆりさん

そもそもウェビナー開催の目的は何ですか?ー
篠崎さん:「C&R社はクリエイターに仕事やプロジェクトを紹介するエージェンシーですが、仕事紹介での接点は人生の中で2~3回くらいしかないですよね。それ以外の接点として学びやスキルアップの機会を設けて、常にC&R社とつながっていてもらうために実施しているのが、ウェビナーなんです」

「技術やトレンドを身につけて、C&R社のミッションの一つ『クリエイターの生涯価値の向上』につながることを目指しているので、登録している方はほとんどのセミナーが無料で受講できます。すぐに転職の意向がなくてもいいですし、申し込み方法も簡単ですから自分のためにどんどん受講して欲しいです」

ウェビナーの種類

2020年以前はすべてリアル開催していたそうですが、コロナ禍後、一気にオンライン開催のセミナーに置き換わりました。そして参加者は年間累計2万人を超えています。1回あたり通常100名、多い時には700名が参加することもあるそうです。

どんなウェビナーが多いのでしょうか?ー
植原さん:「今特に人気が高いセミナーはブラウザ上でUIデザインやプロトタイプ制作ができる『Figma』や『AI(人工知能)』、『UI/UX(ユーザーとの接点や体験)』などに関するものです。Web系のクリエイターに向けたセミナーが多いのですが、それ以外にも映像系やゲーム系の話題も行いますし、クリエイターとして仕事を得やすくするための『パーソナルブランディング』セミナーなども開催しています。いろいろなスキルを身につけたい人に対応できるように、バリエーションを持って企画しています」

2023年11月のウェビナースケジュール。ほとんど毎日開催している

開催までに重要なことは

種類豊富に実施するにあたって、ウェビナーを企画から準備、運営までをどのように進めていくのか、そのやり方について聞いてみました。

ウェビナーの実施アイデアはどうやって?ー
篠崎さん:「私はいろいろなSNSを見て、フォロワーがつぶやいているキーワードをたどって企画を考えています。とにかく今クリエイターにとってのホットな話題を探っています。そのほか社内のエージェント(営業担当者)にも相談しますね」

植原さん:「セミナーの事後アンケートで受講した方が書いた『学びたいこと』をヒントにしていることが多いです。それを社内のエージェントに話してニーズがあるかどうかも確認します」

ChatGPTや生成AIに関するセミナーも人気

篠崎さん:「とにかくこのどんなウェビナーを行うかという『企画』が最も重要です。その上で、講師との内容の『調整』、集客のための『告知』をしっかりと行う。ウェビナーの成否はこの3つで決まると言っても過言ではありません」

植原さん:「企画を考える中で、セミナーとして実際に実現できる内容にどのように仕立てるかが重要になります。どんな講師で、どんな話をしてもらって、どんなゴールを目指せるウェビナーにできるか。企画している時はその点を常に意識しています」

篠崎さん:「そうなんです。そのウェビナーに参加して何が得られるのか、ウェビナー後にどのようになれるのかを意識して企画を設計していますし、告知にも反映しています。ウェビナーを受講したらどんなメリットが得られるかという告知文章での訴求テクニックも必要になります」

企画後の流れについて

企画が肝ですがそれだけで完璧という訳にはいかないようです。

企画後についてもう少し詳しく教えてくださいー
植原さん:「講師選定は大切です。私たちにはこれまで約20年間で築いてきた、さまざまな分野の講師200名とのネットワークがあります。その先生方でまずは適任者がいるかどうかを探し出します」

篠崎さん:「既存のネットワーク以外から新たな講師を探す場合は、SNSや書籍、これまでの講師からの紹介とか、あらゆる手段でいろいろな人たちにアプローチしています」

植原さん:「講師が決まったら、どのような内容でどんな落としどころで話をするかを打ち合わせて、講義内容を詰めていきます。打ち合わせで講師が話したいことと受講生が聞きたいことが違う場合もありますので、この調整は欠かせません。それが決まったら魅力をきちんと伝えられる告知文章を書いて、社内のWeb担当者に募集ランディングページの制作を依頼して、集客メールを配信してという流れになります」

ウェビナー運営のワンシーン。司会進行もスムーズ

植原さん:「ここまでしっかりできたら、満足度の高いセミナーが80%はできたようなものです。ウェビナー当日は開始30分前から講師と最終打ち合わせをしたり、今後の企画の打ち合わせなどもしたりします。そしてウェビナー自体は講師も自宅から、私もほとんどは自宅から司会進行してウェビナーを実施します。オンライン開催でセミナー会場の準備や移動時間が無くなったので、とにかく時間の無駄なく運営できるようになりました」

ウェビナーならではのトラブルは無いですか?ー
植原さん:「回線の問題なのか講師の音声がブツブツ切れるトラブルもありますがネットワークトラブルはつきものと考えて、運営は2人体制でバックアップしながら行っています」

篠崎さん:「講演中に猫が横切ったり、エサを求めて鳴いたりとかほっこりするトラブルもありますよ」

今後のウェビナーについて

クリエイターに今後どのようにウェビナーを活用して欲しいか、そしてどんなウェビナーを今後行っていくのか聞いてみました。

篠崎さん:「学びの機会、スキルアップのチャンスとして、C&R社のウェビナーをどんどん使ってほしいです。例えば、触ったことのない新しいツールがどのくらい便利なのか情報収集の場としても役立つと思います」

植原さん:「オンライン開催ではWeb系のテーマが参加人数も多くウェビナーとの相性がいいですが、少人数でも作品や実績を紹介しにくいゲームや映像などの領域のウェビナーもどんどん行って、バリエーションを増やしていきたいです」

最後に

篠崎さん:「ウェビナーの参加率は、アーカイブ視聴も含めると申し込み者の70~80%とかなり高いと思います。その参加者からのアンケートへの回答で、感謝の言葉や叱咤激励、全体を通しての満足度評価が私たちの励みになっています。その結果に基づいて講師と内容を振り返って、次の施策の参考にしています。C&R社との接点は就職というある一時点だけでない、人生という長い期間でつながりを作ることができたらいいなと思っています」

まさにC&R社のミッション「プロフェッショナルの生涯価値の向上」を長期的視点で実践している取り組みがウェビナーなんですね。その積み重ねがC&R社の事業を支えていて、クリエイターとの信頼構築につながっていると、ストンとお腹に落ちた取材でした。■CR

【CREEK & RIVER note編集部 TK】

本件に関するウェビナーや業界ニュースなどの情報はCREATIVE VILLAGEで
 


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