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「エッセイ」とやらを書こうと思う

今年は、「エッセイ」というものをちゃんと書いてみようと決めたんですけど、じゃぁ普段 note で書いているのはエッセイじゃないのか?とふと疑問に思ったりして、「エッセイとは、なんぞや?」と調べてみることにしました。

『エッセイとは、書き手が思ったことや考えたことを自由な形式で文章にしたもので、長さや文体、語り口などに指定が無く、自分の思いや考えが文章になっていればエッセイといえる』とあります。

作文か?

感想や体験なんかを綴るという点では、作文もエッセイも同じです。
じゃあ、どこが違うのか?ってことなんですけど、『作文とエッセイとでは明確な違いはなく、ニュアンスとして、作文は「出来事や思ったことを淡々と書き綴ったもの」、エッセイは「読者が共感する事柄を織り交ぜたもの」で、エッセイは著者の心や内面の世界に焦点が当てられているのが特徴』とありました。

何となくですけど、エッセイは読み手に向けて書かれるものっていう感じで理解。
これがワタシには大きく響きまして、考えてみましたよ。

読み手の共感を得ることを目的とするなら、「ユニークな体験が題材で、私的な生活描写と主観的な考えや感情を綴った、好奇心をくすぐるような魅力的な内容であること」が必要条件となりそうです。

といったことから、エッセイとは『私的で主観的な考察ながらも、内面にフォーカスした心のうちを発想力を活かした表現で綴り、読み手を楽しませるもの』というのが、ワタシなりの定義となりましてね。

そもそもは、Facebookに今日の出来事的なことをアップする際、どうせなら楽しい内容にしたいと思ったのがキッカケで、ツライ体験でも面白おかしく書こうと決めたんです。
「読んでくれる人が笑ってくれるのがうれしい」っていう、ただそれだけだったので。

エッセイといえるかはわかりませんが、読み手が楽しんでくれるようにと意識して書いてみた(2016年にFacebookに載せた)文章を、ちょいとここで紹介することにします。

歯科クリニックでの予期せぬ出来事

「アユミさ〜ん、中へどうぞ〜」

事故渋滞に巻き込まれて予約の時間に遅れてしまったワタシは、10時10分に処置室に入りチェアに座りました。
「今日はオヤシラズ抜きますね。歯茎がかぶっちゃってるので、切開していきま〜す」
と早速、小手術がスタート。
麻酔らしきモノをうたれると、数分でじんわりと効きはじめました。
「では切っていきま〜す」

ガリガリ、ゴリゴリ、ガリッ、ゴリッ

数分間、ずっとこんな調子。
淡々と作業が進んでいる中、先生が歯科助手さんに声をかけます。
「〇〇持って来て〜」

ガリガリゴリゴリガリガリゴリゴリ

誰かが何かを持ってきたようですが、一向に先に進みません。
ガリガリゴリゴリガリガリゴリゴリ…

おそらくもう数10分は経っていると思われますが、ちょいと様子がおかしいのです。
「何か引っかかってんだよなぁ…」

何?
引っかかってるって、何??

「アユミさん、歯が骨に引っかかってるので、ちょっと骨削りますね〜」
「あ、はい」

普通に返事しちゃったけど、骨を削る?
削る??
マジか。

キュイーーーーーン

脳天に響くものすごい音。

ガガガ、ゴリゴリ

たぶん、歯を抜こうとしているんでしょう。
でも、全然抜けません。
そして再び
キュイーーーーー〜〜ン

先生、無言。

ガガガ、ゴリゴリ

まだ抜けない。

キュイーーーー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン

「紫のヤツ持って来てくれる?」
紫のヤツって?
何の道具?
このオヤシラズ、だいぶ厄介なシロモノらしく、相当手こずっているようです。

キュ、ウィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン

ものすごい振動です。

ガリガリガリガリガリガリ
(あ〜、骨、削ってる)
ガガガ、ガリガリ、ゴリゴリ、ガガガ、ガリガリ
(あ〜、抜いてる)

ぐらいに、この時はまだ余裕がありましたが、徐々にそんなことを言っていられなくなってきたわけです。

「あの新しいヤツ持って来て」
新しいヤツ?
最新式ってこと??
初めからそれにしとけばよかったんじゃない???

キュイーーーーーン
ガリガリガリガリ、ゴリゴリゴリゴリ
キュイーーーーーー〜〜〜〜〜〜ン
ガリガリゴリゴリガリガリゴリゴリ

カチャ。
「ハー〜〜〜…」

ため息だ!
なんか置いたよね、カチャって音がしたけども!!
新しいヤツなんじゃないの?
新しいのでもダメなわけ?
諦めないで、先生。
頑張って、先生。

キュイーーーーーーーーン

またか。やっぱり骨削るのか。
ガリガリガリガリって、結構削ってるよね。
ゴリゴリゴリゴリって、全然抜けないよね。

「ダメだな〜」
ダメってなあに?
歯ぐき切ってるし、多分血がいっぱい出てると思うんだよ?

「アユミさん。抜けないので、歯を削っていきます」
「あ、はい」

そうなんだ。
骨も歯も削るんだ。
はい、って返事したけどさ。
ワタシは、まな板の上の鯉なんだから。
はい、って言うしかないじゃない。

キュイーーーーンガリガリゴリゴリ
キュイーンキュイーン
キュイーーーーーーン..... ... .

果てしなく続くキュイーーーン
もう、何が何だか。
早く抜けてくれ、取れておくれよオヤシラズ。
先生と歯科助手さんの力が、唇だの舌だの、麻酔の効いてないところにヒットしすぎて痛いのよ。
力入りまくりなわけよ。
唇が、歯に挟まってるし。
舌を、指でグッて押されるとオエッってなるし。

キュイーーーーーーーーーーーーン

すると、こんな声が聞こえてきました。
先生「これ、スゴイよ!」
歯科助手「ホントだ!」

何この会話。
スゴイって何?
何がスゴイのよ。
見たい。
超見たいんだけど。

キュイーーーーーーンガリガリゴリゴリ

スゴイものの正体がわからないまま、キュイーーンは容赦無く続きます。
この頃はワタシも様子がわかっていて、口を横開きにして、顔を傾け、舌をずらす、がタイミング良く出来るようになっていました。

「外科のヤツ持って来て」
外科のヤツ?
外科??
ここは歯科!
助けてくださ〜〜〜〜い。

すさまじい機械の音と共に聞こえるのは、「お大事に〜」という歯科助手さんの声と、次々に去っていく患者さんたちの足音。

お大事に、ワタシ。

と、すっかり諦めかけた頃
「おぉ〜〜〜〜!」
「あぁ〜〜〜〜!」
先生と歯科助手さんが声を上げました。
「アユミさん、やっと生まれましたよ。抜けました〜」
なんて清々しい声なのでしょう。
「ハ〜〜」とか「ダメだな〜」なんて言っていた同一人物とは思えない、達成感と充実感に満ちた声ではありませんか。

お疲れさまです。
先生、ありがとう。
歯科助手の皆さん、ありがとう。
神様、ありがとう。
やった。
ついにやりました。
この時をどれだけ待ち望んでいたことか。
頑張ったよ、みんな。
よく頑張った。
ありがとう、本当にありがとう!
これで安心だ!!

「じゃあ、縫っていきま〜す」

あ。
そうか。
縫うのか。

チクッ
ぬお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛!!

麻酔が切れはじめたらしく、とてつもない痛みが口の中から顔全体を走り抜けます。
実は、先生の感動の声『お〜〜〜〜』辺りから、触られてる感はありました。
まさかと思いましたけどそのまさかで、超激痛です。

そんなこととはつゆ知らず、黙々と縫う先生。
痛、痛、痛、痛
4回くらい針を通した模様。
「ハイ、噛んでくださ〜〜い」
奥に押し込まれた巨大なガーゼにオエッとなりながら、ゆっくりと起き上がりました。

オワッタ。

時刻は、11時25分。
なんと、1時間15分の小手術。いや、大手術となりました。
「お疲れさまでした〜。お口開けっぱなしで疲れましたよね〜」と歯科助手さんはねぎらってくれましたが、そこじゃないんだな。

グッタリした状態で、今後の注意事項の説明なんて耳に入らない中、「そろそろ麻酔が切れてくるので〜」の声に反応するワタシ。
「痛いです。今、もうヤバイです」
すると、笑顔の歯科助手さんの表情が一変しました。
「痛み止めを飲みましょう!」とロキソニンを渡されその場で服用し、無事に終了です。

処置室を出ると、待合室にいた7〜8人が一斉にワタシを見るんですが、ものすごくジッと、そしてずっと見つめてるんです。

何だ?ジロジロと。
見てんじゃね〜よ。

なんて心の中でぼやきながら車に戻り鏡をのぞくと、口の周りがうっすら血まみれでした。
「コレな」

オヤシラズを抜きに来ただけなのに、こんな展開になるとは誰が予想したでしょう。
子供の頃、歯医者が嫌いだった理由は「何をしているのか自分からは全く見えないという恐怖感」と、「赤の他人が口に手を突っ込むという行為」に身の危険を感じていたからです。
「何をされるか(何をされたか)わからない」というのは、今でも変わりませんけど。
だから、歯医者さんというのは信頼できる所でないと、とてもじゃないけど通えないということです。

この日、ワタシは一体、何をされたんでしょう?

口の中をのぞいて見ても、ワタシにはわかりません。
はっきりしているのは、「オヤシラズの抜歯で予想外の展開に全員が右往左往した」ということです。
ワタシ的には、こんなはずじゃなかったという、ちょっとした詐欺にあった気がしないでもない感じですが、たぶんこれは全力の結果だと思っています。
いや、そう思いたいです。

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いかがでしたか?
楽しんで、いただけました?

これは今とはやや違ったテイストの文章ですが、まぁこんな感じで、ワタシのおもしろ体験をちょいちょい綴っていく予定です。

みなさまのご支援に感謝します。