おじいさん_sayo
[おじいさん]
1968年 昭和43年 8月24日 (土)22:15
サヨ-33歳の頃の出来事
[父の死](祖父)
父が他界しました、
その時の事を書き留めておきます。
父は重労働が重なり過労で寝たきりになりお酒に溺れる様になりました。
長男がいたのですが長男は、癇癪持ちで小さな頃から父とは犬猿の中、
父の看病はもっぱら養子である父ちゃん(けんちゃん)でした。
子供の頃から父の手伝いをしてきた事もあり父はけんちゃんを可愛がり長男は相手にされてこなかったことが原因かもしれません。
一年以上寝たきりの父もやせ細り食事ができない状態に、
しかし お酒をやめる事は有りませんでした。
お酒に弱かった「けんちゃん」も進められるがまま朝昼なく浴びるように飲む毎日でした。
しかし、それもかなわぬ日が訪れました。
[お通夜の出来事]
お通夜の時の事です、
葬式の準備でアタフタしていると
親戚が子供を連れて集まってきました、
お昼を過ぎた頃、
親戚の子供達が縁側で遊んでいる中に息子はいませんでした。
「息子はどこかな?」と聞くと
「あっち・・・」
奥の部屋の祭壇の前に寝ている父の横で
ちょこんと座ってミカンを食べている息子、
[ ひとりで遊んでいるの? ]
「みんなの所で遊ばないの?」と聞くと、
「ここがいい」
「じいちゃんがいるから・・・」と答えました。
「いたずらしたらダメだからね、」
・・・
「そのミカンどうしたの?」と聞くと、
祭壇を指さし、
「あそこ・・・」
と答えました、
「それはおじいさんのお供え物だから食べちゃだめだよ!」
「イイって言われたから・・・」
「だれに・・・」
「じいちゃん」
「何いっているの・・・」
「おじいさんは、お空にいったのよ!」
「そこにいるよ」
・・・
「馬鹿なこと言っているんじゃないの・・・」
「ミカンが食べたかったらからでしょ?」
「嘘をついたら閻魔様に舌とられるよ!」
と怒ってしまいました。
「でも・・・」
「いるもん!そこに!」
「どこにいるっていうの!!」
「ママの横!」
そう言われた瞬間
私は背筋に冷たい感覚がはしりました。
「じいちゃん笑ってるよ!」
「ママに
ありがとって!」
[息子の言葉に涙でかすむ ]
私はその言葉を聞いたとたん、涙がこぼれおちました。
「これみて~」
「じいちゃんに教えてもらった。」
そうです、
私が過保護な事もありますが、
息子は、少し人より覚える事が遅くまだみかんを向いた事がなかったのです。
「ほら、みて!」
父はみかんを全部向いてしまうのでなく半分だけ向き、
向けた部分のミカンを1房ずつ外して食べるのが癖でした
その向き方、
そのものだったのです。
つづく。
[ 青の日記帳 / エンディングノート]
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