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活気を呼ぶ余白のデザイン

2020年4月より
武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、お話を伺います。
あくまで講義のレポートではありますが、デザイン思考などを学び、実践している方々との繋がりや、情報の共有が少しでもできれば嬉しいなと思います。

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第3回【講義日】2021年4月26日(月)

森 一貴 (もり かずき)さんにお話を伺いました。肩書きはなんなんでしょう。色々なことに取り組まれているので一言で表すのは難しい気もしますが…
強いて言うならばプロジェクトマネージャーでしょうか。
遊び心と自由さに溢れた森さんの多彩な活動を本日はご紹介します。

森一貴:山形県生まれ、福井県鯖江市在住。「社会に自由と寛容をつくる」がコンセプト。フリーのプロジェクトマネージャー/サービスデザイナーとして、人々の「できる」という確信=Capabilityを引き出す営みを探索する。職人に出会いものづくりを知る、福井のものづくりの祭典「RENEW」事務局長。半年間家賃無料でゆるく住んでみる全国連携移住事業「ゆるい移住全国版」プロデューサー。鯖江市にてシェアハウスを運営。
・2015~ present 福井のものづくりの祭典「RENEW」 プロジェクトマネージャーおよび事務局長(2017~)
・2018~ present 3 軒のシェアハウスの明るい家主
・2019 田舎フリーランス養成講座 鯖江会場・初代統括
・2018~2019 ゆるい移住全国版 元プロデューサー
・2018~2019 生き方見本市 HOKURIKU(現・生き博) プロジェクトマネージャーおよび初代事務局長
・2016~2019 探究型学習塾ハルキャンパス元塾長
(下記ホームページより抜粋)

「社会に、自由と寛容を」をつくる

東京のコンサルでデザイン思考を体得した森さんは、福井の鯖江へと移住し「社会に自由と寛容をつくる」というテーマを掲げながらみんなが幸福になれるような社会を実現するべく数々のプロジェクトに取り組間れています。
その中でもお話しの中で印象に残った福井のものづくりの祭典「RENEW」全国連携移住事業「ゆるい移住全国版」についてご紹介します。


福井のものづくりの祭典「RENEW」

「RENEW(リニュー)」は、福井県鯖江市・越前市・越前町で開催される、持続可能な地域づくりを目指した工房見学イベントです。会期中は、越前漆器・越前和紙・越前打刃物・越前箪笥・越前焼・眼鏡・繊維の7産地の工房・企業を一斉開放し、見学やワークショップを通じて、一般の人々が作り手の想いや背景を知り、技術を体験しながら商品の購入を楽しむことができるイベントです。全国各地から約30,000人お客さんが訪れ、大賑わいだそう。
職人さんたちも、最初は自身の技術が大衆に評価されるとは思っていなかったそうですが、イベントで様々な人から「すごい」「かっこいい」と褒めてもらえることで自身の技術に誇りを持ち、以前よりも生き生きとものづくりをされるようになったとのこと。大事ですよね。「え、俺らいけてんじゃん」と思えるとやっぱりやる気が出ます。



ホームページを開いて驚いちゃいました。一発目に。


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:RENEW公式ホームページ(https://renew-fukui.com)より引用

くたばってたまるか。
どっきりしてしまう強烈な言葉ですが、地方のものづくりの存続が危ぶまれている現在には本当にぴったりの言葉です。
現在私自身も地方のものづくりについて研究を進めている最中ですが、一つの工場を巻き込むのも非常に苦労することを実感しています。
にも関わらず街までも巻き込めてしまう理由がこの一言に表れていると感じました。
街の人々がハッとさせれれるほど、森さんの「情熱」「闘志」「使命感」が伝わったのでしょう。
自由で陽気な雰囲気に溢れた森さんの内に秘めた「ナメんなよ」はかっこいい…!
人々がものづくりの背景に気づく機会を作ることももちろん、そこまでの想いを持って実行されている背景にグッときました。

このまちはいつも知恵を絞ってきた。
雪深い土地だからこそはじまったものづくり。
先人たちは生きていくために腕を磨き、競い合うことで、
いつしかまち全体がひとつの大きな工場になった。
高度経済成長期の活気。バブル崩壊後の停滞。
酸いも甘いも経験しながら、振り落とされないように、
このまちは時代の声に合わせて常に変化してきた。
そしてコロナ時代。
年内廃業の可能性が約4割と、
伝統工芸の窮状が叫ばれている中、
それでもこのまちは前を向いて行動する。
もう一度知恵を絞り、
これからの時代に合った新たなアクションを。
さらに変わり続ける産地のチャレンジをぜひ見て欲しい。
変わり続ける産地の、変えていく未来。
私たちの大きな熱量が、誰かの灯火になるように。
:RENEW公式ホームページ(https://renew-fukui.com)より引用


ゆるい移住全国版 

半年間家賃無料でゆるく住んでみる全国連携移住事業です。

場所は決まっていないが、ここじゃないどこかに行きたい人のニーズを満たすために計画されたものだそう。かってにせえ。いつ来ても帰ってもいい。となんの制限もないゆるい移住。
私もこの移住、3年前くらいに知っていたら行きたかったです。社会の荒波に揉まれ悶々としている時、どこか遠くに行きたい。と願った事は何度もあります。
対外移住する際は何か目的や意志を持って土地を決めますが、ある意味先に決定してしまことがバイアスとなり、余白のない移住になってしまう部分もあるかと思います。このゆるい移住は余白をたっぷりと残すことで、バイアスがかからず自分の行く先々で主体的に行動できるのではないでしょうか。これによって色々な実験をするという事を許容する空間が出来上がります。


エアコンの温度を勝手に変えられる状態

森さんは「エアコンの温度を勝手に変えられる状態」のような雰囲気づくりを目指したいと言う言葉が非常に印象的でした。

多様性と自由を尊重し、常に正直に、日々を楽しんで社会の仕組みをデザインされている森さんはこれからの時代に必要とされるリーダー像だと感じました。


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