暗い部屋

正解の道ってどれだっけ何だっけ。

何だか幼い頃はよく見えていた気がするものが年を追うごとに見えなくなってきた。子供の頃は大人になることはもっと改革的なことだと思っていた。

でもそんなことはまったくなくて何となく前に伸びた道の上を進んで行って、あの頃から距離がひらいていくにつれて知らぬ間に「大人」になっていった。

タバコを吸って酒を喰らってぼかした日常をのらりくらりと生きている。教室の中では優等生だったけどいつの間にか落第者になっていた。

あの頃どうしようもなかった奴が金を稼いで家庭を築いている。人生って何が起こるか分からないってよく言うけれど、嫌なことはいつだって予想を裏切らずにやってくる。

生きるために必要な金が今ある命を搾り取っていくようにまとわりついてゆっくりとこの首を締め付ける。

友達の誘いはいつも断った。そこに以前のような楽しい会話はもうなくなっていたから。そのうち声は掛からなくなって何もない部屋に独りの時間だけが降り積もっていった。


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