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キャリアコンサルティングがうまくいかない時 #最近の学び(キャリコンサロン編集部 #20)

私は今、若年者~氷河期世代の就労支援をしています。

働くことの相談というのは、何をして働くかということだけでなく、
その人がまだ言葉にできないことも含めて、これまでの経験や価値観を丸ごとお聴きすることでもあります。

そんな、人生の転機に関わる大事なシーンですが、キャリアコンサルティング場面において、お恥ずかしい話ですが、なんだかお互いに居心地がよくないような、「もしかして今うまくいっていないのかな…」、と感じる瞬間があります。

同じような主訴であっても、クライエントさん1人ひとり背景も違いますし、様々な問題が複合的に絡んで難しいケースもあります。

働くことに強い警戒心を抱いてなかなか殻を破れない方、自己肯定感が低くて話がなかなか広がらない方、何度面談をしても行動を起こせない方…。

たとえ新米キャリコンであっても、知識やスキル以前の、やっぱり自分の人間としての未熟さを痛感します。

今日は、#最近の学び というお題から、これまでで居心地が良くなかったケース(失敗)を素直に振り返えることで、今後の成長に繋げていこうと思います。

うまくいかないときの共通点


その時々で発する言葉、関わり方は違ってはいますが、違和感があったケースの共通点を考えてみると、
無意識的にか、
「クライアントを変えようしていた」
ということなのかなと思いました。

就労支援の現場では、就職することが1つのゴールになります。

「このままじゃなかなか就職できなさそう…。」

そんな勝手な心配が、無意識的に、もしかしたら意識的にかもしれませんが、まだクライエントが心の底から納得していない時に、私のほうが焦ってしまい、次に行こうとしてしまったのかもしれません。

無意識に自分の価値観を相手に押し付けていたということ。
キャリアコンサルティングの基本中の基本ができていなかったということ…。

基本中の基本を振り返る


キャリアコンサルタントならまず一番に学ぶことは、カール・ロジャーズの来談者中心療法です。

その思想は、
「個人の価値観や意義を認め、クライエントの自己成長力を信頼すること。ありのまま受容することで、クライエントも自身を尊重して価値あるものと理解していくこと」。

なので、一時的な成果、目の前の結果よりも、どんなプロセスを経たのかが今後のクライエントの歩みににとっては重要なことだと理解しています。

それを支える基本的な態度は
①「自己一致」
②「無条件の肯定的関心」と
③「共感的理解」
だと叩き込まれました。

その中で、私が特に課題だと感じたことは、②でした。
行動、考え、気持ちを勝手に評価せず、無条件に受容できていたか。
クライエントはあるがままの自分をあるがままに尊重されていると感じていたか…。

失敗から今後に繋げるために

「正社員で働きたい」と言葉では言っていても、心の底ではまだその準備ができていない人もいます。

これまで何度やってもうまくいかず、ここまでの過程で自分に対する信頼を失ってしまい、自分の価値を見いだせない方もいます。

自分の目指す生き方が親から全く認めてもらえないとか、親に言われて仕方なく来る方もいます。

そうしたことも分かっていたはずなのに、下記の事情から、私の中の無意識の思い、勝手な心配がむくむくと顔を出して、クライアントの心に寄り添えずにいた瞬間があったのだと思い返しています。

採用事情としては、未就職期間が長いことや、非正規雇用という経験しかない場合、企業側の採用意欲が落ちるということがあります。

ですので、20代、少なくとも30代前半までには正社員として仕事の幅を広げ、責任を持って何かをやり遂げた経験を積むことは、自分が望ましい未来を手に入れる1つの有効な選択でもあります(※下に注釈あり)。

ですが、「人の可能性」が開くのは、
仕方なくとか、こうしなきゃいけないとか、
自分を取り繕って無理をしている時ではなく、

自分自身が心の底から成長したいと思える、
そのためなら今頑張れると心の準備ができた時や、
ありのままに前向きな姿でいられる時ではないか
と思います。

長らく心配したあるクライエントさんですが、「その時」が来たら自分を変え、やってみようと踏み出し、難しいケースでも就職できた方がいました。
「自己成長力」を信頼して関わることができれば、あとは自走していくのだと感じた瞬間でした。

「自分らしく歩む未来を支援する」そのために、「ありのままを受容する」と、再び心に誓い、最近の学びに変えたいと思います。


(※どのように働くかという就労観は人それぞれ。
「企業という場」で働いて職業能力を高めていきたいという場合に、30代前半までに十分な経験がなくても、自分なりの考え方があって行動した、うまくいかなかった過去を総括し、新たな就労観を前向きに語れる方には、企業側も理解を示てくれることも多いです。その人の事情や考え方を理解できたら、あとはその人のポテンシャルをどれだけ感じられるかで、採用意欲は高まりますので、必ずしも不利なわけではありません。)


この記事は、キャリコンサロン編集部として掲載しています。
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