『ドラマのような暮らしとデカい壁』

私は中高一貫の女子高に通っていた。
その中学高校の同級生が国民的人気芸能人と結婚したらしい。

はじめは「わぁ!すごーい!」って思ってただけだったけど、なんだか急に自分がみずぼらしく思えてきた。
他人と自分を比べたりはあまりしない方だと思っていたので、自分でも意外だけど、少ししょぼくれている。
ため息ついちゃったりする。
そんな自分がしょうもないなと思ってさらに嫌になる。

彼女とは別に親しくなかった。
同じクラスになった時は喋ったりもしたし、遠足の班分けで一緒になったりもしたけど、一緒に遊びに行くなんてことはなかった。
卒業後に連絡を取り合うなんてことももちろんなかった。
向こうは私の事なんて覚えてないかもしれない。
多分覚えてないだろう。
絶対覚えてない。

華やかな今で言う陽キャって感じのタイプの子で、学年で一二を争うかわいさだった。
クラスで漫画の回し読みをしてた時に「〇〇も読む?」と声をかけたけど「そうゆうのはちょっと」とやんわり断られた。「マンガ=オタクってイメージで受け付けません」と顔に書いてあった。
でも悪い噂とか聞いたことなかったし、いい子だったんだと思う。笑顔の印象。あと、足きれいだったな。私キモいこと言ってるな。

一二を争う可愛さのもう一人の子は私の親友だった。
優しくて人の悪口を言ったりしないめちゃめちゃいい子だった。
その子と学校から帰るとき、駅で横山ホットブラザーズのノコギリの人に「お嬢ちゃん、えらいかわいらしいなぁ。」と声をかけられることがあった。2度もあった。
多分近所にお住まいだったんだろうなと思う。
友達は横山ホットブラザーズを知らなかったから超怖がってガン無視だった。
その子は東京のテレビ局のディレクターの人と結婚した。

芸能人と結婚したらドラマみたいな暮らしなんかなぁ。

芸能人が結婚した時に、よくファンの人がショック受けてたりするの、あれ全然理解できなかったけど、今回なんかショックだ。
私はファンじゃないし、多分意味は全然違うけど。
嫌って意味のショックではなくて、でもYOUはSHOCKだ。

別の世界の出来事のはずが微妙に自分の世界と繋がってたからなのかな。

あの頃同じ教室にいた人の中には某ゲーム会社で出世しまくった子もいる。
数年前おうちに遊びに行かせてもらった。
その子が自分で稼いで建てたおうち、かっこよかった。
Wikipediaに記事があるほどゲーム界ではすごい人みたいで、持ってるソフトにサインまで貰った。
繋がってたはずの世界に越えられないくらいのでっかい壁が建設されてた。

なんで私はこんな会社でこんな仕事してるんだろうなと正直思ってしまう。
勉強たくさんしたのに、全然生かせてない。
周りに失礼なこと言ってるのも分かってるし、感謝の気持ちが足りないとか、お前の努力の問題だとか、全部分かってるから黙ってて下さい。

別にとって代わりたいなんて思わないし、自分を不幸だとも思わない。

でもなんだろう、このぽっかりは。

早く家に帰って子どもたちと美味しいご飯を食べたい。です。

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