断捨離、断念

ものを捨てるのが苦手だ。たぶん、人間と密な関係を築くのが得意でない分ものに深い愛着を抱いてしまうのかもしれない。それに加えて基本は良いな、と思ったものしか買わないから、「使いたい」という気持ちがなかなか消えない。

そんな訳で気付けば部屋にはものが溢れ返ってしまった。狭いワンルームの収納はもう限界を超えて、所狭しと散乱した本と服の隙間で生活している。
ちょうど2023年、イメコンを受けたのをきっかけになんとなくしっくり来ないと感じていた服や化粧品と思いきってお別れしようかと考えた。

化粧品は比較的スムーズに事が進んだ。メイクを始めた頃にベーシックな色だからと選んだブラウンのシャドウやコーラルピンクのチークやリップ。「肌馴染みが良い」「失敗しにくい」と謳われたそれらは、つけたその時から色が浮いていてどんなにぼかしてもティッシュオフしても子供がお母さんの化粧品で遊んだような塗りたくった感じが消えなかった。
もっと早くほかに似合う色があることに気付いていたら誰かにあげるという選択もあったかもしれないけれど、残念ながら人にあげるにはもう粉が劣化してしまっている。
それで何年も前に買った化粧品は処分した。元々違和感が強くて就活やアルバイトのような「その色しか選べない」時にしか使っていなかったものだから、そんなに未練はなかった。

難しかったのは洋服だった。パーソナルカラーに合わない化粧品を使いこなすのは難しい。アイシャドウやリップを重ね付けすることで肌に馴染む、というテクニックも見かけるけれど、それには手間もかかるし技術も必要だろう。

でも洋服は違う。例えばカーキやモスグリーンの襟ぐりの開いたTシャツ。パーソナルカラーにも骨格にも合っていないけれど、胸元の余白をチョーカーで埋めたり上からパープルやホワイトの羽織りものを重ねればそれなりに見える。
今まで試したことのなかった組み合わせを考えると心が躍って、またこの服を着て出かけたいと思ってしまう。そうして、結局洋服は処分することができなかった。

ものを減らせなかったくせに、今まで心惹かれても自分には似合わないと決めつけて諦めていた洋服を新しく買っている。それもリボンやフリルのついたシャツやブラウス、ボリュームのあるニットと嵩張るアイテムばかり。

次に引っ越す時、果たして仕事の合間を縫って荷物をまとめられるのだろうか…?文字通り好きなものに囲まれた生活は幸せだけど大変だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?