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前言撤回 治せないシューズは・・・ありま

どんなシューズでも治せますと思っていたのは、ただの思い上がりでした。

昨今、シューズ価格高騰から修理依頼が増加傾向にありますが、以前と比べて修理箇所が多いシューズも多発してきました。
以前なら、御役御免になってたであろうシューズも、あと一回あと一回と延命のチャンスを与えられるシューズ達。
シューズ達はとても幸せで、天寿をまっとう出来ることでしょう。
私にとっては不可解だったクライミングシューズは短命であるものとされた時代は終わりを告げました。

が、しかし、いよいよ廃車寸前、限界間近のようなシューズも入庫してくるようになりました。
どんなに良きシューズだったとしても革の硬化だけはどうにもなりません。

硬化した革部品を全てを変える勢いで修理する事は可能ですが、ある意味、フレームもエンジンも別の車体から移植したバイクのような存在。それは元々愛したバイクと言えるのでしょうか?

過去にミニバイクレースをしていた頃はフレームにてこれは私の何代目の愛機と称しておりました。
エンジンは練習用、本番用などと分け、さらにはシリンダー、ピストン、クランク、ミッション、クラッチ、ケースなどなど部品の集合体である認識が強く、悪い表現をするとエンジンはタイヤと同じ消耗品。
シリンダーとクランクに愛はあってもエンジンとした時、残念ながら愛はあまりない。

シューズは???
周りのラバーを全て新しく切り出し、革部品もほとんど変更した時、それは。
手に入れて足を通した時から愛したシューズは一体なにものになったのでしょうか???

こうなると、どんなシューズでも治せますは撤回しなければならないと考えてしまったワケです。

おおよそ、指周りの革への汗の染み込みが硬化の発生源となります。
少しずつ浸透し、土踏まずから踵へ硬化していきます。
本音は指周りが硬化し、ボロボロのシューズは得てして土踏まず辺りも硬化が始まっています。

修理の判断として、土踏まず辺りの状態は重要になります。

土踏まず辺りが割れていたら高額請求(17000円〜)して検討して頂きます。
愛だのの話で引き止めるような事は残念ながらしません。世知辛く対応致します。

基本的に壊れた所は治しますが、逝ってしまった部品はどうにもなりません。
パッチや継げたしでラストチャンスに華を咲かせられる可能性があるならそうしますし、それをする事でそれなりのシューズにしかならないならば修理はしないように話をすすめます。

ですが。

以前、土踏まず辺りが限界と判断しても、そのシューズを信じる気持ちに心打たれ、切った八田で延命したシューズがありました。

最終的に土踏まず辺りから真っ二つに割れたのですが、お客様からのご報告でも、そのシューズは天寿をまっとうしたという気持ちで溢れておりました。
おおよそ半年近く最後の力を振り絞ってくれたそうです。

お客様のもう少し履きたい、そのシューズが限界に達しても良い。いくら掛かっても時間が掛かっても良いという気持ちを頂けるならばなんでも修理します!!

これは、お客様のシューズへの愛着は修理する上で重視するというお話でした。


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