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CRAZY10周年、僕が本当にほしかったもの

ついに10年が経ちました。

何もないところから会社を創業して10年。29歳で創業して今39歳。これまでの人生の4分の1。

30代のすべてを、CRAZYに賭けたことになります。

この10年間という時間は、とてもひと言では表せないほどのものでした。まさに波瀾万丈。たくさんの仲間が去り、数えきれない失敗もしました。

そんな大きな節目に、このnoteを記します。創業当時の自分に向けての手紙、というテーマで。これからも自分らしく生きていくために、一つの区切りとして、あえて一番体重がのる自分に向けての手紙にして。

1人の男の、とても順風満帆とはいえない経営人生。その結果たどり着いた一つの思いについて書いてみました。覗き見してくれたら嬉しいです。

(ここから自分への手紙です↓)


あの頃の自分へ

創業した10年前は、没個性的な時代の閉塞感があった。すべての組織は、生産性を高めるためのストラクチャーにみえたし、経済成長こそ人を幸せにするという考え方が嫌いだったな。

創業しようと決意した瞬間に書き留めた言葉


生産性の発達にはしのぎを削るのに、人間性の発達について扱っている会社はほとんどないように感じていて。なんだか、怒りに似た感情があったよね。

だから、僕たちが人間性と生産性をバランスさせる会社をつくるんだ!!って。そんな創業熱があって、世界を変えたいという執念みたいなものを原動力に頑張っていた気がします。
今思っても、周りが全然見えてないんだけれども、それだけ夢中になることが本当に素晴らしいと思うんだ。

創業時から昼夜を問わず仕事という感じよりも、常にワクワクした熱狂があった。
昼間からお酒飲んで、毎日打ち上げして。
一緒に寝て、起きて、ランチを食べる。
会社を休みにして旅に出て、合宿もたくさんして。
理想しかなくて、我がままで、あるがままで。
会社経営していたという概念ではなくて、一緒に生きる感じ。最高だった。

創業期に社員全員で行った南米パタゴニア

そんな創業時代に書いたポエムを引っ張り出してみました。

新しい時代を生きる人々
 
それは、理想を諦めることを拒絶し
理想に生きる道を選んだ人たち
生き方にも、働き方にも、すべてに理想を貫く意志がある
 
それは、本当に必要なことに人生を使うために
多くのどうでもいいことを捨てた人たち
真に人生を豊かにするものを見極める本質眼がある
 
それは、自分一人の安易な成功を捨て
世界を変える偉大な志事を成し遂げるために集まった人たち
自立した能力を持ちながらも世界のために命を使う理由がある
 
おかしいものに、真正面から中指を突き立て、
普通を脱ぎ捨てるその姿に、心を打たれる人もいれば
反対をする人も、邪魔をする人もいるだろう
 
それでも、新しい時代を生きる人々は理想を貫き
その生き様を通して、人々を魅了し、熱狂させ、夢中にさせる
 
駆け引きをせず、純粋さの勝利を信じ
誰とも競争することなく、理想を追求し
次々に新しい常識をこの世界に生み出し
結局世界を変えてしまうのだ
 
そんな偉大な志事をしながら
ずっと求めていた奇跡のような仲間たちと
喜怒哀楽にあふれた彩ある人生を送る
 
新しい時代を生きる人々は
そのプロセスそのものに豊かな人生があることを知っている
 
新しい時代を生きる人々は
そのすべての理想が叶うことを知っている

US創刊号より

今見ても青々しくて、エネルギーを感じる。
「なんでもできる」
そんな無敵感を持って創業したのを覚えています。


この10年で一番大変だったこと

オフィスの壁に描いたCRAZYのロゴ

創業時には想像してなかった、嬉しいことも苦しいこともありました。すごい密度で成功と失敗が訪れて。その度に葛藤したし、涙したし、希望を得たり失ったりした。本当に心も体も忙しくて。笑

その中でも特に、大切な出来事があったので伝えておきたい。

実は、この10年でたった一度だけ自分を信じられなくなる時がありました。信じられる?あれだけ確信していた自分が理想を失うということ。

自分がよくわからなくなって海外へ旅に出たあの頃のメモが残っています。

約1ヶ月の旅が終わりを迎えようとしている。
創業して4年9ヶ月目の1ヶ月間。まるまる会社に行かず休みを取った。
創業した時に、毎週休みがあるのに年間になると休みがないのはおかしいと思っていた事が懐かしい。
事あるごとに旅行に行ったり、会社を休みにしたりしてきたが、完全に自分だけがこうやって1ヶ月休みにするのは初めてだった。

この旅が始まって、最初のインスピレーションは、
If you lose your belief, you lose your lifeという言葉だった。
ぼくは確かに信念を失っていた。

2017年3月に行った旅のメモ

僕が最も辛かったのが“リジョイン”という会社を解散させた決断でした。

そんな時って、やっぱりネガティブで。
「なんでこんなことになってしまったのか」
「なんでこの業界を選んでしまったのか」
「なんでまた同じ失敗を…」
当たり前だけど、全部選んでるのは自分だからどう考えても袋小路。

自分でつくった会社で、自分でつくってしまった結果に対して、自分で「続けるの?やめるの?」という問いを社員へ突きつける。自身のエゴと、経営者としての責任の狭間に苦しみ抜いた経験だった。

理想を胸にはじめたはずなのに、自ら理想を失ってしまった。これが、僕のこの10年で一番苦しかったことだった。


10年を迎えた今、何を感じているのか?

この手紙を書いている2022年7月3日は、2泊3日の社内イベントを終えた日。最高の仲間たちと、僕がずっとやりたかったフェスイベントをして、泣き笑い手を取り合いながら、この10年を祝いました。

社内イベントでのフェスの様子

「会社を10年経営するってどんな感じですか?」
「今どんな気持ちですか?」
その日が近づいてくる度に、周りから聞かれるんだけど、そう簡単に何かを実感することはないもので。

次第に、その日が近づいてくるにつれて実感してきたのは、いわゆる苦しみを超えた先にある感慨深い気持ちみたいなものではなかった。
あっけらかんとしたくらい爽やかな青空のような感情。「僕は幸せだ」とじんわりと包まれる安心感と幸福感が混ざったような感覚。

そんな幸せに包まれながら、10年を迎えた時。
振り返って心の中に出てきたのが「純粋さの勝利」という言葉だったんだ。

10年経営していれば、ゴールも変わるし、事業も変わる、仲間だって変わる。それでもやめない限り人生も経営も続いていく。

終わらない旅を、終わらない夢を持っている今が本当に尊くて。世界の愛を可視化するという壮大な夢に向かって、今もその一歩を踏み出し続けられていることが嬉しくて仕方ない。

2日前の創業日に感じた言葉

それが、僕が本当にほしかったものなんだと気がつきました。


そんなことを思いながら、ふと創業時に似た言葉を使っていたような気がして。過去の資料を漁って出てきたのがあの創業時のポエムでした。
「10年前と同じことを言ってる」って最初はびっくりしたけど、「10年前と同じことを言えている」っていうことに気がついて、次第に嬉しくなってきた。

僕は、この10年ずっと僕でいたし、これからも僕でしかない。10年を迎えようが、20年を迎えようが、すごくもないし、すごくなくもなくて。

ただ、一人の人間として、僕は人間を楽しめているんだと思う。

みんなと話すのはやっぱり楽しい


10+1年目を迎えたこれから

10+1年目という表現が好きで、今が創業して一番楽しい。

10年前と同じ気持ちを持っているけど、同じ状況ではなくて、むしろ積み上げたものがある。積み上げた信頼とこの数年で本当に強くなった仲間、仕込んでる事業、そしてCRAZYというブランド。
「愛はみえる」というブランドメッセージを実現できる事業がいよいよ世界へ届くこの10年に、もう夢中になれてる。

CRAZYのブランドメッセージ

次なる挑戦としてやりたいことは3つ。

一つは主力事業のIWAIを展開していくこと。
今のIWAIのサービスをさらにホテルという機能を付加して展開していきたい。人生をお祝いし続ける機能としてのIWAI。そのプロセスにおける結婚式。新しいサービスモデルをつくっていく。

IWAI OMOTESANDO4階にある個室


二つ目に、組織運営をもっと革新的なものにしていきたい。
10年の成功と失敗を抽出して、社員が増えても組織の愛情が、顧客へ伝わり、顧客の愛情がまた組織に伝わっていく。その幸せな循環が、またブランドを強くするような運営をしたい。

お客様だけでなく社員も感動して涙する時もある

三つ目に、夢にまで見たIT事業の成功。
何回かの失敗を経て、今年ついにリリースできる。世界中のカップルを幸せにするテクノロジーがあと一歩で日の目をみる。ここからの10年は、このプロダクトを世界へ届けていく。

リリースするぞ!!


大切な家族のこと

ともに創業した大切な仲間であり、妻の咲の事についても触れておきたい。

彼女は8年目にCRAZYを退任しました。
伝えておきたいのは、彼女がCRAZYを卒業してくれたから、今を楽しみながら経営できている僕がいるということ。

多くは語りませんが、彼女は僕と家族であることを選んでくれた。誰よりCRAZYを思ってくれて、大切にしてくれたのは間違いなく咲でした。自分の分身とも言える会社を僕に任せてくれたことに、心からの感謝と尊敬を伝えたい。

咲がつくったCRAZYは、今も元気に人々を幸せにしてるよ。

これ以上ないパートナーと一緒に会社経営ができたこと。いまは娘も一緒に笑顔で、健康に生きれていることは喜びでしかありません。愛ある夫として、そして父として、これからも家族と共に生きていきます。

家族3人で両国オフィスを退去する時に


最後に、これからの自分へエールを

どんな成功だって終わりがある
でも「純粋さの勝利」を目指せば終わりは来ない
純粋に世界をよりよくしたいという願いを抱き
挑戦し続ける人生に終わりはない

多くの人は、途中でそれを諦める
諦めに気がつかず自分に言い訳をしてごまかす
それが、大人になるってことなんだとか言って

大好きな漫画の主人公がいつも問いかけてくる
「純粋さの勝利を信じろ」と
確かに、現実世界で信じ続けるには勇気が必要だ
それでも僕は駆け引きをせず、純粋さの勝利を信じる
理想を追求して新しい価値をこの世界に生み出す

さぁ、勇気を出して表現し続けよう
純粋さの勝利を信じて

いま一緒に働く大好きなみんな


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