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己に逢うては己を殺せ。

紫の狼と春の雷


みなさんどうもお久しぶりです。
はじめましての方ははじめまして。

今回結構タイトルで迷ったんですよね、書きたいことたくさんあったけど、どうも最近アウトプットするほどのエネルギーがなかったというかなんというか。
自分の中のエネルギータンクがからっぽに近かったというか、思考は回るのに指先までそれがただしく伝わらないというか。

言い訳はこの辺で、とにかく書くか!という決心がついたということで、つらつら書き連ねている真っ最中でございます。
最近いいこと尽くしの退廃的生活を送っていたせいで、このままじゃいかん。となり始めているので、整理のために一旦掻き出して書き記すという運びとなりました。

大見出しの「紫の狼と春の雷」はこの間半分くらい書いて結局書き上げきれなかったもののタイトルそのまま使っています。
なかなか衝撃的な出会いのお話だったのですが、その時の気持ちを文章に起こしたらどうもチープなものになってしまって。

今日の日記はここ2週間ほどの僕の気持ち、心の動きを書き記したものです。
揺らしたのは様々な方々・ヤツら、最高のね。
俺は本当に恵まれている、という自慢話をつらつら書いていきます。


東京奇譚集

我が敬愛なる村上さんの短編小説『東京奇譚集』より、拝借。
奇譚とは変な話という意味になります。

この度、わたくし親愛なるおともだちたちのおかげで、東京観光を敢行することができました。
本当にお世話になりましたみなさま。

またそこでなつかしい先輩方や田舎のネズミにも再開ができた非常に充実した4日間となりました。

ここよりしばらくはそんな東京での奇譚をまとめたものとなります。
すこしばかりぴりりと辛い、じわりと苦いようなものもございますが、ぜひご賞味あれ。


なぁにいちゃん。ここ夕方なったらハトくんのよ。

到着しました大都会。
目指すは友の待つ錦糸町へ。

と、その前に一服するか、と新宿南口付近で置き型灰皿を探しておりました。
緑の装束に身を包んだ警備員さんに聞けど、胸ポケットに赤マルを忍ばせていそうなサラリーマンに聞けど、どこにも灰皿は見つかりません。
しかたなく、カバンに入れた携帯灰皿を取り出しながら、だれの迷惑にもならなさそうなせせこましい路地でも探そうものですが、さすがは新宿南口。
見渡す限りの大通り、どこにもそんなものはありはしません。

気付けば私の脳みそはにこちんが足りないと喚き散らす始末。
頭の内側から響く叫び声をなるべく無視しながら、大きな大きな横断歩道を渡り切ると、タバコを吸っている2組を発見いたしました。

片一方は東南アジア系の旅行者の集団。その反対には座り込んで美味そうにタバコを吸う長い白髪のご老人。
この時点でご老人の隣に座ろうか、という目星をつけスタスタと歩み寄りはしたものの、あることに気づき私はこれまた迷いに迷いました。

そのご老人、白いワイシャツの右袖をトマトソースのような大きなシミで染めていたのです。それも洗濯3回分ぐらいの抜け感を醸し出しながら。

少しぎょっとしたものですが、サワディカッとコップンカーぐらいしか存じ上げない私からしたら日本語が通じそうなご老人の隣に座る方がまだマシだ。
と感じてしまったのです。

いざ座ってみるとそのご老人、私の顔に穴が開くほどの視線を送ってきます。
穴があったら入りたいとはこのことか、と思いながら自分の恰好を見直したら少し納得を覚えたものです。
目元は濃い色のグラサンで隠し、時代を倒錯しているとしか思えない有線イヤフォンで耳をふさぎ、上は好きなブランドの柄物のシャツに、靴は稲光をイメージした黒地に蛍光色の模様の入った大変「オシャレ」な体たらく。
それはご老人の興味も引くだろうなと。

まずはあいさつから、ということでグラサンを取り会釈を送るも無反応。
少し戸惑いを覚えた私は思い切ってイヤフォンを外し、声をかけてみました。
ハトが豆鉄砲を食らったような面持ちでご老人も言葉を返してくれますが、私は挨拶さえすませたからもういいか。と会話を切り上げスパスパと煙草を楽しんでいたところ。
おもむろに「なぁにいちゃん。ここ夕方なったらハトくんのよ。」。
と急に語りが始まりました。
新宿駅南口にそんなハトが憩う空間があるなど思いもよらず、今度は私の方が豆鉄砲を食らった気分で続きを待っていると、ご老人は続けます。
「だからワシな、そこのコンビニでポップコーン買ってよーあげてんのよ。」。
完全にコイツのせいですね。
卵が先か鶏が先か、ポップコーンが先かハトが先か。
のようなお話になってきてしまいました。

煙草2本だけのつもりが、気づけば5本も灰皿に溜まる始末。
お話をまとめると、彼は若いころマカオに5年ほど定住していた建築デザイナーだそうで。
現在は兵庫の芦屋に迎賓館を作っているのだそうです、それも芦屋市立病院のとなりにあったインド人が保有している建物を買い取って動き出したプロジェクトの。
完成したらぜひ遊びにきてくれ、とのことだったので、閑静な街に迎賓館ねえ、と考えながらも返事をしていました。
※迎賓館とは、海外のえらいさんを招いておもてなしができ、そのまま会議所の役割もこなす。というもので、かつての長崎の出島のようなものと解釈しております。

あまりにも詳細がはっきりしていて、肉を伴った話であったため、話半分ぐらいで聞いていました。
去り際に、「がんばってな!にいちゃん!」というお祈りをいただき、私は錦糸町へ向かうホームを探すのでした。

ここからは大余談。
少しあと、それこそ3日目の朝にふと思い立って迎賓館の工期を見ようと考え、スマートフォンに聞いたところ。
数十年前に芦家には迎賓館ができていたとのことです。
彼の、マカオでの生活のことを思い出す寂しそうな横顔だけが、真実だったのかもしれません。



炭酸水の広告でビールが売れるんだよ。

俺には素敵な友達がいる。
冒頭に出てきた田舎のクソネズミ。
東京の中心で生まれ育って、窮屈さから一度北の田舎へいくも、野菜もろくに育たない土地に音を上げ、東南アジアでハッピーライフを送ってる最高の友達。
僕はどちらかというと都会のネズミなので本当に真逆ですね。

とはいえ人生で直接会うのは3度目なんだよな。
まあそこはいーや。

今回コイツとの予定は特に組んでなかったんですよ。
行きのバスが半分に差し掛かるぐらいまでは。
たまたまお互いが東京に向かっていると知った次の瞬間には予定に変わっていましたけどね。
それぐらいお互いフットワークの軽いネズミ同士、すごく気の合う気の置けない間柄なんです。

タイトルの炭酸水の話は確かミャンマーだったかな、ビールの広告をうつのが法律で禁止されているとかで、ビール会社は考えたそうです。
どうすれば、ビールが売れるのかを。

閃きを得たんでしょうね。
炭酸水を広告塔にして、ビールを売ればいいや、って。
それがとんでもなく大当たりしたそうで、炭酸水もビールもとてつもなくおいしい、そんな素敵なミャンマーのお話を教えてもらいました。

ほかには他愛もない話ばかり。
なんで東京のゴミ箱は減っているのに、ゴミを減らせと騒いでるんだろうな、とか。
知ってたか?日本の外にもしっかり世界はあるんだよ。とか。

あと渋谷の『ずいちょう』という僕の人生で一番美味しい、であり続けてくれるかつ丼屋さんに二匹でいきました。
渋谷に遊びにいった際はぜひ。

その日の夜はいつも通りふたりでシーシャの煙をくゆらせながら夢と現実を語り続け解散へ。
敬愛する先輩のひとりにもそこに加わっていただき非常に楽しい会でした。
ネズミ二匹が目を輝かせながら話を聞いているのはなかなかに異様な光景だったことでしょう。

深夜、泊めてくれている友達の家に帰るとあるドキュメンタリーがテレビで流れていました。
内容は、限界集落を守り続けるご老人のお話。
その人は、80年近く一度も村を出たことがないそうで、「誰かがいなきゃ村じゃなくなっちまうからなあ」とそう言っていました。
それを見て、僕はこう思ったものです。

それもまた人生、と。



アルコールは脳洗浄、ハイタッチで心も綺麗に。

今回の旅のメインイベントがやってまいりました。
おふざけで『Kojiki Tokyo』と銘打ったものですが、愛すべき友達たちのおかげで、僕は本当に今回良い思いをさせてもらいました。

男6人でバカみたいな飲み方をして、バカほど笑って、バカになった。
そんなお話になります。

みんな優しかった。
ただそれだけでうれしかったんです。
前回の日記にて、僕が少しだけ壊れてしまった話をしたのですが、そのお話と今後の展望について友達たちに聞いてもらいました。
三者三様、十人十色。
それぞれの人生を歩んできた経験則に基づいた、素晴らしい金言を出力してくれました。
ありがとう。

脳をアルコールに浸し、たくさん語らい、矢投げとハイタッチ。
そして、またたくさんお酒を飲んだ夜でした。
あゝ、友達とはかくも素晴らしきものなのだ。
俺の魂のようなものが叫んでいました。
今、最高の気分だ。と。

次の日はもう一人加わり、7人でのボウリング。
10年ぶりでしたが、教え方が上手いやつがいて、すぐに周りに追いつきました。
俺の知らない間にこんな楽しい遊び方をしているなんて、嫉妬しちゃうね。
ボウリングはハイタッチするためのあそび、らしい。
素敵だね。

その後は一旦解散をし、僕含め3人でスカイツリーを目印にしながらしばしのお散歩。
その二人というのが、前の晩に僕のホラーゲーム食わず嫌いを無くしてくれたお二人でした。


異常アリ、見逃すことなかれ。

『8番出口』という作品をご存じでしょうか。
駅の地下道を看板を目印に進んでいく、という作品です。
ゲーム内の説明書きは下記の、

ご案内 Guide




異変を見逃さないこと

Don't overlook any anomalies.


異変を見つけたら、すぐに引き返すこと

If you find anomalies, turn around immediately.


異変が見つからなかったら、引き返さないこと

If you don't find anomalies, do not turn back.


8番出口から外に出ること

To go out from Exit 8.

というものになります。
何度も何度も同じようなことを繰り返す、大昔の『Rouge』という作品に影響を受けたであろうホラーゲームです。

私が一番に驚いたのは、そのリアルさです。
画面の向こうにまた別の現実が映されているのです。
私たちの脳が電気信号を送って体を動かしているがごとく、コントローラーを使って、画面の中にある少しずれたところにある現実の地下道を探索する。
そういった素晴らしい作品でした。

「異常」と名付けられた怪異、ポルターガイスト、怪奇現象たちは、クトゥルフ神話TRPGでいうところのSAN値をガリガリと削っていく。
※SAN値とは「正気度」と直訳されるもので、今自分のキャラクターがどういった精神状態にあるかを数値化したものになります。

そういった、非常に神経に触るタイプのホラー作品でした。

その夜。
僕のエンジェルであり出資者でありスポンサー様であるお友達とごはんに行くことになり。
8番出口のモデルになってそうな地下道に連れて行ってもらいました。
もう少しで羽が生えてくるのではないかというほどの鳥肌を浮かべながら、必死で異常を探したものです。

心霊現象とかが起こるのは、僕はだいたい自分か場所のせいだと思っているタイプなのですが。
改めて、五感に異常がないかを振り返る、いい機会になりました。
ありがとね~。


くゆる煙のその先に、ゆらりゆらりと道しるべ。

旅の締めくくりにと、ひといきつきに、ふたいき吸いに、シーシャ屋さんへ。
美味しい美味しいお酒とシーシャ、最高の気分で旅を終えることができました。

店先で吸わせてもらっていたのですが、左の生垣にガサゴソと物音が。
なんだ、ネズミか。
目黒にもネズミはいるんだな、と少し安心したものです。
梅田のよりも一回りも小さい都会のネズミ。
少し自分と重ねながら、グラスを傾けて。

そのまま有楽町へ向かい、バス停まで歩いていると、バス停の電光掲示板の前に困っている外国人が。
意を決して話しかけてみました「May I help u?」、と。
「ワタシ、ニホンゴスコシワカル!」。
本当に困ってんのか?と思わせるほど元気なヨーロッパ系の人の手助けをし、バスへ飛び乗り大阪へ。

隣に座った芸人さんと仲良くなったり、タバコを交換したりラジバンダリ。
最後まで最高の旅行でした。

そんな旅行記。
今回も長かったね、ありがとう。
またね。

仏に逢うては仏を殺せ 父母に逢うては父母を殺せ

そういえば、忘れていました。
タイトルの話触れてないじゃん。
最初めっちゃ迷ったんですよ。
「雨の日の月曜日みたいな人生」ってやつと。
カーペンターズが好きで、『雨の日と月曜日は』。
と米津玄師の新曲『毎日』の中で雨の月曜日が出てくるんで。
しかも『毎日』に至っては帰りのバスに乗り込んだ瞬間に公開されたものなので。
とはいえ、ちょっと暗いな~と。
最終的に火曜日にこれを書き上げることで「もう火曜日になったね」で締めようか。とかいろいろ考えてるうちに書き始めたのが金曜日になってしまったためボツです。

仏に逢う~~は、禅における名言だそうで。
「仏であろうと父母であろうと、他人との距離は正しく見定めて、距離を置こうね」という意味だそうです。
戒めとして、まずは自分からだなあということでこのタイトルにしました。
まだ全然誰とも距離感を見定められていませんけどね。

それじゃ改めてまたね~。
また今度!

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