住処

時間が進む

置き去りの文庫本

冷めた珈琲の苦味

タバコの匂いが染み付いたソファーに

伏せて顔を押し付けた

誰かを求めていた

でも、それが誰かもわからない

ねぇ、わたし、ひとり

鈍い痛みに耐えながら

さっきまでの出来事を

パズルの様に

当て嵌めている

ピースが足りない

なんでもないのに

余計なの

この感情はカップに沈めて

窓の外を見た

どうってことない

このくらいのこと

あと何回?あと何人?

続けば終わるの?

疑問は宙を舞って消える

そして私は店を出た

ついの住処へと

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