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ムダづかいを防ぐ?行動経済学

ムダづかいしたことがありますか?

これ、ほとんどの人が「YES」なのでは。
「そんな余裕はない」という方も、詳しくお聞きすると無駄な支出があったりします。
ムダづかいをしないようにするには「固定費の見直し・先取り貯蓄(仕組み化)」や「ライフイベントに必要な額の把握(動機づけ)」なども有効なのですが、簡単にできることとして、「自分が無駄遣いするパターンを知っておく」というのもおすすめです。

必要もないのに買ってしまいがちなモノやタイミング(例えば、バーゲンに行くと、なぜか普段着ないデザイン・色の服を買ってしまうetc)傾向がわかっていれば「なるべく気をつける」ことができます。

行動経済学とは

そのパターンを分析していくと、私たちはなぜか「よく考えると損」な判断をしがちだということにも気づきます。それを体系的に解明しようとするのが行動経済学です。非合理的に思える行動がどこから来ているのか、人間の心理を探るものです。

マーケティングを仕掛ける側が行動経済学を学ぶと、消費者の購買行動の促進につながったりします。逆にいえば、つい浪費しがちな人はこれを知っておくことで、売り手の思惑に惑わされない「賢いお金の使い方」ができるのではないでしょうか。

ということで、行動経済学の理論を今回は5つ紹介したいと思います。

「アンカリング効果」

先ほどバーゲンの話をしましたが、初めから5,000円で売られているシャツと、10,000円という値札に線が引かれて5,000円で売られているシャツがあったら、どちらを選びますか?
実際には似たような商品であったとしても、元の価格の情報がアンカー(碇)となり、後者の方がお得に見えるものです。
もちろん実際にバーゲンで掘り出し物に出会えることもありますが、人気商品は売り切れているものです。私はアパレルでバイトをした時期がありますが、人気商品と同じ型で生地の質が少し低いもの、つまりバーゲン用に製造された商品が初めから定価に赤で線を引いた値札をつけて納品されていたりしました。バーゲンの時は脳が興奮して判断力が低下しがちなので、値札の情報に惑わされず、自分にとっての価値を見極めるようにしましょう。

「ハロー効果」

女優さんが薦める化粧品や料理研究家とコラボした調理器具を「良さそう!」と思ったりしませんか?
ハロー(halo)というのは後光という意味です。一般的な広告でも「有名な〇〇が使っている」という手法は以前からありますが、最近はSNSでもインフルエンサーマーケティングが盛んです。ふだんから好感を持つ人が薦めている商品やサービスはそれだけで親しみ・信頼を感じるものですが、宣伝費が発生している「案件」の場合もあると理解した上で総合的な判断をしましょう。

「希少性の原理」

「期間限定」、「メンバーのみ限定価格」といったキーワードや残量の表示「残りあと1点」、よく見ますよね。これは、時間や数量が限られていて入手しづらいもの、不足しているものに対してより高い価値を感じる心理を活用した手法です。
実店舗の「閉店セール」も本来はこの効果をねらったものですが、ずっと閉店しないことも多いので希少性は今ひとつ。
ネットショップのタイムセールは相対的に希少性が高く感じられますが、こちらも実は毎週やっていたりして。いずれにせよ元々欲しいものだったのか、タイムセールになっているから欲しい気がしているかしっかり考えてみましょう。

「ディドロ効果」

ランニングを始めようとしてシューズを見に行くと、ついウェアも揃えたくなる、とか思い切って良いスーツを買うと、バッグもいいものを持たないとバランスが悪いように思える、つまり「統一したい」心理を言います。
そして、そのようなシチュエーションで次の項で説明する「コントラスト効果」が同時に発生すると、いわゆる「大人買い」してしまいがちになります。そんな時は即決しないこと、トータルの予算を決めてから吟味することを意識しましょう。

「コントラスト効果」

不動産など、本体価格が高額なものを買ったあと、普段だったら高いと思う価格帯の家具やカーテンが安く思えることがあります。また、披露宴やお受験の際の塾の価格などもそうですが、基本プランが高いとオプション料金が気にならなくなる「金銭感覚の麻痺」が起こりがちです。アンカリング効果も、参照値として与えられた情報との比較でお得に思えるという点で似ています。人生で「ここぞ」という時のためのお金を遣えるよう準備するのも大切なことですが、麻痺ではなくあくまでコントロールできていることが大前提です。

行動経済学は「悪用しない」「振り回されない」

知っていると便利な行動経済学。私もメルカリで商品を出品する時には「希少性」や「ハロー効果」などのテクニックを紹介文で活用することもあります。
が、SDGsの目標12でも「つくる責任 つかう責任」とあるように、売り手も買い手も良識とリテラシーを持って経済と向き合うことが、これから問われていくのではないでしょうか。
もちろん社会のためだけでなく、一人ひとりの生活を持続可能に、そしてより豊かにするために、賢い消費者になりましょう。


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