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朧な月に(未完)

ここにはなかなか本当に春が来ない。

あの桜の下で、いつか彼女が言った言葉を反芻している。

桜もまだ咲かないんだ。まるで呪いみたいに。

満月は涙をまとって、朧に霞んでいる。そこに向かって、夜の底から歌を届ける。

月の涙がほどけるように。遠くても、桜が咲くように。

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