心の中の友達は私に死んで欲しい



私が肉体的に苦しむ原因に関わってしまった
つまり私の肺の病気に関わってしまった友達が居る

私の病気の事実を知ってからはずっと私から遠ざかろうとしている
今も私からのラインはずっと無視していて、最初に病気の報告をして以来一度も私に謝罪や労りの連絡はしてこない

私はその事に怒りや悲しみや絶望感を感じて一年近く生きてきた


死んだ後にも私の心の中にはその友達が現れて
「早く死んでください」って言ってくる
なんでそんな事を言って来るのかの理由はわかる

その友達は責任感が人よりも強くて、だから余計な責任を負わないように生きている
一度背負ったら絶対に荷物を下ろさない

だから私の命なんてものを背負う事になってしまったと自分に感じていて
早く私から逃げないと自分が押し潰されてしまうから
だから私に消えて欲しい

私を嫌いなんじゃなくて
自分が耐え切れないから私に消えて欲しいと心で願っている

悪人にもなれないから突き放す事もしてこない
ただ私の視界から消えようと、自分の視界から私を消そうとしている


私が悲しんでいたのは病気を労ってくれないからじゃない
自分の弱さを私におっかぶせて逃げようとしたから
でもその根底に「ひどい事をしてしまった」という感情があるから
だから苦しんで、その苦しみを消す為に私を消そうとしているんだと思う


私の友達はひどい人じゃない
本当はすごい人想いで優しい
でもそのままだと自分を守れないくらい繊細で
だからそういう優しい感情が出そうになると咄嗟にお面をかぶる

ずっと友達だったんだから知ってる
だから今も無表情のお面の後ろですごい傷付いてるんだと思う



私の中でその友達がひどい事を言っているように
その友達の中の私も、ひどい事を言い続けているんだと思う

自分を責める心が私の形をしているから
友達は私を遠ざけようと、いっそ嫌われて自分を捨てて欲しいと思っている

なんて可哀想なの、何にも悪くないのに



私は病気の発作が起きるたびに
心の中で友達にこの病気の原因をおっかぶせて耐えていた
辛い現実を自業自得と考えたら心が耐え切れないから人のせいにした

でもそれは、事故現場に居合わせてしまったくらいの関わりで
本当の意味で誰にも責任は無い
私の病気は事故的に起きて、運を掴めずに肺が壊れた

私は私の心を守る為に友達を犯人にして痛みを和らげようとした
でも結果はどんどん苦しい方向に行ってしまった
深層心理の私は知っているから
本当は何の罪もないその友達が「なんて事をしてしまったんだ」と冤罪で苦しんでいる事を知っているから




そんなことに友達は関わってしまった
そして自分のせいだと思い続けている

自分でそう思う事が耐え切れないから
心の中で「お前のせいだ」と責め続ける私を生み出して
ずっと私に虐められている


友達は加害者じゃない
でも結果的に逃げるという加害者の振る舞いをしてしまっていて
だから私も「あいつが加害者だ」と勘違いを起こす

どう振る舞ったら良いのかわからないんだと思う
私がいくら「あなたのせいじゃない」と言っても
心の底から「私のせいじゃない」と思う事はできない



昔友達が自死した
最期に会って直接おしゃべりをしたのは私だった
私と会って「ばいばい」と別れた6時間後に死んだ

私は今でも自分を責める
何かできたんじゃないか
死にたいとは聞いていたのに、なんで汲み取れなかったのか
友達の自死の責任は私にもある
そう思って生きていた


友達はいずれそうなってしまう
私が今後生きようが死のうがそうなってしまう

どんどん人を遠ざけて生きていく事になってしまう
私の友達は多分いままで何度も自分を殺し続けていて
痛覚を感じないくらい心が瘡蓋だらけになってるんだと思う
私は友達を救いたいのに、私の存在自体が友達を傷付けてしまう


私は姉に生まれたので、自分以外の命も守る義務を課され続けて生きてきた
すべてに対して過保護なのは性分だから
無理してるわけでも優しいわけでもない
傷付いていると判断すれば咄嗟に駆け寄ってしまう習性なだけ

私は習性に従って友達を助けたい
義務感とか体裁とかじゃなくて、本来優しくて繊細な友達が奥の方で酷く傷付いているのが可哀想で仕方がない



きっとこれは読んでいないだろうけど言いたい
念だけでも届いて欲しい

私の病気は誰のせいでもない
私の苦しみは私自身の心と肉体が生み出したもの
それに耐える為に私は自分の心の中にあなたを作って私を嫌わせていた
死んではじめてそれを理解した

私を嫌う友達の本来の姿は
現実を受け入れたくない小さな私で

同じように友達の中に、友達を責める私がいるなら
そいつを許してあげてほしい
そうやって誰かのせいにしないと耐えられないくらい辛いみたいだからそいつ
そいつの言葉は受け取らずに、そいつ自身を許して欲しい

そしてその私の姿をしている奴に
友達を許してやってほしいと伝えてほしい
現実世界の私が友達は何も悪くないって言っているんだから、お前が友達を責めるのは違う
お前はお前と向き合って大人になってくれって伝えて欲しい





こんなことって、どんな人にもあるだろうと思う
事故現場に居合わせて、自責の念が一生付き纏うみたいなのって
今後誰にでも起こり得る事で
そうなった時にどうすれば良いかなんて答えが無いと思う

忘れるように努めるとか
罪を自分以外のところに探すとか

でも優しい人であればあるほど、奥底で一生消えない十字は背負う事になると思う
それを軽量化できる可能性あるのは事故に遭った側しか居ないんじゃないかと思う

私は友達の心を殺す事もできてしまう
ある種、友達の運命を握ってしまっているのかもしれない
だから私の事を恐れている部分もあると思う


私は友達を傷付けるのは嫌だ
友達の心を冤罪で縛るのは嫌だ
罪悪感の奴隷にしたくない

だから、こんな事に巻き込んでしまった私を許して欲しい
友達だって十分被害者だから
どちらかが居なければ、会わなければ良かったなんて思わないでほしい
私はどんな道を歩いていても必ず事故に遭っていた



死ぬほど辛かったのは精神が弱いから

でもたかが肺が壊れたくらいで友達を見捨てるほど
私の精神は落ちぶれてはいない

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