スシ!邪神!ドラゴンガール!
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スシ!邪神!ドラゴンガール!

 抜けるような青に油膜じみた小汚い色彩が滲む晴れ空の下、ショッピングモールは地獄となった! その震源地たる屋上では悍ましい触手と化した寿司レーンが何本ものたうち、異形の寿司をまき散らしている。

「やられた!」

 その日はモール屋上でトレーディングカードゲームの大会が開催。この俺虎城勇魚は管轄自警団として警備に従事し、大会は特別な警戒の下に進められた。最近この近隣でタコ頭の邪悪族の目撃情報が多く、この大会で何事かを目論んでいるとみられていたのだ。

 何せここは混沌の海に浮かぶ惡徒呂シティ。何が起こってもおかしくない。TCGですら召喚されたモンスターが実体化する始末。ルールを守って楽しくプレイしていても危険がついて回る。

「石盾さん達は大会参加者の避難を。こいつは俺達が相手する!」

「頼んだよ!」

 客の安全はモール勤務の警備の仕事、危険な荒事は俺達が担う。それにしても巧妙な連中だ。まさかカードゲームでアレするにあたり大会に参加しないとは!

「兄貴! アレ!」

 後輩が指さす先、タコ頭の邪悪族の一人が少女を抱え、邪悪な回転寿司に捧げようとしている! 生贄か!

「させるかァ!」

 迫りくる寿司レーンを三点バーストで凌ぎつつ、俺は邪悪族に突進! 抜刀し首をもらう! 緑の血を飛沫ながら舞うタコ! そして少女! キャッチ! だが!

「ぐわぁぁーッ!」

 忌まわしき寿司レーンに弾かれ、俺達は宙に投げ出された! 異形の寿司が飛び交う空中で、俺は少女を固く抱きしめる。

 危険な高さだ。落ちるのが俺だけなら構わなかったが、こんな子供に余計な恐怖と苦痛を味わわせる訳にはいかない。だが……!

「すまない……!」

「謝らなくていい。ぼくにそれは必要ない。でも、ありがとう」

 少女はそう言うと、もの凄い力で俺の腕を開いた。そして華奢な体には似つかわしからぬ、逞しい膜状の翼を広げた。

「ドラゴンだったのか……!」

 俺を掴む彼女の右腕は力強く、そして翠玉色の鱗に覆われていた。

【続く】

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