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阪急うめだ本店で1週間、30種類以上のクラフトコーラを伝えてきました。

4月13日(水)〜19日(火)、CRAFT COLA hour / クラフトコーラアワー(主宰:鯉淵正行/クラフトコーラ行商・マイスター)は、阪急うめだ本店(大阪府大阪市) B1F ツリーテラスで、『〜知って、感じて、出逢える〜 クラフトコーラ』を開催してきました。

百貨店界の雄であり、全国屈指の情報発信力を誇る「阪急うめだ本店」を舞台に、総勢約30銘柄・40商品のクラフトコーラとのいい出逢いを育んできた1週間。

キュレーションだけではなく、企画から制作ディレクション、仕入れ(もちろんお支払いも)、販売員さん雇用、表示ラベル審査代行。あらゆる部分に関わった、この数ヶ月間。

準備から当日まで、どんな過程を経てこの催事が実現されてきたか、その裏側を公開できる範囲で紹介します。

*イベント概要はこちら*


1.始まり


2月3日(木)14:44、一通のメールが届きました。



目に映ったのは、

阪急うめだ本店でクラフトコーラの魅力発信イベントを行ないたいです。

という、想いが滲み出たタイトル。

蓋を開けると、阪急うめだ本店のバイヤーさんから一通のお誘い。温度が伝わるメッセージ。とってつけた言葉ではなく、自分の心身から出たであろう企画資料。

ひと目みただけで、クラフトコーラに関するリサーチと解釈をしっかり行っていて、ジャンルにポテンシャルを感じてくれているな、と実感しました。

そして、全国の百貨店でも屈指の情報発信力があり、阪急うめだ本店の食の入り口に位置する『地下1F ツリーテラス』という場所…。

クラフトコーラにとっては、またとない機会だ。
この方達と、ぜひ一緒にやりたい。

素直に心に浮かんだ感情にしたがい、二つ返事で連絡をとりました。

その後、すぐに電話をし、「いくつもの取材記事を読んでくれて、鯉淵を指名した」ということを教えてくれました。

お誘いのメールで届いた企画資料にあった、言葉の強さと共感を覚えたのは、そういうことか、と納得。

見てくれている方は見てくれているんだな、と心が熱くなった瞬間でした。

そうやってすぐに意気投合した我々は、クラフトコーラ界にとってエポックメイキングとなる催事へと、走り出していきました。

2.準備期間(2月〜4月)

さて、キックオフMTGを経て、まずは想いや方針を定めていきました。

たくさん言葉を交わした中で、大きく決めたのはまずこちら。

① クラフトコーラを多く集め、ジャンルとしての盛り上がりを伝える
(売り場・什器の範囲内で)
② 健康の切り口ではなく、“クラフト”性(想いやこだわり)の切り口にバリエーションを持たせ、真の面白さを伝える
③ ②の軸に従い、銘柄を厳選する
④ 商品だけではなく、クラフトコーラとは何か?魅力は?クラフトコーラマップなど、楽しむための補足情報をしっかり用意する

少し言葉を平易にしていますが、これは僕が主宰する「クラフトコーラアワー」の活動方針そのもの。

やっぱり、クラフトコーラが初めての方、飲んだことがあるけどしっくりきていない方を、置いてけぼりにしたくないから。

独立した活動体だからこそなし得るピュアな目線で、丸ごとジャンルとして伝える時に然るべき銘柄、テーマやコンセプトに沿った時に然るべき銘柄をセレクトしたかったから。

この想いを受け止めて、売り場に落とし込むことを序盤から決意してくださった担当者の方には、感謝しかありません。

そうして売り場で展開しようと決めたのが、こちらです。

【類をみない!厳選&大規模クラフトコーラマーケット】

どのような銘柄を、この阪急うめだ本店に並べるべきか。

初めての方、聞いたことがある方にとって嬉しいこと、クラフトコーラというジャンルを語ること。そういう意味で欠かすことができない“2大巨頭”、「伊良コーラ」「ともコーラ」は外せないと考えました。

もちろん、クラフトコーラの奥深さや多様性を楽しんでもらうべく、“クラフト”性(想いやこだわり)の切り口として、「地域性が魅力」の銘柄や「こだわりの世界観を味わえる」銘柄、「職人技を堪能できる」銘柄、「シーン別に楽しめる」銘柄、「コーラらしからぬ珍しい素材も嗜める」銘柄といった5つのカテゴリで銘柄を選定。売り場でもエリア分けし、「クラフトコーラの中でも、さまざまなバリエーションがあるんだ」ということを直感的に体感してもらえるようにと、話を進めました。

【マイスター実演!クラフトコーラ体験スタンド】

クラフトコーラをその場で飲めるようにもしたいよね、と当然のごとく話に上がった「体験スタンド」。

ここで迷ったのが、全ての銘柄を無料試飲にするか、あるいは幾つかの銘柄に絞りドリンクメニューとして用意するか。

実際には後者になったのですが、正直ギリギリまで決めあぐねていました。

ただ、形骸化しているとはいえ、まん防が明けたばかりのコロナ禍という状況、ましてやたくさんの人の日常や非日常を長年支え続けてきて、たくさんの人とお金が動く「営み」がある場、ということ。

売り場のスペースや販売員の体制が限られていること。

全ての銘柄を無料試飲にすれば、人は集まるし、物もよく売れるに違いないだろうことは、容易に想像できますが、上述を考慮し、「幾つかの銘柄に絞りドリンクメニューとして用意する」を選びました。

もっというと、無料試飲ありきではないスタイルで、クラフトコーラの魅力を伝え、買ってもらうことに挑みたかった。

もちろん、気軽に無料で試せることの価値は理解しているつもりだし、お客さんにとっても嬉しいこと。ただ、そうやってひとつひとつの機会で無料試飲を選択することで、無料試飲ありきのジャンルになることへ貢献してしまうのは長期的に見ると果たしてどうなのか?という気持ちも拭いきれなかったのも、また事実。

だし、クラフトコーラを商品として置くお店にもお金が還元される状態になることが、クラフトコーラが文化になる上では欠かせないことだと思うので、そういう選択をしました。

味わいが一部わからない状態であればこそ人は五感を働かせ、どれにしようか熟慮する。つまりは、クラフトコーラをあらゆる角度で感じ、検討し、選ぼうとする。

ジャンル柄よくわからない、また“想いやこだわり”があって初めて意義があるクラフトコーラならばこそ。そういう過程を経て選ぶことが、特に黎明期を経てブームを歩み始めたクラフトコーラにおいては、大切なことだと思ったから。それが、きっとその人にとって、今後クラフトコーラと出逢う上で生きる「原体験」となる。そう信じて、進めました。

もちろん、その分伝えるための情報は、いつもクラフトコーラアワーがやっている、マイスター中心とした販売員との会話や各種POPで展開することにしました。

【観て楽しむ!愛と好奇心に溢れた装飾看板たち】

そのほか、やはり伝えるべきは、「クラフトコーラとは何か」ということ。ここがモヤモヤしていると、どこか心に引っかかりを抱えた状態でクラフトコーラを選び、楽しむことになる。

意識的にも、無意識的にも、引っかかっている方が多いことは、これまで数々のイベントで感じてきました。そこはクラフトコーラアワーもとい鯉淵が長年考えて言葉にしてきた自負もあるし日頃から発信しているため、今回の趣旨や雰囲気に合わせながら紹介することに決めました。

次に、今回登場している銘柄を日本地図にマッピングした、クラフトコーラマップ。全国津々浦々に登場していること、それを一目で直感できる情報であることから、展開することに決めました。

そして、クラフトコーラの魅力。定義的な意味合いとは別に、どんなところに魅力があるのか。今回クラフトコーラを手に取ってくれたお客さんが、お家でさまざまに楽しんでもらえるように。大看板で展開することにしました。

(あ…!写真がない…!泣)

また、今回買っていただいた方にはもれなく、クラフトコーラアワーが手がける特製リーフレットをお土産にお贈りすることに。クラフトコーラマップとクラフトコーラの楽しみ方がセットになった、クラフトコーラをたのしむ読み物。昨年5月に刊行して以降、あらゆる場所で配布してきた相棒なんです。

↑写真の左下に見切れているのは、クラフトコーラで丸ごと編まれた初めての本『クラフトコーラが好き。』。2021年に登場した、本格派のZINEです。

クラフトコーラとは何か、その歴史や系譜について、あるいはルックスや切り口で多様性を感じれるようにと厳選した10銘柄の紹介、クラフトコーラシロップと気軽に割るには何が合うのか試した大実験会など、クラフトコーラを愛してやまない鯉淵と、それを伝えようとしてくれた編集側によって一冊に仕上がった、愛の結晶です。

この3月から手渡しでお売りし始めたので、今回を機に「じっくりクラフトコーラの世界に浸ってみたい」と思ってもらえたお客さん向けに、ここでも販売することにしました。

そして、今回ジャンルとしても史上初となっただろうの取り組みが、パッケージデザインの壁面展示です。総勢30銘柄以上集まっていることを直感的に伝えたかったことが、この一手の理由です。クラフトコーラはデザイン性も魅力の一つのため、そこを抽出して伝えるべく、パッケージデザインの壁面展示をすることにしました。

そんなこんなで、一つ一つのコンテンツに、ピュアな想いと葛藤を経て、実現の道を探って行くことになりました。

コンテンツが決まってからというもの、素材の調達から、表現の構成、売り場での落とし込みまで、あらゆる方のご協力とともに、どんどん具体化を進めていきました。

どういう売り場になって、どういう什器で、どういう配置になって、お客さんの流れをどのように生んで、どこにどのコンテンツを配置するか。

それを一から協議し、いかにしてクラフトコーラと出逢ってもらうかを考えることは、楽しさや面白さ以外の何ものでもありませんでした。

3.直前の動き(4月前半)

直前まで難航したのが、百貨店催事で販売を行うための、裏ラベルの点検。

要は、成分表示や製造者情報の表示、などです。ここがどうあるべきか、公的な法などを中心にさまざまに基準が定められているため、そこの審査をしていただくことが必要だったのです。

審査のため情報を集め、依頼をし、フィードバックを差配していくのは、もちろん出店者の我々クラフトコーラアワー。最初から順風満帆だったかというと、そうではなかったのは事実です。開始1週間前もここの対応で奔走していて、無事に催事開幕を迎えられるか不安が募っていましたが、フィードバックがあった際には迅速に各銘柄さんに修正いただき、どうにか当日を迎えることができました。

今回を機に、我々も表示チェックの仕事を請け負えるくらい知見が溜まりましたし、販路を広げる意味ではクラフトコーラ界に財産をもたらすことができたかなと、思っています。

さて、ラベル点検系の対応が落ち着いたら、もう催事直前!

前日の12日に阪急うめだ本店からプレスリリースが配布され、あらゆるWebメディアに取り上げてもらえました。

その数、12日時点で60記事以上。それ以降の公開分もカウントすると、さらに上回ると思います。ここでは一部を抜粋。

・ファッションプレス

・Yahoo!ニュース

・デイリースポーツニュース online

・LINE NEWS(ラインニュース)

・ORICON NEWS

・時事ドットコム

4.当日(4月13日〜19日)


さて、迎えた催事当日。

お客さんが来てくださるか、予想もつかない中、ドキドキしながら売り場に立ちました。

当日の午前中は、いたって平穏。平日の午前中ということもあって、比較的落ち着いていました。お昼を過ぎると、徐々に伸びるお客さんの数。時間が経てば経つほど、たくさんのお客さんが来てくれる様子は、まるで人の平日のリズムに呼応しているかのようでした。

さすが、大阪人にとっての中心地であり、ターミナル駅の玄関口。

ついには気づいたら立ちっぱなしで夜を迎えていたくらい、さまざまなお客さんと会話する時間が流れていったのです。

以降、平日は同様な感じで、土日は平日と比べ一段とお客さんも増え、山も多かった印象です。

渾身のコンテンツと、お客さんとの気兼ねない会話を通して、見えてきたのは何か。

一つは、予想以上にクラフトコーラが初めて、という方が多かった、ということ。そして、その方達は、元祖や飲みやすいもの、を求めること。

「最初に手を出すとしたら何がいいですか?」という言葉に多く出逢いました。そして、それを聞いてもらえる度に、自分の存在意義を感じて嬉しくなりました。

そんな時に紹介したのは、やはり2大巨頭の「伊良コーラ」「ともコーラ」。「見た、聞いたことがある」「気になっていた」という方やも多くいて、やはり選んでよかったなと思いました。今のクラフトコーラの広がりや深化はこの2つがあってこそなので、まずは知ってほしい気持ちは強いですし、お客さんも嬉しそうでした。

そして、クラフトコーラにおける「飲みやすい」とは何か、ということ。これはその人にとっての「飲みやすい」がたくさんあることに、改めて気づけました。「甘いもの」「さっぱりしているもの」「スパイス感のあるもの」「スパイス感が強くないもの」「コーラっぽいもの」…。飲みやすいの軸は十人十色。その質問が来た時には「一緒に探る」ことを大切にしていました。

クラフトコーラといえば「スパイス」が一つのキーであり、スパイス感が強い方がクラフトコーラらしいといえばらしい。けれど、クラフトコーラに慣れていない場合、クラフトコーラらしい=スパイス感、として一致している場合の方が少ない。そこを気付けたのも、大きかったです。

全日を通したお客さんの様子。

たくさんの種類と紹介を前に、「どうしよう」と嬉しそうに悩む方、難しそうに悩む方、即決する方、たくさんの種類を買う方、自分用と贈り物用を分けてそれぞれに合うものを聞いてくれた方、全種類制覇する方、さまざまにいました。

多くのお客さんに共通していたのは、クラフトコーラとは何か、どんな個性があるのか、どんな香りがするのか、どんな味わいがするのか、興味津々に話を聞いてくれて、商品を裏までまじまじ見つめ、試すことができるものは試してくれた、ということです。

そして、買うときは晴れ晴れとした表情で、お礼をわざわざ伝えてくださる方がたくさんいました。

きっと、ただ商品を買うだけではなく、ジャンルと出逢えたということ、納得のいくお買い物をしたこと、を感じてもらえたかなのかな、と思います。

この期間でリピートしてくれる方が思った以上にいたのも、嬉しかったです。その方達は、会話を覚えてくれていて、おすすめしたけど買わなかった銘柄をリピート時に買ってくれたり、あるいはまたおすすめを聴きに来てくれたり。我々の紹介を頼ってくれている感じが、感動ものでした。

「また来てください」「次はどこで会えますか?」「お店は持ってますか?」等など、次の機会を期待する声も多くいただけて。我々がきっかけで、皆さんそれぞれのクラフトコーラ生活が始まり、それを続けようとしてくれているのを見ると、活動冥利に尽きます。

本当に、心温まる出店となりました。

5.その後(4月20日〜)


催事が終了してから、早1週間。

SNSで感想を届けてくれたりしていて、それを見る度に嬉しくなります。

また、今回の催事に来てくれた飲食店に関わっているお客さんが、我々宛に、あるいは各銘柄さん宛に直接お取り扱いを希望する連絡をしてくれていて。みたいな件がいくつかあります。そうやって、それぞれに繋がりが生まれていくのにも胸が躍ります。

また、今回を機に、また大阪方面に呼んでいただけそうな気配も、ちらほら。阪急の担当者さんからもお褒めの言葉をいただけて、総じていい催事にだったのかなと思っています。

もちろん、たくさん反省点はあります。もっとスマートに、スムーズに、さまざまなことを進めたり、決めたりできたなと思う部分は随所に感じていて。

ただ、誰でも借りれるイベントスペースや、場所自体が新しいから自由が効く場所ではなく、歴史も営みも積もり続ける百貨店、その屈指の存在である阪急うめだ本店に、クラフトコーラをジャンルごと佇ませ、愛が故の動機しかないクラフトコーラアワーのスタンスで紹介できたこと。ここに、とてつもない意義を感じています。

6.お問い合せ

このような取り組みを、今後も続けていきたい。

その場をリスペクトし、コンセプトや文脈、実現性を鑑みた形式とセレクトを持って、あらゆる場でクラフトコーラを紹介し、人の手に渡らせていきたいです。

相談ベースでも構いませんので、いい出逢いの予感がしたら、お気軽にお問合せください。

宛先:
craftcola.hour@gmail.com
HP:
https://craftcolahour.com/


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