詩18『離してくれよ』

ぼくの願いが
あんたの願いを踏みつぶすと言うのなら

ぼくの願いが
あんたの願いを無視すると言うのなら

それは、誰の願いでもないんだよ

ぼくが幸せになったって、誰も不幸せにはならないんだ

願っちゃいけないだなんて、誰が言ったの

なんで石ころを食べちゃいけないの
なんで早く寝なきゃいけないの
なんで雨の日には必ず傘をささなきゃいけないの
なんで虫を潰してはいけないの
なんで静かにしなきゃいけないの
なんであの人を好きになっちゃいけないの

ぼくは、ただ、やってみたいだけなのに。

なんで嘘を吐いてはいけないの
なんで嘘を吐かなきゃいけないの

大きくなっても、わからないまま。

ぼくはぼくを幸せにしたいから

あんたはあんたを幸せにしてやってくれよ。

そのためになら、手を取り合いたい。

もう、いい加減、
あんたのことはあんたが満たしてやれよ
あんたの願いは、あんたが叶えてやれよ

そのためにぼくが邪魔なのかい
ぼくが自分の願いを願うせいで
たったこれっぽっちのことで、吹き飛ぶようなものなのかい

離してくれよ

この手を、放してくれよ。


[今日のおはなし]

二人称を『あんた』にして詩を書くのははじめて。

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