詩01『幸せだと言う』
・はじめまして。人文学部(文学方面)の女子大生、ひとり 杏と申します。文筆家を目指しています。今日から、どうぞよろしくお願いします。
・毎週火曜日と土曜日には、文芸作品を投稿します。
詩01『幸せだと言う』
いつかこの世から退去するとしても、また生まれてきたいと思うこと
生まれかわって、たとえ木になろうが魚になろうが
もう一度出会いたい人がいること
その人と目を合わせるために、生まれてきたいと思うこと
ぼくは、これを幸せと呼ぶ
ぼくは、ぼくを幸せだと言う
いつか、もう一度
まっさらに澄んだ声で、きみに「はじめまして」と言わせて
[今日のおはなし]
部屋で彼氏と晩ご飯を食べていたんです。食べ終わって立ち上がると、薄暗い部屋の中で、テーブル上に今までなかったろうそくの火が揺れていたんですね。
……いや、種明かしをすると、次の通りです。空になったデザートのカップにスプーンが突っ込んであって。その金属製のスプーンに天井の照明が反射して光っているのを、ろうそくの火と見間違えただけなんです。
金色に、まっすぐに、一本だけ。貴重で小さな時間はこんな光りかたをするのかと、初めて知りました。みなさんの時間は、どのように光りますか?
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