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1p:ウソつきなこども

5さいの彼はウソつきでした。

ちょうど平成仮面ライダーの放送が始まって半年した頃、まだ何も決まっていない次の仮面ライダーの名前を適当に言いふらした上で、保育園内で友達とその仮面ライダーごっこをしていました。
架空のライダーをでっちあげ、仮面ライダーごっこをするように彼はしむけたのです。

このときから彼はずっとウソつきです。

今、思うとなぜこんなウソをついたのでしょうか?
友達をだましたいという気持ちがあったのでしょうか?
それとも周りからの注目を浴びたかったのでしょうか?

いいえ、確信して言えます。
彼は他人を楽しませようと思ってウソをついたのです。
半年もコスり続けた仮面ライダーごっこに飽き飽きしていた園児の彼らと、彼自身に新しい楽しみを作りたかったんです。


その後もウソは続きました。
仮面ライダーだけでなく、特撮ヒーローも。

翌年、新しい仮面ライダーが放送開始しました。
彼が適当に作った設定とは全然違う仮面ライダーです。
彼は恐る恐る保育園に行きました。
みんなにウソがばれると思っていたからです。
でも、そんな心配はありませんでした。
彼のウソ設定仮面ライダーの名前なんかみんな忘れており、新たな仮面ライダーごっこが始まったのです。
彼も一緒にそのライダーごっこを楽しみ、無事に5さいを過ごすことができたようです。

彼は人生でこの後もウソをつきました。
ただ、人を貶めようとしてウソをつくことはありませんでした。
他人を楽しませる方便としてウソをつくことにしただけです。


彼のアイデンティティに、「他人を楽しませることが喜び」があるようです。
彼はその気持ちを今でも持っているのかな?

持ち続けているといいな。
#大人になったらウソはダメ


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