Lisa lil vinci「I HATE MYSELF」全曲解説
長野出身で東京を拠点に活動するラッパー、Lisa lil vinciがリリースしたEP「I HATE MYSELF」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。
長野出身で現在は東京を拠点に活動するラッパーのLisa lil vinciは6月1日(水)、新たなEP「I HATE MYSELF」をリリースする。
Lisa lil vinciはダブルミーニングなどの言葉遊びが効いたリリックを、現行のアメリカのラッパーのフロウを吸収したスタイルで聴かせるラッパー。2015年頃からSoundCloudで楽曲を発表し、これまでに2019年のEP「Number XIII」や2021年のアルバム「0ky0mu0」などの作品をリリースしている。
今回リリースするEPは、リリックでこれまで以上に内面を曝け出したパーソナルな作品に仕上がっている。「I HATE MYSELF」というタイトルは、制作期間中に経験した様々な出来事により陥った自己嫌悪から名付けられたという。ビートは全曲インターネット上で集めたもので、ギターやピアノの音を多用したエモーショナルなトラップを中心に、メロウなR&Bや攻撃的なUKドリル系のビートなどを使用。メロディアスに歌うようなフロウや畳み掛けるようなフロウを使い、日記のようなリリックをビートに落とし込んでいる。
レコーディングとミックスはLisa lil vinci自身が行い、マスタリングは同郷のDJ KENZI a.k.a. BLACKBEATZが担当。アートワークはLisa lil vinciがSNSで発見したというインドネシアのイラストレーター、Apd tumが手掛けている。
1. Mijime
2. Yeahlol
3. Sexy girl
4. I hate myself
5. 天秤
6. Are u tryna break me...?
7. 自分勝手
8. 花金ナイトフィーバー
9. Real of fake
10. 忘れちゃったらなかったのと同じ
11. I'm on my way
12. Den-O
13. Tsukuru
全曲解説します。
1. Mijime
もの悲しいピアノのダウナーな曲。
ボコボコした低音や歌声のサンプリングも使ったビートに、メロディアスなラップが楽しめる良曲です。ヴァースの途中で入るSEやアウトロでの歌も印象的。
2. Yeahlol
R&B風味のメロウ路線。
煌びやかなシンセのループを用いた落ち着いたトラップです。フックで入っってくる高音シンセとメロディアスなラップの絡みがたまらなくスウィート。
3. Sexy girl
エレクトロニックで重厚なシンセを使った曲。
基本は切ないギターが効いたエモーショナルなビートです。細かいラップのエディットが絶妙。
ギターやピアノなどオーガニックな音色を使った曲。
ドラムはトラップマナーで808の鳴りもダーティです。畳み掛けるようなキレのあるラップが強力。
5. 天秤
枯れたギターと重厚なシンセを用いたエモーショナル路線。
詰め込み気味のフロウを聴かせるヴァースと、ゆったりと歌うフックのバランスが素晴らしいです。アウトロに沿えるコーラスも印象的。
美しいピアノが切ない空気を醸し出した曲。
細かい声色の切り替えが感情の揺れを見事に表現しており、そのラップ力の高さに唸らされます。フックもキャッチー。
7. 自分勝手
アコースティックギターが目立つフォーキーな曲。
トラップ的なドラムも入らない素朴なビートで、繊細に歌う好曲です。シンプルなビートだからこそ染み入るものがあります。
8. 花金ナイトフィーバー
一気に空気が変わるUKドリル風味の曲。
グイっと動くベースとカリブ海のリズムを刻むドラムに乗せて、畳み掛けるようなラップを聴かせる曲です。アウトロで低速化されて少しレゲトンっぽくなるユニークな展開も。
9. Real of fake
アコースティックギターを使ったエモーショナルなトラップ。
ダーティな808が抜ける箇所でもキレのあるラップが自然に乗っており、安定したスキルフルなラップが楽しめます。声を丁寧に配したフックも良いです。
10. 忘れちゃったらなかったのと同じ
涼しげなギターにトラップ流儀のドラムを合わせた曲。
歌心とキレを両立したフロウの冴えと、コーラスやアドリブも巧みに使うソングライティングの妙が活きた良曲です。細かく作り込まれたフックが強力。
11. I'm on my way
優しいギターのエモーショナル路線。
高速ハイハットやダーティな808でトラップに仕上げたビートで、歌心とキレのあるラップが光る好曲です。連呼系フックがキャッチー。
12. Den-O
再びのUKドリル系ビート。
女声ヴォーカルのサンプリングが印象的なビートで、メロディアス成分控えめなフロウを聴かせる曲です。アウトロでピッチが上がる展開もユニーク。
13. Tsukuru
短い曲が多い今作の中で異彩を放つ5分近い曲。
枯れたギターとヘヴィなベースが印象的な抑制の効いたビートから始まり、途中で神々しいコーラスが、後半ではダーティな808が、そして最後にはギターソロが入る展開が多い曲です。そこに寄り添うラップも見事。
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