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性教育を伝えるに、20代は最強の武器

国内外で性教育を学んできた性教育講師、橋本阿姫です。

近年、性教育に興味を持ち、性教育を学び伝える講師が増えてきており、性教育ブームとなっています。これまでは、助産師・看護師・地域のおばちゃんなどが性教育を伝えていたと思いますが、性教育ブームに伴い、大学生が、「性教育を教えたい!」と目標に持ってらっしゃることもよく見かけます。

そして、そういった大学生の方と、『性教育を実際に”その若さで”伝えていくにはどうしているのか?』『20代の若さでは、性教育として伝えられることが自分自身少ないと感じています』と質問いただくことも多いです。

”その若さ”・”20代の若さ”の言葉ように、大学生自身や私のような20代が性教育を伝えることに、ハードルを感じているようですが、性教育を伝える上で20代は最強の武器だと思っています。

私が考える、20代は最強の武器の理由3つを書いていきます。

(参考程度に、性教育を伝えるハードルは?)


20代は最強の武器

包括的性教育

性教育というと、生理・避妊/性感染症・妊娠についてをイメージされると思います。
しかし、近年の性教育ブームの性教育とは、包括的性教育のことを指しています。

包括的性教育とは、身体や生殖の仕組みだけでなく、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等、幸福など幅広いテーマを含む教育です。 包括的性教育の進め方を記したユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」は、性教育の国際的な指針になっています。

つまり、私がまとめた、以下の包括的性教育マップのように、人権・健康・安全・コミュニケーションの4つの軸があり、成長発達に応じてこの4つの軸を継続的に学ぶこととです。

包括的性教育マップ

従来のように、生理・避妊/性感染症・妊娠といった主に健康の内容のみが性教育とするのであれば、20代が経験をしており、伝えられ易いことは生理・避妊/性感染症についてになってしまいます。

しかし、包括的性教育を性教育とするのであれば、20代でも多くのことを伝えることができます。
実際に、私も20代で妊娠・出産を経験していないので、その点はやはり実際のママさんや、助産師には知識と経験が足りていないと感じることがあります。
ただ、私の場合は、実際に海外で性教育を学んだ講師が少ないことから、
現在のところでは、海外の性教育・ジェンダー/多様性については自分の武器です。

海外での1枚

これも、またどこかで書きたいですが、性教育の講師さんそれぞれに特徴と得意があるので、1人で4軸全てを伝えるのもいいですが、自分の得意分野を伝えていくことを伸ばすのもいいかと思っていたりします。

こう考えると、学生さんの「自分に伝えられることはあるのか?」は、ズバリ、あります!
性教育に興味を持った時点で、性に関する何かしらの困ったことや経験があるはずです。その学生さんの困ったことや経験を、同じように困っている学生がいるはずです。その困ったことや経験をベースに、(学んだ)知識を伝えていくといった方法で伝えることで、学生さんだけの性教育授業が出来上がります。
学生や20代であっても、ひよることはありません。経験してきたことは、今の自分を作っています。今の自分だからこそ伝えられる包括的性教育を伝えられると思います。


学生と感覚が似ている

そして、今回のテーマ「20代が最強の武器」の1番のポイントは、
学生と感覚が似ているため共感性が高く、学生の気になるや困っていることがわかることと考えています。

20代はまだまだ経験が浅いというならば、20代は学生と感覚が近いと言い換えもできますよね。

決して否定をしている訳ではないですが、考えてみてください。
ママさんや地域のおばちゃんから性教育を教えられても、自分ごととはなりにくいです。「大人が言っていること」「大人が学生だった時代と、今の学生の時代とでは全然違う」と、学生は思っているのではないでしょうか。
自分ごととして捉えられなければ、性教育は意味がないと思います。


高校での授業の様子(1/2)



そこで、20代が強みになるのです。

20代の大学生が高校生だった頃の学生生活と、高校生の学生スタイルはさほど大きな違いはないでしょう。例えば、SNSが当たり前の中の学生生活を送ってきています。この点、大人はSNSが存在している学生生活と、学生のSNS絡みの性トラブルなどは理解し難い部分も多いでしょう。

また20代は、学生頃に気になっていた性のことや、性で困っていたことが、まだ新鮮に覚えているころです。

学生の性について気になることや困っていることが分かることは、学生が自分ごととして性教育を聞くために大切です。
そして、少し年齢が上のお兄さん・お姉さんから伝えられることで、親近感が沸いたり、数年後の自分の姿として話を聞くことができます。
30年後のことは想像できないけれど、5年後くらいのことなら想像できますよね。特に、高校を卒業して大学生になっている自分を想像するのは、高校生にとってはとても楽しいし、大学生は憧れの存在であったりもする。

そのため、大学生(20代)が高校生に性教育を伝えることは、高校生にとって、自分ごととして考え聞くことができると考えています。
また大学生にとっても、性教育が大切と思っていて自分が学んだことを伝えることができるアウトプットの機会として、とてもいいと感じています。


海外で実際にある性教育方法

大学生(20代)が高校生に性教育を伝えることは、双方にメリットがあると言いましたが、実際に海外で行われている例があります。

それは、性教育を
・大学生が、高校生へ
・高校生が、中学生へ

伝えるというものです。

これは、先述したように、少し年齢が上のお兄さん・お姉さんから伝えられることで、親近感が沸いたり、数年後の自分の姿として話を聞くことができることを、うまく活用した例です。

(参考:海外で実際にある効果的な性教育方法2選)



1つ先の社会的ポジションの人から教えられることで、聞く側も自分ごととして聞きやすく、より効果的な性教育の方法といえるのではないでしょうか。

高校での授業の様子(2/2)


20代は最強の武器

さて、ここまで読んでどうでしょうか。
「大学生だから」「20代で妊娠・出産の経験がないから」の不安は無くなったのではないでしょうか。

20代だからこその強みはあります!そして20代の強みは20代の時だけです!

性教育は自分ごととして聞くことができることが大切なので、自分ごととして聞くことができる相手から聞く必要があると思います。


性教育に興味を持つ大学生から質問をいただいた際に、この3つを話すようにしています。
どこかの性教育に興味がある大学生の助けになればと思います。


2023/01/03


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