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長男がADDと診断された。

ADDとはAttention Deficit Disorder 注意欠陥障がい。私が知っていたADHDはAttention Deficit Hyperactivity Disorder 注意欠陥・多動性障がい。hyperactivity:多動→突然走り出したりという行動は見られませんね、ということで”H”が無いADD。

4年生の夏、学習の態度や書き取り、友達付き合いなどが、同い年の子に比べて差が開き、無視できないほどになってしまった。病院で半日足らずのテストを受けた。私としては『そういう傾向が少し見られる程度』ではないかと勝手に予想していたが、明らかにADD、という見立てであった。

まず、文章が書けない。文字を書くことが苦痛らしい。行を揃える、文字をマスに納めることが苦手である。何故そうするべきなのかが、腹に落ちていないようである。力加減も難しいようで、かすれたような文字を書く。消しゴムはもっと苦手で、消し残しが酷くて、その上から文字を書き重ねるものだから、酷く見難い。綺麗に丁寧に消すように手を添えて手伝うと、力が入りすぎて紙を破いてしまう。最近は彼の調子を見極めて、消すのが困難なら赤鉛筆で上書きさせている。文字を綴ることに集中することは、苦行なのである。少し前は書く文字が雑だと私も妻も叱ってしまっていた。たぶん、それが自己肯定感を削ぎ、苦手意識も高め尚更いけなかったのだろう。叱り続けて3年くらい経ってしまっただろうか。

学校の廊下に張り出された彼のクラスの作文。遠目に見ても、かすれた文字で短い、文字を書くことが嫌いであることが伝わってくる一枚、目立って白い部分が多いその紙が、彼のものであった。他のクラスメイトがサラサラと書いている横で、恐らく手遊びをしていたのではないかな。

書きたかったのかな、本当は。皆と同じようにしたかったのかな。手遊びするには長すぎる時間、どんな居づらさに耐えていたのかな。

もし何も感じずに手遊びに夢中になれていたら、それはそれで。幸せなのかもしれない。

最近は彼が少しずつ卑屈になってきた気がしてならない。本当は出来ることを知っている自分。でも、できない、自分。きっとやってもだめだ、そんなあきらめに似た目や息遣いが聞こえている気がする。

彼には2歳下の妹がいる。

彼が2歳の時に生まれ、母親を取られたと感じたショックのあまり妹の誕生を喜べない、むしろ露骨に嫌がっていた。以来、今まで毎日毎日、妹よりも優位にいる事を確認して心の平穏を得ていた彼(勝手な想像。確認していたわけではなく、感じていた、程度かもしれないがこれも勝手な想像。)。2年生の女子にもなると綺麗な字が書けてくる。妹までに越されようとする彼の心中はいかなるものであろう。


なんで僕だけ。

なんで妹は。

毎日が怒りの主張の連続である


彼の平穏を助けて、成長を促してあげたい。




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