ADDの薬、インチュニブ

ADDやADHDの子のよくある性格と聞きますが。息子も、興味がないとかつまらないことには全く集中できない。水が油を弾く、永遠に混ざらないかの如く、全く馴染んでくれない。つまらないけどしばらく我慢してやってみよう、という耐性が著しく低い。

ある事柄に取り組み、上手く出来なかった。頑張ってもう一度アプローチできる根性のある子、やり方を工夫できる子。やめてしまう子。人それぞれで結構。

ただ、息子の場合は、ほぼ全てにおいてやめてしまう。自己肯定感を損なう経験を積み重ねてしまうのである。ハードルを下げたり、彼の努力の面を褒めたり、良いところをピックアップしても、なかなかどうして、諦めてしまうことが多い。泣きながら怒り始めてしまったり、手がつけられなくなることもあり、励ますことも出来ないのである。

他の子は、辛いやりがいを感じられるドーパミンの活動が上手く出来ていて。多分、ドーパミンは人間の野生的な本能から、目前の苦難を乗り越えるため、長期目線では自己の成長のため、種の維持の為に備わっていることなのだと察する。ADDやADHDはこのドーパミンの活動を正常に機能させるために投薬が有効とされ、息子もインチュニブという薬を飲み始めた。

親としては、薬が手放せなくなったり、良くない副作用がじわじわ効いてしまうことが怖くてなかなか踏み出せなかったが、恐る恐る先生の勧めもあり、まずは1か月試すこととした。

1か月服用し、効果はわからないなぁと思いながら、一応彼に『薬を飲んでどう?続ける?』と聞いてみた。

『うーん、どっちでもいい』という答えを想像していたが、驚いたことに『続けたい。』と言った。

久しぶりに見せてくれた本心の目だった。

彼曰く、薬を飲んでからは大嫌いな漢字練習帳でも何とか書き続けられるようになった。楽になった、と。

ただ、この1か月は色々な事も重なった1か月だった。コロナでの休校が開けて家に籠もる生活が終わったり、ADDの診断を受けて我々親や学校の先生も接し方をどうすれば良いか変えたりという環境の変化もポジティブに影響していると思われるが、彼にとって生きる楽しみが感じられる日が1日でも多くあることは、本当に嬉しい。

彼が人生を楽しめるようになることが、いまは何よりと考えているのです。




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