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臨床心理士/公認心理師、どちらかの資格しか取れなくても心理の仕事はできる?

この記事が役に立ちそうな人:臨床心理士/公認心理師のどちらかしか受験資格がないが、心理職の仕事に興味がある方

臨床心理士/公認心理師は、人によってはどちらか一方しか資格試験の受験資格が得られません。
そのため、この記事のタイトルのような疑問を抱いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

先に結論を述べると、

  • なんとかなりそう

  • ただし、職場は限定される可能性がある

  • 今後は変わっていきそう

というのが現時点での予測です。
なぜそう思うのか、詳しく説明していきます。

※今回の記事は、実際に臨床心理士/公認心理師として現場で働く私の「肌感覚」、つまり主観も多く含まれています。他の心理職の方に聞けば、まったく違う見解が返ってくるかもしれません。
しかし、明文化されていないような「業界内の立ち位置、イメージ」も仕事選びにおける重要な情報だと思いますので、一つの意見として書いてみます。

今回はちょっとややこしいお話です

そもそも臨床心理士/公認心理師とは?

職務上の役割はそれぞれ定められていますが、両資格の保有者である私にとってはこういうイメージです。

  • 臨床心理士=心理臨床の仕事をするにあたり、一定の訓練を積んでいることを示す民間資格

  • 公認心理師=心理に関する知識(もしくは経験)を持つことを法的に裏づける国家資格

そして、それぞれに強みもあります。

  • 臨床心理士の強み=心理療法や検査に関する知識を持つ
    (実際に人の心と深く関わるための技能が重視される)

  • 公認心理師の強み=この資格があることで携われる業務がある
    (たとえば医療機関での一部の業務、企業でのストレスチェック実施など)

では、これらの特徴を踏まえた上で、片方の資格しか持たない(持てない)場合の仕事はどうなるか考えてみましょう。

臨床心理士のみの場合

臨床心理士は、医療機関での一部の業務や企業のストレスチェックに携わるための法的な裏づけがありません。
ゆえに、臨床心理士だけを取得した場合はこれらの職場に就職することが難しくなる、もしくは公認心理師との待遇の差がつけられる可能性があります。

一方で、公認心理師の資格が必須ではない職場、たとえば私設開業のカウンセリングルームやスクールカウンセラーといった分野では、従来と変わらず力を発揮できるでしょう。

公認心理師のみの場合

公認心理師は、法律上の立場がしっかりしていることが大きな強みです。
医療機関では、公認心理師のみを要件とする求人をよく見かけます。

反面、公認心理師の試験では心理療法や検査については深く問われません。
臨床業務がメインの職場では「この人が持っているのは公認心理師だけか。臨床はどこまでできるのかな?」と思われてしまうこともありそうです。

今後状況は変わりそう

2023年現在の状況としては、今までに述べたとおりです。

しかし、公認心理師はできてから日の浅い資格であり、まだまだ過渡期にあります。
今後予想される変化としては

  • 大学からストレートで大学院まで進む学生は、臨床心理士/公認心理師両方の取得に対応した大学院へ進学することが多くなるだろう

  • したがって、今後は両方の資格を持つダブルホルダーが増え、両資格間の差は縮まっていくだろう

  • 臨床心理士の資格は維持にコストがかかるため、手放す人が増えるだろう

  • ただし、他学部出身の学生や社会人にとっては、公認心理師資格取得のためだけに学部からやり直すことは現実的ではないため、修士課程修了のみで取れる臨床心理士の資格は一定の需要があるだろう

といったことが挙げられます。


今後の求人がどうなっていくかはわかりませんが、少なくとも今は「片方の資格しか取れないから心理の仕事はできない」ということはなさそうですので、ご安心いただければと思います。

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