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【修了考査】会計実務の勉強方法(改訂版)

みなさん、こんにちは。4月に会計実務の記事を書きましたが、内容が不足していると思い改訂版を書くことにしました。(最近じわじわと閲覧数が増えているにもかかわらず、申し訳ないです…)4月の記事は主にスケジュールについてでしたが、今回の記事では主に具体的な対策について書きたいと思います。

1.試験範囲について

会計実務の試験範囲は、論文式試験の会計学午後(財務会計論)と対応します。一部修了考査特有の論点(例:繰延税金資産の回収可能性に関する会社分類の考え方)や改正論点もありますが、論文式試験から範囲が大きく広がるわけではないと考えています。とはいえ、ボリュームが多いことには変わりないので、(税務実務ほどではないにせよ)ある程度の学習時間を確保する必要があります。

2.公認会計士試験との違いについて

(1)参考法令基準集を参照できない

監査実務・職業倫理の記事で述べたことと同様なので割愛します。

(2)実務的な問題が多い(特に理論問題)

論文式試験のような会計処理の背景にある考え方を問うものではなく、会計処理や開示の結論を問うものが多いように感じました。参考法令基準集を参照できない以上結論をある程度暗記しておく必要があります。また、業務でふれた開示例などについてふりかえっておくことも効果的です。

(3)IFRSに関する問題が頻出

論文式試験でも出題されますが、修了考査ではここ数年連続で出題されています。また、2020年度から試験範囲として明記されましたので、今後も出題されることが予想されます。

3.学習ツールについて

(1)講義

①レギュラー講義

日本基準の各論点について解説していく講義で、全部で20回弱あります(最終回は改正論点講義でした)。過去問分析の時間は特になく、全論点を満遍なく取り扱うものになっていました。講義自体は基準の解説と実務上の留意事項が丁寧に解説されていて非常に参考になりましたが、かなり時間がかかるため、苦手な論点にしぼって視聴する方針が良いと考えています。

②計算テクニック講義(2020年度は総合本科生のみ)

付属している計算テクニックテキスト(問題集)の解説を行う講義です。まず問題を解き(画面は一時停止)、解き終わったら画面を再生するという流れで進行するため、全部しっかりとこなそうとすると相当な時間がかかります。そのため、自分が苦手とする論点にしぼって講義を利用すると効果的です(時間がなければ問題集だけでもOK)。私は苦手だった企業結合会計を中心に視聴しました。

③IFRS講義(2020年度はオプション講座)

IFRSの各基準について、日本基準との差異を中心に解説していく講義でした。全部で5回くらいだったので、普段実務でIFRSにふれていない方は視聴することをおすすめします。

(2)テキスト

日本基準・IFRSともにTACのテキストを使用しました。日本基準のテキストについては、会計処理や開示の結論のみが記載されている箇所が多く、テキストのみでは理解しづらいと感じました。そのため、講義を視聴したり論文式試験時代のテキストを参照したりして補足しました。IFRSについては、IFRS特有の論点(例:借入コスト)というよりは、日本基準と相違が大きい論点(例:のれん)やトピックとなる論点(例:リース)にしぼって学習しました。日本基準と相違が大きい論点については、実務対応報告第18号などが参考になります。

(3)問題集

付属の問題集か論文式試験時代の問題集を使用すると良いでしょう。私は付属の問題集を使用しましたが、下書きの仕方が違っていた(例:連結のタイムテーブル)ため、少し慣れるのに時間がかかりました。

(4)答練

他の科目と同様重要な学習ツールであり、特に理論問題については必ず押さえましょう。一方計算問題については、計算力維持のための有効な手段ではあるものの、実際の試験問題とは必ずしも形式が一致していないと感じました。そのため、過去問で問題形式を確認しておくことが必要です。

(5)会計監査六法

重要性の高い論点を中心に、基準の文言だけでなく各設例にも目を通しました。特に、重要性の高い論点であるにもかかわらず、テキストに例題が掲載されていなかったもの(2020年度の例:新収益認識基準)については、必ず確認しておくようにしましょう。

4.重要性の高い論点について

以下に列挙しますので、参考にしていただければと思います。

①日本基準

包括利益、会計上の変更及び誤謬の訂正、ストックオプション(有償含む)、棚卸資産、連結・持分法、CF計算書、企業結合、事業分離、減損、資産除去債務、リース会計、研究開発費・ソフトウェア、金融商品、時価の算定、外貨建取引、退職給付、純資産、収益認識、税効果(連結納税除く)、1株あたり情報、セグメント情報、関連当事者、債務保証

②IFRS

初度適用(IFRS1)、金融商品(IFRS9)、有形固定資産(IAS19)、無形資産(IAS38)、投資不動産(IAS40)、リース(IFRS16)、資産の減損(IAS36)、企業結合(IFRS3)、連結財務諸表(IFRS10)、法人所得税(IAS12)、引当金・偶発負債(IAS37)、従業員給付(IAS19)


今回の記事は以上になります。補足等が必要であれば、別途記事にしたいと思いますので、ご要望等あればお気軽にご連絡ください。

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