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専門性で稼ぐ人、専門性で稼げない人

「専門性」
それは誰でも知っている言葉であり、自分でもさんざん使ってきた言葉です。しかしさいきん改めて考えているのです。「専門性」とは一体なんだろうと。

資格という専門性があれば会社を辞められるのか?

「自分には『専門性』がないから会社を辞められない」
サラリーマンの友人知人たちがよく口にします。
そんな彼らの幾人かは「資格」の勉強をはじめます。たとえば中小企業診断士とか、社会保険労務士とか、あるいはファイナンシャルプランナーであるとか。

しかし、資格を取っても彼らが会社を辞められることはほとんどありません。勇猛果敢に会社を辞めて独立する人間が居ないではありませんが、彼らは独立してから大変な苦労をしています(私もその一人です)。
なんとか独立して成功した人間は口を揃えて言います
「資格だけで食っていけると思ったが、現実は甘くなかった」と。

わが子にどんな専門性を持たせるべきか?

「これからの世の中甘くないから、わが子には専門性を持たせたい」
これまた子どもをもつ親からよく聞くセリフです。
「どんな専門性を持たせたいの?」と訊ねても、明確な答えが返ってくることはありません。そりゃそうでしょう、親の自分が専門性について漠然としかイメージしていないのですから。

あえて好意的にみれば、彼らの多くは「食いっぱぐれのない実力」のことを専門性と考えているようです。そうすると、やっぱり行き着くところは「難しい資格でも取らせて」となるようです。

「難関資格の合格者=独立できる人」は本当か?

税理士や会計士、弁護士といった「独立開業できる人たち」は世間から「専門性のある人」と思われているようです。たしかにそれはよくわかる。でも業界人はみな知っていますが、いまや独立開業することはとても難しいのが現状。そうすると現実にはどこかの組織に属して働くことになります。もちろん組織で働くことにやりがいを感じている専門家も多いので、それならば問題はありません。ただ、若い人たちの中には大きな組織に窮屈さを感じている例も多いようです。

私はそんな彼らから質問を受けることが増えました。
「どうやったら独立できますか?」と。
これに対してどう答えればいいのか、ずっと考えています。

仕事に対して選択権を持つのが自由業

別に私は独立することがすべてだとは思いません。組織で働きたければもちろんそれでよし。ただ、いずれの道に進むか、どんな仕事をしていくのかを「自分で選べる」ことが大切だと思います。
「意に反してイヤな仕事をし続ける」ことはよろしくない。それでは愚痴が多くなって、暗い顔になって、いい友だちができません。その意味で、個人的には専門性を持つことよりも「自由であること」の方が重要であると考えています。

これは私の場合ですが、「時間と仕事を自由に選べる」ことを最も大切にしています。
そのためにフリーランス=独立自営業の道を選びました。いまは著述業と講演業、コンサルティングがメインで仕事をしています。
そこで一番重要な能力は「表現力」です。同じネタ、素材であっても「自分自身の表現」ができること。それは料理人の実力と似ているかもしれません。肉・野菜・魚、おなじ材料を使っても、他の料理人と「一味ちがう料理」をつくれる実力。
これを専門性というなら、それは自分自身の独学で培うしかなかったものでした。

ドラクエでいう「武器」と「自分自身のHP」

私の場合、若いときに取った「公認会計士」の資格はドラクエでいう「武器」のようなものでした。
これは思ったよりも強力な武器であり、会計という知識ベースがあったことで仕事の幅が確実に広がりました。
しかし、それはあくまで「武器」なのです。もっと重要なのはそれを装備する自分自身。己のレベル(HP・MP)が低いうちは強い武器が装備できません。反対に、自分自身のレベルが高ければ素手でもこん棒でも魔物をやっつけることができる。

自分自身のレベルとはすなわち「表現力」。独立してからこれについては徹底的に鍛え、磨いてきた自負があります。これがないと文章が書けないし、人前で話しができませんから。

若い会計士と話すと、たまに「会計士だけでは専門性が足りないので中小企業診断士も受けます」といったことを聞きます。これにはどうも違和感を感じるのです。「それに合格しても同じことじゃないか?」と。磨かなければならない専門性は資格じゃなくて「もっと他の実力」ではないかと思えてなりません。私のいう「表現力」であるとか、顧客との「コミュニケーション力」であるとか、皆が集まる「場を作る力」であるとか・・・。

難関資格が専門性だったのは昭和から平成はじめの話。これから必要とされる専門性とはもっと個人に近い、そして「人それぞれ」の基礎的な力だと考えています。

・・・というようなことを漠然と考えているわけですが、正直、頭の中がまとまりません。
このたび、そんな「専門性」について若い会計人と語り合おう、という企画がまとまりました。

5/24(月)21:00~、「twitterスペース(Clubhouseのtwitter版)」にて私と若き会計人諸君が「専門性」について語り合います。もしご興味ある方、よろしければ参加しませんか?
雑談になると思いますが、月曜夜のひととき、ビール片手にご参加いただければ幸いです。


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