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「お客さんが変わる」ことを恐れない

こんにちは! 田中靖浩です。
最近は書いてばかりの毎日なので「作家・公認会計士」を名乗っています。

近著は「会計の世界史」(日経BP)、「名画で学ぶ経済の世界史」(マガジンハウス)、「教養としてのお金とアート」(KADOKAWA)など。
絵本の翻訳もやっています。あと、「バーまなび」でバーテンもやっています。

ここのところ、お堅い「会計や経済」に「歴史や絵画」を組み合わせる意外性がウケたせいか、ビジネスセミナーに加えて、絵画セミナーの依頼を数多くいただくようになりました。

もちろん嬉しいのですが、講義時間が短いオンライン講座で「話し足りない」ストレスがかなり溜まっています。そこで、こちらnoteを立ち上げてストレス発散(?)することにしました。

こちらnoteでは「フリーランスの仕事」のようなネタが多くなると思いますが、あちこちに話が飛ぶのが私の特徴ですのでよくわかりません。
本の読者、セミナー受講者、そしてはじめての皆さん、どうぞよろしくお願いします!

長く商売やっていると「お客さんは変わる」

今日(11/14)は私の故郷・三重県主催の若手経営者支援「Mie塾」にて盟友・阪本啓一さんと一緒に「会計財務&マーケティング」オンライン講義。

その講義で「お客は変わる」というキーワードが出ました。

長年商売していると、お客が変わります。
これを恐れず、歓迎しないといけません。それができるかどうかで仕事の儲けと疲れがまるでちがってしまいます。

というわけで、今回は「お客が変わる」ことについて。

この春、私は仲間と一緒に「勇気の世界史」という無料オンラインセミナーを連続で開催しました。のべ1000人近いお客さんに来ていただきましたが、そこでひとつ気付いたことがあります。それは回を重ねるにつれて「お客さんが変わってきた」こと。

もともと私は会計士・ビジネス本の著者なので、そちらの内容を期待した参加者が多かったのでしょう。しかしセミナーでは「絵画の世界史」ばかり話したので、ビジネススキルを期待した人は離れて行ったのです。

コンテンツの内容を変えたとき、それがすべての人に受け入れられることはありません。ガッカリして離れてしまうお客さんが必ずいます。彼らは文句も言わず、ただ黙って去っていくのです。

しかし、結果としてセミナーの受講者数は減りませんでした。なぜなら「新しいお客さん」が現れてくれたからです。その突拍子もないセミナー内容に「おもしろい!」と感じた参加者が友人を誘ってくれたようです。

「新規事業」の言葉の裏に潜む危険

ビジネスの世界でよく「新規事業」開拓の必要性が叫ばれます。そこには無意識のうちに「既存顧客」を維持しつつ、新規顧客を獲得したい心理があるように思います。

安定的事業を展開する大企業ならいざしらず、生身の人間が「両取り」を行うのは無理というもの。私の経験上、新たな一歩を踏み出したときには必ず既存顧客の一定数が離れていきます。これを繰り返すと、どんどん元のお客さんがいなくなります。これはかなり寂しい。経済的にも精神的にもすごく不安になります。しかも、ときに「どこへ行くつもりですか」「調子に乗りすぎじゃないですか」といった罵声まで飛んでくる。

しかし、「変わらない」ことを望むお客さんの顔色ばかり伺っていては先に進めません。だとすれば、変わりつつ新しいお客さんの登場を期待するしかないわけです。

私もベタな会計から離れて違う分野に進出し、落語家さんと共演し、果ては会計と絵画を結びつけたコンテンツを作るプロセスのなかで、どんどん既存のお客さんを失いました。春の「勇気の世界史」セミナーに至っては、昔のお客さんはごく少数。しかし幸いなことに新たなお客さんが来てくれました。これがどれだけ力になったことか。

裏を返せば、お客さんが変わらないのは自分が変化していない証拠でもあります。大切なのは、新規顧客をつかむ小手先の技を身に付けるより先に、「既存顧客が離れることを恐れない心の強さ」を持つことだと実感しました。

「離れる・逃げる」ことを恐れない

「新規顧客をつかむ技」より先に、「既存顧客が離れる」ことを恐れない強い心を持つことがなぜ必要かといえば、この先コロナによって経済が悪化して、必ずや「値引き要請してくる客」が増えるからです。すでにその種の値引き要請があちこちで発生し、苦しむ商売人が増えています。

ここで「既存顧客を大事にする」ことに囚われると利益亡き繁忙が待ち構えています。これは非常にまずい。ここにメンタルブロックがあると前に進めません。
とくにフリーランスにとっては「何のために生きているかわからない」貧乏暇無し状態になってしまう。これは何としても避けなければなりません。

環境が変わると、人の心や行動も変わります。
やさしかったパートナーが暴力を振るいだしたら、とにかく離れるべし。
人を人とも思わない過酷な職場になったら、とにかくそこを離れるべし。
顧客が値引きばかり主張しだしたら、そこからそっと離れるべし。
「離れてもやっていける」選択権を手にすること。
いまからその準備をしておかないとまずいです。もしかしたら今回のコロナショックは「発想の転換」を行うよい機会かもしれません。

「離れる・逃げる」ことを恐れない。
それでもしぶとく生きていける強い心と技を持つべし。

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