【指示・叱りのコツ】有言実行で悪循環を予防する 【ABAで発達支援】
こんにちは。公認心理師・臨床心理士の江原です。
基本、褒め方などをお話しすることが多いですが、たまには心理としての立場から見る叱り系のコツもご紹介しましょう。
大事なのは有言実行
例えば子どもにゲームをやめさせたい時など、つい【脅しや駆け引き的なこと】を言ってしまいがちですよね。
そんな時気をつけたいのが【有言実行】であること。
子どもに「親はこんなこと言ってるけどどうせやらない」と悟られると、叱りの切れ味が鈍り、悪循環になりかねません。
例えば、「9時までにやめないとゲーム取り上げるよ!」と言ったとしましょう。有言実行ということは、充分に予告などはしつつも、結局やめなかったら実際に取り上げるということです。
有言実行する際の,大事な大事な注意点
ただし、その際に重要な注意点が4つあり、それが満たせないと、むしろ有言実行が更なる悪循環のリスクにもなり得てしまいます。
その注意点4つとは以下の通り。
①有言実行して構わないレベルの脅し・駆け引き以外言わない
②何を、どれだけすると、どうなるかの基準を具体的に
③予告は十分に。出来れば②は事前に話し合っておくとBest
④そもそも求めていることが今の本人に難しすぎないかは要検討
それぞれ詳しく解説します。
【① 有言実行して構わないレベルの脅し・駆け引き以外言わない】
「ゲーム取り上げるよ」「TV消すよ」くらいなら実際やっても構わないでしょう。しかし、「明日からご飯抜きだからね」「やめないとぶつよ!」みたいに実行すると基本よろしくないものは、そもそも言わないように頑張る必要があります。
なお,日々子育てをしていれば,「これは言っちゃいけなかった」と思うことを言ってしまうこともあるでしょう。そんな時は有言実行する必要はもちろんありません。
落ち着いてから素直に謝りましょう。そうして,大人も間違えれば少しずつそれを正していくんだという姿勢を見せることも,お子さんにとっては大事な学びになると私は思っています。
【②何を、どれだけすると、どうなるかの基準を具体的に】
例えば,「早くやめなさい!」とだけ言って我慢が限界に来た時点で取り上げるといったような、基準が曖昧な言い方&やり方は避けます。
「何時までに止める」など、基準を必ず具体化して、その上でその基準を満たせなかったら有言実行できるのがベターです。
【③予告は十分に。出来れば②は事前に話し合っておくとBest】
予告したから出来るとは限りません。
ただ、最終的に出来る様になるのも予告なしではかなりハードルが高いですし、「ハードルが高い=習慣化するまでの抵抗・反発も大きい」ので、それを避けるための策がこちらです。
特に自閉的な傾向があるお子さんにおいてはこの「予告」というのはとても重要です。よって,例えば「ゲームを8時にはやめる」が約束だとすれば,最初の頃は30分前に一回,10分前にも1回,1〜2分前にも一回,というくらい予告しても良いかもしれません。
お子さんによっては流石に鬱陶しがられるかもしれません。ここまで言わなくても自分で出来るなら減らしても良いですし,駄目なら④を一度検討しつつもやはり予告する方向でやるほうが良いかと思います。
【④そもそも求めていることが今の本人に難しすぎないかは要検討】
今の本人に出来そうにないことや、それを禁止すると本人の逃げ場や息抜きが全く無くなるような要求は、厳しくやろうが優しくやろうがほぼ失敗します。
特にこれは、有言実行は既にしてるけどうまくいかない時などに要確認です。
ちなみに,「ちょっと本人にはハードル高すぎたな」と気づいても、本人が暴れたり暴言がひどい時などは出来れば引き下がらない方が良いでしょう。
その場合はその次のタイミングからレベル設定を見直します。
なぜでしょうか?
つまり、【泣いたり暴れたりすればやらなくて済む、要求が通る】という状態だけは、出来る限り作りたくないからです。
どうしてもの時はやむを得ませんが、レベル設定を間違えた場合,その場は心の中で謝りつつ、実際は暴れれば暴れるほどダメなものはダメになるという対応が重要です。
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いかがだったでしょうか?
悪循環を防ぐ意味では最後の④は特に重要で,ここを曖昧な状態でやってしまうと,エスカレートの輪にハマる可能性がありますのでお気をつけください。
また時折,叱りに関するコツもご紹介していく予定です。
お楽しみに!
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