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豊島美術館-直島旅行記vol.6-

風がきもてぃぃ~~~

豊島横尾館から少し懐いてきた暴れ馬に乗って豊島美術館に向かった。豊島美術館へは約20分。豊島の海沿いを通る国道255に沿って進んだ。最初は平坦な道が続き、次第に上り坂になったが暴れ馬が本領を発揮してくれたので、優雅に側に広がる瀬戸内海に目をやりながら向かうことができた。昨日のどんよりして朧げな海模様を一興であったが、今日は瀬戸内海がやっと全貌をあらわしてくれた気がしてうれしくなった。次第に下り道になり体が空気を切り、風を全身で感じた。風がきもてぃ~~

海を臨む斜面に棚田が一面広がっていた。棚田沿いの長い下り道を下ると、お目当ての豊島美術館があった。奇抜な豊島横尾館とは打って変わり豊島の豊かな自然と、そして棚田と調和するような印象を受けた。

豊島美術館は、アーティスト・内藤礼と建築家・西沢立衛によって休耕田となっていた棚田を再生させ、その広大な敷地に作られたものだ。秘密基地への入口のようなエントランスでチケットを受け取り、「母型」と呼ばれるメインの建物に向かった。エントランスから母型へは一続きのコンクリートの道でつながっており、豊島の風景を一望しながら進むことができる。ほどなく歩くと、ドーム状(詳しく言うと入口が狭く徐々にドーム状に一続きに広がっている水滴のような形)のコンクリート?でできた無機質な建物が見えた。これが母型だ(ラピュタにでてきそうな感じ)。

靴を脱ぎ、入る。中は柱1つない体育館くらいの空間が広がっており、天井には二か所の開口部があった。異常なほど音が響く。(建物は私語厳禁である)。歩を進めると床から水が湧き出ていることに気が付いた。注意して見ると、小さな穴から時々微量の水が湧き出ていて、床は撥水加工されているのでころんとした水滴になり、わずかに斜めに設計された建物をゆっくりと流れていく。そんな小さな穴が建物内には無数にあり、同時に無数の水滴が転がっていた。

開口部の近くに行って、腰を下ろした。。水滴はまるで紙の上にのっているかの様に形がはっきりとし、開口部から流れ込む太陽の光で宝石のように光っていた。小さな穴から出発した水滴の行方を追った。ゆっくりとその水滴は転がり、別の水滴とぶつかり、合体してもう少し大きな水滴ができた。そしてその少し大きな水滴がさらに転がり、別の水滴と合体し。。。と数珠繋がりに、自分の手元から放たれた水滴が仲間を見つけて旅立ってしまった。目をつぶって寝転んでみた。音が聞こえる。草木を揺らす風の音、鳥のさえずり、波の音、人の足音や服が擦れる音。全ての音が建物内を響き渡り耳に入り、その全てが馴染みある音で、目を閉じると懐かしい感じがした。

少しばかりのつもりが、結構長く目を閉じ寝転んでいた。独りの水滴が今、別の水滴にで会った。少し晴れやかな気持ちになり、音が響かないようこっそりと立ち上がった。

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最後まで読んでいただきありがとうございます!! 東海道中膝栗毛の膝栗毛って「徒歩で旅する」って意味らしいですよ