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帝王学の書「貞観政要」から学ぶ組織運営のヒント ~ ⑨身内の優遇

現代の組織運営でも役に立つ貞観政要の話です。
貞観政要は7世紀の唐王朝で名君とされる太宗の問答の記録。

現代人にもわかりやすいよう原文にこだわらず、私の勝手な判断で表現を作り替えておりますことご容赦ください。

太宗政権の初期の頃、3人の文官に勲功第一として恩賞を与えたところ、
皇族、つまり太宗の一族たちから不平不満がでました。

李王朝は隋末の戦乱を統一して誕生しましたが、一族の者たちはその戦争に際して軍勢を指揮して太宗とともに戦ったのに、戦闘に参加しなかった文官たちを優遇するのは不公平だと言うのです。

しかし太宗は、一族親戚だからという理由での優遇や抜擢を拒絶しました。

一方で、政権運営のために必要となる優秀な人材を一族以外から多数抜擢しました。

平和な時代になると、軍事的才能よりも政治面で有能な文官を育てなければなりません。

稀有な人材を身内の中から抜擢するのは確率計算として無理というもの。

同時に、地方の王に任命されていた皇族達の中で格別の功績がない者は、遠慮せず地位を格下げしました。

現代でも同族企業では能力を無視して血縁関係を理由に一族の者を要職に就けたりしています。

そういう企業では、組織を一族の私物だと考えているということです。

そういう会社が企業理念として「会社は公器である」と言ってみても、きれいごとであることは社員にとって一目瞭然。

気分に任せて人材を使い捨てるのは自然な成り行きです。

醜い後継者争いで会社がダメになった話は枚挙にいとまがありませんが、そんな面倒に巻き込まれて疲弊する社員達にとっては、たまったものではありません。

これが国家の問題となれば、数千万の人民の運命にかかわります。

とは言え、戦場で命を張った親戚たちに対して能力主義を貫くことが、血縁重視の古代社会においてどれほど難しいことであったか。

太宗が国家運営に対しいかに真剣であり、悩んでいたかが伺われるエピソードです。

現代でも多くの企業は同族経営です。
せっかく育てた会社を個人の財物だと思い込みませんように。

それは結局、もったいないことをしているのです。
そのことに早く気がついた方がいいですよ。



ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 <(_ _)>