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孫子野球3 「そのケース、どちらが有利?」

こんにちは、野球と英語の先生cozyです。

今日の孫子野球は次のプレーについて考えます。


「無死一塁の場面でバントをしないで打つ」

こういうことは昨今の高校野球でも当たり前に見られるようになりました。
よっぽどバッティングに自信があるんだなあと思われがちですが、それだけの理由じゃないんです。

そもそも「無死一塁でヒッティングする」のと
「バントしてから一死二塁でヒッティングする」のでは、

どちらの方が攻撃側にとって有利なのでしょうか。

孫子の言葉のもっとも有名なものの1つに、このようなものがあります。

「彼を知り、己を知れば、百戦をして危うからず」
(敵のことを知り、自分のことを知れば、何回戦っても敗れることはない)

この言葉は「敵と自分、それぞれの長所と短所を知ることが大事だよ」と理解されることが多いですが、
同時に「地」つまり「敵と自分が置かれた状況」が異なっていることを知り、それをちゃんと理解してから戦うことが必要だとも語りかけています。

このケースでどちらに優位性があるかを考えるために、
守備側が置かれた状況を考えてみましょう。

ランナー一塁だとピッチャーはセットポジションになり、球威は落ちます。
さらにランナーがよければ、警戒を怠れないので、コントロールも曖昧になることも。
低めに投げ続ければ、盗塁やワンバウンドゴーのリスクも高まります。

よって、ランナー一塁は「完全打者有利」の場面と言えます。

一方ランナー二塁はどうか。
ランナーへの警戒は一定以上はしますが、
クイックモーションではなくなるので、球威が一塁時より上がります。

例えば二死二塁ならなおさら、「バッター切れればそれでよし」に近づいていきます。

このように守備側の置かれた状況を考えると、無死一塁でヒッティングするというのは決して乱暴な力任せの作戦でなく、打者にとって優位性のある中でのプレーであることがわかります。

もちろんバントでランナーを進めてから一点を取りに行くプレーが良くないわけではありません。

初回に先制点を取ると、精神的に優位に回を進めることができるという見方もありますし、
「ランナーを得点圏に置くことで優位性を得る」ということも終盤、同点の場面では有効になることもあります。
(ランナー一塁時の攻防は本当に奥が深いので、今後も触れていきたいと考えています!)

つまりはいずれのプレーも凝り固まった定型化されたものにするのではなく、

「相手を意識した上で」決定されたものにしていくことが、戦略的に対戦相手を攻略する上では重要なのでしょう。



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