孫子野球5 「良い監督の条件とは?」
こんばんは!英語と野球の先生、cozyです!
最近野球の記事ばかりですが笑
野球ができないと野球のことばかり考えてしまうんです。
ところで今日はこんな題材です。すごく悩ましいので一緒に考えましょう。。。
「良い監督とは?」
昔は監督といえば鬼みたいに厳しくて、野球部内には「部則」が存在し、プレーを失敗しようものならぶっ飛ばされるくらいの乱暴さもあったりして、チームは監督を文字通り恐れていたものです。
昨今、そういったものは全て「パワハラ」としてバッシングの対象となり、
「怒らず、のびのびと生徒の自主性に任せてあげる」のが美しい監督像のようにもてはやされるようになりました。
しかし
古い体育会系的な監督は悪、生徒の思い通りにさせてあげれば善、
こんなに単純なもので良いのでしょうか。
私自身も高校野球の監督を務めていたことがあるので「監督像」についてはそれはそれはものすごく悩みました。(今も悩んでいますが)
若手の監督が集まって一杯やれば、やはり自然と話題は「チーム作りの上で監督はどうあるべきなのか」になっていきます。
今日はこの永遠のテーマについて、孫子兵法から再考していきたいと思います。
孫子はあるべき将軍(=監督)のあるべき姿としてこのように述べています。
「卒、いまだ親附せざるに而もこれを罰すれば則ち服せず。
服せざれば則ち用い難きなり。
卒、親附せるに而も罰行われざれば、則ち用うべからざるなり。
故にこれに令するに文を以ってし、これを斉うるに武を以ってす。
これを必取と謂う。
令、素より行われて、以ってその民を救うれば、則ち民服す」
(兵士がなついていないのに、厳しく罰則ばかり用いても、兵士は心服してくれない。心服していないものは使いにくい。
すっかり懐いているからといって、ミスがあっても罰しないなら、これもまた使いこなせない。
したがって、兵士に対しては愛情を持って教育しながらも、規則をもって統制を取らねばならない。
普段から規律を徹底していれば、兵士は規則通りの行動を取る)
これはいわゆる軍隊式であるものですが、旧式の監督像には結構反映されているんだなと感じます。
これは古い!と切り捨てずにちゃんと学んでおきたいポイントは2点あります。
1、「兵士は懐かないとちゃんと話を聞いてくれない、だから愛情を持って育てなさい」
根底に愛情を持って耳を傾けながら育てれば、こちらの指導もちゃんと聞いてもらえるということでしょう。これは現代ののびのびリーダーは得意そうです。
2、「近しい関係になったからといっても、ダメなところはちゃんと指摘していかないといけない」
こういうことができないチーム、実感としてすごく増えています。例えば全力でプレーを全うしないとか、自分の結果が出ないからといって集中力が切れている選手を放置していたり…。
これが招くのは、野球版「学級崩壊」です。チームとしての機能を失い、自分勝手が横行するという。
さらに孫子は、良い組織を作るための将軍像として、5つの要素を挙げます。
将とは、智、信、仁、勇、厳である。
(将軍の要素とは、智謀、信義、仁慈、勇気、威厳である)
将軍には、戦術を決定する知力があり、実行する勇気があるということに加え、
部下に信頼され、部下を思いやり、時には威厳をもって接する力が問われる。
ということです。
この5つの要素はどれも大事なのでいずれも身につけて完璧なリーダーになれるように頑張りたいですね。
ってそんな人、なれるでしょうか笑
完璧な人間すぎて、そりゃそうだと思うと同時に現実味がないようにも感じてしまいました。
守屋淳氏著の孫子の中で、荻生徂徠の指摘が引用されているのですが、それは
「頭が良い人は考えるあまりに実行力に欠けてしまうことがあるし、思いやり溢れる優しい人は厳しくなり切れないこともある。4つそろっても信頼されることはすごく難しい。」
というものです。これはすっごくリアルだなあと思いました。
そもそも一人で全部備えることが難しいのがこれらの要素なのでしょう。
それを認識してワンマンで引っ張るのではなく、強みを生かした複数のリーダーを立てるというのも1つの手だと紹介されています
孫子の考え方をまとめると、
これらの5つの要素を磨きつつ、できないことはコーチや部長に補完してもらうというのが良い監督と言えるでしょう。
歯切れが悪くなってしまいました。結局「鬼監督」と「のびのび監督」でいうならば、どちらのタイプの方が良いのでしょうか。
これを考える上では少し古いですが心理学者レヴィンの実験が面白いでしょう。
3つのグループに3通りのリーダーを配置して、その指導にしたがってとある作業を行い、「作業量」と「意欲」を測ったというものです。
3通りのリーダーは以下の通り。
1、専制君主タイプ「鬼監督」
2、民主制議長タイプ「聞き上手まとめ上手」
3、放任タイプ「一切口を出さずのびのびやらせる」
結果
「鬼監督」 作業量◯ 作業意欲×
「民主」 作業量◯ 作業意欲◯
「のびのび」 作業量× 作業意欲×
ここでわかるのは、グループメンバーが意思決定に関わりながら、納得して行える環境になると成果も意欲も高まる、だからリーダーは民主的であるべきだということなのですが、
まず1つ言えるのは「鬼監督」対「のびのび」でいうと
客観的事実としては成果がある分、「鬼監督」の方が良いということです(もちろん嫌な思いをする人は増えるかもですが…)
「のびのび」は失敗する。一見する自由を尊重していると思いきや、狙いなく放置するだけでは怠けを生む構造を作りやすいということです。怠けが蔓延すれば自分勝手が横行する。先に孫子がいっていた通り、規律無くしてチームワークなし、ということですね。
そして最後に究極のテーマ。
「民主的」と「のびのび」の違いは何か。
この点については長くなりましたので明日以降改めて書いてみたいと思います。
ヒントは「ボトムアップ」の利用と「トップダウン」とのバランスです。真の自主性を養うため、また集団が皆で目標を追えるようにするためには、組織作りの工夫が問われます。
今日もありがとうございました!
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