今年も命日にhideを聴く②『PSYENCE』
充実の2ndアルバム。
1stに引き続き、直感を書き殴っていきます。
音源について
アーティスト: hide
タイトル: PSYENCE
フォーマット: アルバム
リリース: 1996年9月2日
ジャンル: Visual kei, Industrial Rock
楽曲レビュー
① PSYENCE
都会的で大袈裟な幕開けが劇場のムードを想起させます。
人を食ったような感じで。
インストですが、最初のサビで音響効果を変えるのもGOOD!
② ERASE
ファンキーな疾走感が特徴的で、短期間創作の勢いが爆発力に昇華されたような曲です。
早口、エフェクト、多重録音と、ヴォーカルパートのアプローチも多彩です。
③ 限界破裂
ハードさとポップさのバランス感覚の良さが現れた曲です。
オルタナティヴ(=分類不能)の神髄は、メジャー狙いなどではなくアレンジの非凡さにあるって感じで。
④ DAMAGE
歌詞のアグレッシヴな人生哲学が、ハードでドライブ感溢れる曲とマッチしてます。
次の曲がただの前とこれのコピーなら沢山だろ?
アルバム自体にそんな彼のモットーを感じますね。
⑤ LEMONED I SCREAM (CHOCO-CHIP VERSION)
可愛らしいポップなメロディですが、この濃密なサウンドの浮遊感は只者ではありません。
ここにストリングスまでと、贅を尽くしたアレンジが聴きものです。
⑥ Hi-Ho
曲調も歌詞も"腰を振っている"曲。
私はダンサブル系が元々苦手でして、この曲もかつてはシングル曲で唯一ピンと来なかったのですが、近年は好きになってきました。
彼の守備範囲の広さを最もよく現れた曲の一つだと思います。
メッセージ性が強いためか、意外と生真面目な歌い方をしています。
⑦ FLAME
姉妹作「MISERY」より枯れた感じで、こちらの方が気怠く、グランジ度が高い印象。
文字数の少ない歌詞はより温かみがあり、抑えの効いた歌唱も説得性がありますね。
⑧ BEAUTY & STUPID
前の曲とのギャップがかなりあるのに、流れとして成立させるのがhideの凄さ。
彼以外に誰にも体現できない独特の華と妖しさが共存した曲。
猥雑な歌詞も・・・いやはや大胆だ、これぞロック!
⑨ OEDO COWBOYS (In Low-Fi Mono!)
ドリフにインスパイアされたという、こちらも遊び心溢れるインターリュード。
モノラルな音像が、カンフル剤になってくれます。
⑩ BACTERIA
本作のヘヴィサイド、かつ風刺サイドの極致。
ギターソロもメタリックで、終始エフェクトのかかったヴォーカルも、歪みきった音像に溶け込んでいる。
彼の曲の中でも随一のテクノロジー志向な曲だと思います。
⑪ GOOD-BYE
気怠い歌唱とサイケデリックな音像の相性が素晴らしい。
ネガティブな歌詞はポジティブに、ポジティブな歌詞はネガティブにというアプローチはよく見かけますが、この曲の優しい歌声は哀愁をひと際引き立てているように思います。
⑫ Cafe Le Psyence
文字通りの空気感の、即興的なインターリュード。
メロディの胡散臭い感じはちゃんと活きています。
⑬ LASSIE (demo master version)
こういう暴走系の音楽にもアシッド感を追求するhideの拘りが良いですね。
歌詞も勢いがあって面白い。
飼い慣らされない!アピールにもしっかり捻りを入れるのが彼のエンタメ精神です。
⑭ POSE
イントロのピンポン玉の音から、完全にインダストリアル系の着想。
音楽性を「終わらない日常」と結びつけるアイデアも、文学育ちのhideらしい点です。
エンジニアとしてのI.N.Aのセンスがいかんなく発揮された曲だと思います。
⑮ MISERY (remix version)
本作で一番好きな曲です。
メッセージ性や音楽に現れた優しさは、時代を越えてリスナーに寄り添ってくれそうです。
話しかけるような歌詞が、そう思わせるのでしょう。
歌唱がより前にくっきり出たアルバムバージョンの方が好み。
⑯ ATOMIC M.O.M
オープニングに比べてよりローファイなサウンド。
笑い続けるRPGのラスボスというのは、FINAL FANTASY VIのケフカを真っ先に思い浮かべました。
総括
最初に聴いたときはあまりのバリエーションのせいか、1stほどすんなり入り込めませんでした。
1stがロックとしてのノリ重視なのに対して、2ndはアプローチの遊び心が醍醐味の意味で、主役と脇役が交代したようなイメージです。
出てきた時のMarilyn Mansonみたいな"驚かせてやろう"感。
今では私は本作こそがhideの独創性が最も詰まった名盤だと思っています。
読んでいただきありがとうございました!
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