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#029【絵本】ことりをすきになった山

今日もホッコリ絵本の世界へ📚
絵本を読んだ記録として、感想を書いています。



まずは一言

マクレーランさんという人類学者の女性が作られたお話です。素敵なお話に、更にカールさんの鮮やかなコラージュが彩りを添えています!


今日の絵本

『ことりをすきになった山』

エリック=カール 絵
アリス・マクレーラン 文
ゆあさ ふみえ 訳
発行所 偕成社(1987年)



感想


カールさんのいつもの素晴らしい絵は健在ですが、文章も多く入っているので、じっと聞いていられる位少し大きい子供たちが対象年齢だと思います^^

ぽつんと荒れた野原にそびえ立つ岩だらけの山と、巣をつくる場所を探してふらりとやってきたジョイという小鳥の物語。

不動と流動、無限と有限の生命。
相対する2つの現実と、そのありのままの想いを、嘘偽りないストーリーにして子供たちに伝えていることに、私はすばらしい絵本だと思いました。

本当に長い長いものがたり。
ジョイは生まれてくる子にもジョイという名をつけ、山との約束を伝え、毎年必ず歌声を聞かせにきます。

100年が経って、山が流した涙とジョイが運んでくるタネによって、また長い年月をかけて山にはみどりが芽生え豊かな土地になっていきます。

元気をとりもどした 山は、ひさしぶりに ジョイにたのんだ。
「なんとか ここで くらしてもらえないかな?」
しかし、ジョイのこたえは かわらなかった。
「それは むりだわ。でも、らい年の春も かならず まいります。」

『ことりをすきになった山』より


ジョイは感情に流されず、鳥としての生態と自分の信念を貫きます。でも山に会うために、毎年必ずこの土地を訪れるのです。


自然の摂理についても教えてくれている一方で、

耐えること、信じること、
友との約束、そして変わらずにいること、

希望に対するおくりものを読者にちゃんと感じさせてくれる素敵なストーリーでした^^
カールさんのコラージュの明暗もハッキリしていて、後半は明るさが際立っていました。

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