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こんな生徒に、こんな対応

 2021年01月26日から
小中学生への学習支援で得た知見を基に
色々書き始めて116回目になりました。
 また、2021年03月15日から
毎週連続投稿を始めて113回目です。

 今回は「こんな生徒にこんな対応」という学習支援の事例を紹介!
 四月に入って、早期から始まった学習支援では
前年度での躓きが解決しない生徒が現れます。

 小4のMくんは、そうした一人でした。
学習の躓き以前の、なんか勉強っていやだなという状態で、
何が嫌いというわけではないけれど、
強制される「勉強」に馴染めない。

 持参した教材は、小3の算数ワークブックが二冊。
さて、学習を始めようとしたら、消しゴムがない!
鉛筆は削っていなくて、使えないという状態。
明らかに、「学習忌諱」を体現している。

 実際に計算し始めると、位取りが怪しくて答が見つからない。
でも、九九を言えているので、
そこから、数字への興味を引き出すことにしました。

 まず、「九九を表にして書けるかな?」と誘導。 
書き始めると、6の段位から少し怪しくなってきた。
 「ゆっくりでいいから、考えてみようよ」と励まして完成。
 「今書いた九九の表で、なんか気づいたことは、ある?」と質問。
「わかんない」
「じゃあ、1×1から9×9までを斜めに線を書いてごらん」
「これでいいの?」
「そうそう。ほら!この線に沿って斜めに同じ数が書いてあるでしょう?」
「あっ!ほんとだ!」
「九九の表って、よく見ると結構面白いんだよ」
「へー!」
「九九の表では、10の位と1の位が書かれているね」
「うん」
「1の位の数をよく見てね。そこが0と5しかない段はどこだ?」
「う”~?? あ”っ!5の段だ!」
「すごい!よくみつけたね!」
「でへへ」
「じゃあ。1の位に1から9までがきれいに並んでいるのは、どこだ?」
「えっと...1の段と...あ”っ!9の段!」
「すごい!ほらこうやって見直すと数字って結構面白いでしょ?」
「ほんとだ!」

「偶数と奇数って知ってる?」
「う~ん。2で割れるってこと?」
「そうそう!それが偶数。割れないのが奇数」
「そうだった!」
「1の位をよく見てごらん。偶数の段はどうなってる?」
「えっ?あれ!2の段は、全部偶数だ!」
「他には?」
「あれれ!4の段も6の段も8の段も全部偶数!」

「よく見つけたね!じゃあ最後の質問!
1の段に1から9までがバラバラだけど必ず出てくるのは?」
「...偶数の段は奇数がないし...あ”っ3と7だ!」

 ここまでで、約一時間。
 自分が書いた九九の表に興味を持ってくれ、
奇数と偶数とか掛け算のしくみが復習できたようです。

 後半の1時間で、四則原理と=()について解説したり、
実際の計算で確かめながら、ワークブックをやり直しました。

 更に、三角形を習っているという事で、内角の和を質問。
「180度!」
「ハイ正解!じゃあ、どうしてそうなるかを説明して?」
「??????」
そこで、平行線と交差する直線の性質から、同位角と対頂角を説明し
補助線を引いて180度に集められることを解説。

 ついでに、四角形の内角の求め方から、多角形の内角まで説明。
目をキラキラさせて、説明を聞いてくれていました。

 最期に、ちょっと意地悪な質問!
「0って知ってる?なら、1もわかる?
じゃあ、0から1までの間に数はいくつある?」

という経緯で、何となく数字アレルギーが減ったようでした。

 今回の事例のように、生徒に「なぜ?どうして?」
という疑問を持たせると、自分で答えを見つけたときの、
喜びが体験できるので、達成感が味わえます。

保護者の皆さんや 子どもたちの学習に関与している方々へ 

 私は、学習支援で答だけを伝えることをしません。
 問題を一緒に考え、少しヒントを出したり、やり方を説明します。

 そうすることで、自分で「学習」を進めるよう仕組み
自己達成感を醸成できるようにしています。

 生徒がしっかりと「学習内容」を理解するには
原理から始めると、応用力が期待できるからですが、
この方法は時間が必要ですし、
飽きがこないように進める必要があり、
その間、生徒が信頼性を寄せてくれることが大切です。

 一番生徒に近い存在で生徒との関係性が成立している皆さんは、
生徒の嗜好や、どんなことに興味を持ちやすいかとか、
心の様子を見つけやすい立場にいます。

良い相談相手として、また善き話し相手として
近くで寄り添ってくださることを願っております。

24.MAY.2023.ARAI