私たちは植物のように愛し合った⑥

俺は君が食べたいものを知りたい。私は君が好きな食べものを食べたい。俺は君がお気に入りの服をあげたい、私は君が好きな格好が似合いたい、音楽は暗いのが好きだよ、おだやかな音楽がいいな、朝は苦手、夜更かしは苦手、漫画しか読まない、雑誌って重たい、ちょい身体鍛えてる、二の腕を細くしたい、足首も細いのがいいけどさ、サザエさんの足首は気持ち悪い。髪の毛は2人で坊主にして坐禅を組もうよ、同じ言葉で俺も君も話すから、一つになれそう。

出会ってふたつき、なんだか、もろもろ、知り合ってきて、まあまあ、こんな男、こんな女だとかわかってきてるんだ。
わかってないかもしれないと考えるのは無駄。
わかったのだ、と考えなくちゃ臆病になる。

あ、この感じ、痛いやつ。

ほら、花瓶の花、枯れて散って散らかってくる頃。

コーヒーいる?って聞いてないのに注いじゃう頃。

もう冷めてしまってるんじゃないかと、どっちかが臆病になる。
なるから、慎重になる。
俺は触るのが下手になった。私は甘えてみるばかりになった。私は男の手のうちよ、そんなふうに愛情を説明してしまう。触っていいと言われるほど、必死じゃいられなくなって、必死じゃない愛し方を知らなかった。

男は私の前で、カッコいい事を愛される事を証明したくなり、ちょっとバレる感じに別の女と遊び始めた。

私に、許させたいのだ。
私に、許されたいのだ。

男は硬くなった陰茎を私の太ももに当てて、立派だろうと主張してくる。でもその主張する陰茎は私の身体の表面で迷子になってしまった。

寝息を聴かせる。
なんとなく君の寝息にかぶせる。
それから深くしてみる。
深呼吸みたいな寝息。
君はそれを飲み込んでいく。
眠りについた。
まだほんのりした主張が太ももにあたるので、ちょっと指先二本で触ってみた。
花びらを撫でるみたいにした。

翌日昼間から深夜にかけて、

男は、私の愛を独占するために間違いをしてしまった。

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