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散文 空の青さは敵わない

踏切の青いライトには、自殺を抑制する意図があるらしい。青色は人の気持ちをおちつけるとのことだ。青色のご飯が食欲をそそらないのとなにか関係はあるのだろうか。多分ないだろうな。
ある有名な大学の最寄り駅には、青いライトが沢山あった。人身事故の多いその駅には、青いライトが沢山あった。
大学生の心を落ち着けることが、青いライトには出来るのだろうか。
自殺を本当に止めるのだろうか。
僕は知っている。その青いライトの本当の効果を。
あれは、殺虫灯と同じやつ。光に吸い寄せられたハエはその中に入ってバチッとなる。高いような低いような衝撃音が小さく、だけど印象的に鳴る。
それと同じようなものなのだ。
あの光に自殺志願者は吸い寄せられる。すると、自殺志願者の中の何かがバチッと弾ける。鳴った音は木霊する。彼の中を。彼女の中を。バチッと弾けた何かから、自殺志願者を解き放つ。
そうすることで、彼らは自殺を辞める。バチッとなると、何かが弾けて消える。彼らの意思は関係ない。自殺志願に彼らの意思は関係ない。
消えたら、彼らは素に戻る。そして、巣に帰る。
生活をしていくうちに、また、何かが彼らの中に入りこみ、意志の操縦をする。だから、また、あの青いライトで。
だから、またあのライトでバチッ……。

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