見出し画像

遅咲きの青春

配属されて、初めて一週間が過ぎた。
業務もまだまだわからない事が多くて、教えてもらいながらひとつひとつこなしている。

今日は金曜日で、各々配属されて仕事をして、初めての「華金」。みんなで美味しご飯を食べながら、どうでもいいことを話していた。まだ仕事への、上司への愚痴なんてなくて、とにかく先輩がすごいって話。

その時私は、同期に言った。
「この夏はバーベキューがしたい。キャンプもしたい。花火もしたい。学生のときこういう友達があまりできなかったし時間もなかったから、学生時代にできなかったこと全部やりたい」

同期は「いいね、コヤマさんのためにやろうよ」と快く了承してくれた。進む計画に胸を弾ませた。あとは有給取るだけだな〜、取れるかな〜、いつ取るか教えてね、合わせるから…。

私は今、遅咲きの青春を噛み締めていた。

はじめは「同期の友達なんていらないよ、遅かれ早かれ配属されたら話すこともない」なんて強がっていたけれど、毎晩研修終わりに通話を繋いでゲームをした。

規制解除になって、3密を避けて早めに帰るという条件下でお酒を飲みに行った。
色んな話をした。全然大した話じゃないけれど、あの時間があったから私はここで頑張れるかもしれないと思った。

地方配属になった人が数名いて、研修最終日は少ししんみりした。けれど今もそんなみんなと通話を繋いで、毎晩ゲームをしている。

きっとこれからは、楽しいことばかりじゃない。
わかってもらえなくて、悔しくて泣いたり、悲しくて辞めたくなる日もくるかもしれない。

そんな日が来ても、私はこの数ヵ月間の眩しくて尊い時間をいつまでも忘れずにいたい。

だってあの時、私は確かに楽しかったのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?